米国や日本で新規株式公開(IPO)が再び活発になってきた。IPO拡大のけん引役になりつつあるのが、世界に勝負に打って出るアジア系の起業家たちだ。新経済連盟(新経連)が9~10日に都内で開いた「新経済サミット」には、海外から個性的な起業家が勢ぞろい。失敗も含めて自らの経験談をすすんで共有し、「破壊的イノベーション」を貪欲に目指す姿を印象づけた。日本市場もそのターゲットに捉えられている。日本の起業家は立ち止まってはいられない。
■破壊的イノベーションの道
「生まれながらの起業家」「体が“起業細胞”でできている」と自らを称するジョセフ・チェン氏は、中国最大の交流サイト(SNS)を運営する人人(レンレン)創業者にして会長兼最高経営責任者(CEO)。同氏がいま有望視するのは、ほかならぬ日本だ。「金融などの伝統的産業で、破壊的イノベーションを起こす余地がたくさんある」のが理由だという。
中国・北京を拠点にしつつも、米シリコンバレーと日本にも頻繁に出張するチェン氏。世界トップ3の経済大国を行き来しながら、インターネットの浸透度や消費者マインドの変化を肌感覚でつかむことでビジネスの種をかぎ分けるのがチェン氏流だ。
こっそり明かしてくれた日本で仕掛かり中の事業プランは「(ネットの力で資金を集める)クラウドファンディングと、不動産業を掛け合わせた新規ビジネス」。人人が2年前に米国で4900万ドル(約50億円)を投資したソーシャルファイナンス(カリフォルニア州)の事業モデルがヒントになった。
ソーシャルファイナンスはチェン氏の母校でもあるスタンフォード大経営大学院から生まれたベンチャー。卒業生から募った資金を現役の学生に低利で貸し出すビジネスモデルが受け、全米の大学に飛躍的に事業が拡大した。「学費や不動産向けのローンにクラウドファンディングを活用するモデルは、アジアにほとんどない」。チェン氏は成長に自信を示す。
2002年に2LDKのアパートから出発した人人は、11年5月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。「中国版フェイスブック」として圧倒的なユーザー数を囲い込み、動画共有サイトやゲーム、クーポン共同購入サイトなどにも手を広げてコングロマリットを築き上げたチェン氏。中国では、米国などに学んだ後に母国で起業する「ウミガメ族」の成功者と称賛される。
しかし、本人にとってゴールは見えないほど遠いようだ。起業家として挑戦を続ける意欲をみなぎらせ、立ち止まる気配はない。
「破壊的(ディスラプティブ)イノベーション」――。チェン氏だけでなく、斬新な製品やサービスをいち早く生み出し、世界を変えようと野望を燃やす起業家はこの言葉をよく口にする。スタートアップ企業とベンチャーキャピタル(VC)の集積地、米シリコンバレーでは一般名詞の響きすら帯びる。
では、破壊的イノベーションの条件とは何だろうか。
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