韓国旅客船沈没 事故から「72時間」経過 進まぬ捜索、いらだつ不明者家族

2014.04.19


旅客船「セウォル号」沈没現場付近を捜索するヘリコプターやボート=19日、韓国南西部・珍島沖(共同)【拡大】

 韓国の旅客船「セウォル号」の沈没からまる3日が過ぎた。現場の全羅南道珍島(チンド)の沖合では19日も行方不明者の捜索活動が続けられているが、捜索は難航している。刻々と時間が過ぎる中、行方不明者の親族らのいらだちは募っている。(珍島 加藤達也、ソウル 名村隆寛)

 ■遅れる救助

 船は18日まで船首部分をわずかに海面上に見せていたが、同日中に完全に水没した。現場には船を引き上げるクレーン船も導入されたが、本格的な引き上げ作業には着手できていない。

 海洋警察などは、空から照明灯を降下させ、徹夜で行方不明者の捜索に当たった。19日昼ごろに沈没から72時間が経過。こうした事故で生存率が低くなる時間とされ、船内に空気が残っていたとしても生存はますます困難な状況になる。

 ■情報は錯綜

 今回の事故は、発生当初から情報が錯綜し、韓国政府の発表は二転三転している。事故が起きた16日、368人を救助したと発表したが、重複があり164人に大きく訂正。韓国メディアの報道でも、「100人以上」だった行方不明者は約300人に増えた。乗客数についても18日深夜まで、訂正が続いた。

 また、沈没後に会員制交流サイト(SNS)や携帯電話に救助を求める行方不明の高校生を名乗る書き込みやメッセージが出たが、16日正午以降のものはすべて偽物だったことが判明。悪質ないたずらに、世論も怒りを見せた。

 ■混乱する現場

 20キロ沖合の沈没現場を、行方不明者の親族らは陸地から眺めているしかない。

 朴槿恵大統領は事故翌日の17日に現地入りし、親族らを励まし、それぞれの声を聞いた。たが、時間は過ぎていくだけ。

 「国民の皆さん。どうか助けてください」。親族らの悲痛な訴えは、いらだちを超え、当局に対する怒りとなっている。

 朴大統領が現場入りした17日には、親族の待機所である珍島の体育館で教育相が“つるし上げ”にあった。親族を慰め、話をしようとしたが、逆に「正確な情報を出せ」などと強く抗議を受けた。18日には、親族代表が政府に対して抗議文を突きつけた。

 「(乗客らは)今も冷たい水の中で『助けて』と叫んでいる」と抗議文は訴える。だが、抗議や訴えもむなしく、捜索作業は進まない。時間は刻一刻と過ぎている。

 

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