社説
教科書是正要求 目に余る国の強権ぶり(4月19日)
保守色の濃い中学校公民教科書を何としても使わせる。教育への介入を強める安倍晋三政権の意思の反映と受け止めざるを得ない。
文部科学省は、教科書採択をめぐる国の是正要求に従わない沖縄県竹富町の教育長を上京させ、経緯を厳しく問いただした。
教育の自由や自主性、多様性を侵害する政治的圧力に等しい。文科省はただちに介入をやめ、是正要求を取り下げるべきだ。
沖縄の小さな町の教育長を国が東京に呼びつける。何とも異様な光景である。
竹富町は周辺の1市2町でつくる教科書採択地区協議会の選んだ教科書を採用せず、別の出版社の教科書を使い続けてきた。
沖縄県が抱える米軍基地負担問題への記述が不足し、内容がふさわしくないと判断したからだ。
町の独自行動は、同一教科書の使用を定めた教科書無償措置法に反する、というのが文科省の言い分である。
だが、地方教育行政法は、教科書の選定権限を市町村教委に与えており、二つの法は矛盾する。単独採択を一概に違法とする文科省の論理が通らないのは明らかだ。
文科省は教育長に対し、協議会の決めた教科書に変え、現在使っている教科書を副教材とすれば問題は解消されると提案したが、教育長は、子どもをだますことになるとして難色を示した。
政府の意向に異議を唱えた竹富町の姿勢を支持したい。
新学期はすでに始まっており、いま教科書を変えれば授業の混乱は必至だからだ。
文科省はさらに、違法確認訴訟も辞さないと揺さぶりをかける。違法性を問えないのに、何のための訴訟なのか。疑問が拭えない。
無償措置法は今国会で改正され、今後、市町村単位で教科書を選択できるようになった。
竹富町は地区協議会から離脱し単独採択する方針だ。沖縄県教委もこれを尊重するという。国が疑義を挟めなくなるのは明白だ。
驚くのは、こうした動きを受け、下村博文文科相が「(1市2町は)自然的、文化的、経済的に一体性がある」と牽制(けんせい)したことだ。
首相の意向を代弁するかのようなこの執着ぶりをどう考えたらいいのだろう。しかも、次は県教育長を招致するというではないか。
法にのっとって行われる教科書の採択にこれ以上、国が口を差し挟むことは黙認できない。地方自治体の権限と主体性は何としても守らねばならない。
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