OpenSSL:三菱UFJニコス、タイムラグを狙われる
毎日新聞 2014年04月19日 19時45分(最終更新 04月19日 20時29分)
インターネット上の買い物サイトなど、個人情報が含まれるやり取りで幅広く使われる暗号化ソフト「OpenSSL(オープン・エス・エス・エル)」の欠陥問題で、クレジットカード大手の三菱UFJニコスが不正アクセスを受けた。同社は今回の欠陥と修正版が公表された7日(米国時間)から問題を把握していたが、不正アクセスの検知やサービス休止など、具体的な対応をする前の「タイムラグ」に侵入された。同社は「対策まで時間がかかったのは認識している。対策が完了する前に攻撃された。痛恨の極みだ」と話す。
三菱UFJニコスによると、不正アクセスされたのは同社のクレジット会員向けのウェブサービス。延べ894人分の名前や住所、電話番号、生年月日、電子メールアドレス、カード番号(一部非表示)などが盗み見られた可能性がある。
OpenSSLの欠陥と修正版は、4月7日夜(米国時間)、同ソフトを開発・管理している技術者らのプロジェクトサイトで公表された。三菱UFJニコスは、この発表を受けて対応策の検討を開始。日本時間の11日午前6時3分、サイトの不正侵入防止システムに、今回の欠陥に暫定的に対処するソフトを導入した。
同6時33分から、断続的にソフトが不正アクセスを検知したため、同10時15分に欠陥による「穴」をふさぐ措置をとった。その後、午後2時半にウェブサービスを休止し、修正版を適用したうえで12日午前7時48分からサービスを再開した。ソフトを入れる前の状況を確認すると、9日午後7時から侵入されていたという。
情報セキュリティー大手のトレンドマイクロ社は、今回の三菱UFJニコスの対応について「(国内企業の対応として)遅いとは言えない」と話す。ただ問題は、その一般的な対応で、今回のような情報流出を防ぐことができなかったという点だ。
警察庁によると、同ソフトの欠陥を標的とした国内でのアクセスは、既に9日午前6時台から観測されていた。同庁は10日に結果を公表、欠陥のあるOpenSSLのバージョンを使用しているかどうかを確認したうえで、速やかに修正版を適用することを推奨していた。欠陥を狙った攻撃側の動きの方が、防御側より早かったのが実態だ。