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リアル「聲の形」 18歳『聴覚障害者』の少女との出逢い


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耳 聴覚障害

photo by clogsilk

仕事は夜から、という話をすると「もしかしてホスト?」と聞き返されます。酒、飲めないっつうんだよ!

どうも、だいちゃん(∀)です。

 

先日、たまたま知り合った女の子が「聴覚障害者」でした。

しかし、こちらの話が普通に聞こえている為、全く障害者だと気が付きませんでした。どうやら、「補聴器」を付けていれば近くにいる人の話し声なら聞き取れる、ということらしいです。

私の周りには障害者は多いのですが、聴覚障害者の知り合いは今までいませんでした。そこで、せっかくなので、色々と聞いてみたいと思い、いくつか質問をしていいですか? と訪ねたところ、快く了承していただいたので、インタビューしてみて初めて知ったことを書いていこうと思います。

 

【1】聴覚障害者がみんな手話を知っているわけじゃない

「私、手話が全く出来ないし、見ても分からないんですよ(笑)」

とちょっと照れながら話すその少女。

「補聴器」を付けていれば普通に聞こえるので、手話を覚える必要がなかった為、覚えようとしたこともなかったし、そういった教育も受けなかったそうだ。

私は、聴覚障害者は全員、特別養護学校などでそういった勉強をするものだと思っていたので、これには驚かされた。

その子自身は、健常者と同じ学校に通い、高校まで卒業したそうだ。特に、健常者の中にいて不自由することはなかったそうだ。ただ、補聴器を見られるとイジメられる可能性がある(実際にイジメられている人を見たことがあるらしい。)ので、補聴器は耳に入れる、イヤフォンのようなタイプのものにして、髪を伸ばし、補聴器が見えないようにしていたらしい。

 

(補聴器には、耳に入れるイヤフォンのようなタイプや、耳にかけて使うタイプのものがある。)

 

手話を覚えるのは、重度の、「補聴器」をつけても人の話などが聞き取りづらい聴覚障害者が覚えるもので、軽・中度の聴覚障害者は手話を使えず、理解出来ない人も多いらしい。

 

【2】補聴器の値段は約70万円

メーカーなどによって多少の値段の違いがあるらしいが、聴覚障害者の使用する補聴器の値段はだいたいこのくらいはするらしい。

メガネ屋などで売っている比較的値段の安い補聴器は、老人などで耳が聞き取り辛くなった人が使用するもので、聴覚障害者が使ってもあまり意味が無いらしい。

約6年に1回くらいは交換しなければならないそうで、国からの補助がある程度は出るものの、やはりこの出費が痛い、とのこと。

その子は、小学校の卒業時、中・高の卒業時に記念に交換していたと話してくれた。

 

「聲の形」という聴覚障害者を題材にした漫画では、イジメによって補聴器が頻繁に壊されるシーンがあり、損害額を請求していたが、まさかここまで高額なものだとはその漫画からは分からなかったので、これを聞いた時もビックリしたものだ。私もまだまだ世間知らずだなぁ……。

 

【3】補聴器が原因で雑音が聞こえすぎる

軽・中度の聴覚障害者ならではの悩みとして、

「補聴器を付けないと人の声を聞き取ることは出来ないが、補聴器が原因で雑音が聞こえすぎて、人の声を聞き取りづらい場所もある。」

と、その子は話してくれた。

特に、狭い空間だと外部の音が中に入ってきて反射し、それが雑音となる。それが原因で逆に頭痛などを起こすこともあるそう。

 

音が聞こえないだけでも苦労しているだろうに、その「音」に生活を害されることもある。軽・中度でもやっぱり「障害者」と付くだけあって、色々と大変な思いをしているのだなぁ。

 

【4】子供の頃は親に八つ当たりをしたこともある

これは「聴覚障害者」以外の障害者にも言えることだが、障害が原因でストレスを溜め、それを発散する場所がなくて、親に当たってしまったこともあるらしい。

「なんで障害者として私を生んだの!? なんで私だけなの!?」

その子の他の家族はみんな「健常者」で親族にも全く障害者はいないらしい。その子は遺伝以外の原因不明の「何か」によって障害者として生まれてしまった。

もちろん、親が悪いわけではない。でも、障害者として生きていくストレスをどうすることも出来なくて、親に当たってしまったらしい。

 

私などは生まれつきではなく、途中で障害者になった。それはそれで苦労があったのだが、障害者になった原因が親にあるわけではない、と理解できる年齢で発症した為、特に障害について八つ当たりをしたことはない。

これは「生まれつき障害を抱えた」子にしか分からない悩みなのだろう。

今では八つ当たりしていた自分を凄く後悔して、親とは仲良くやっているそうなので安心した。

 

最後に

その子は見た目も可愛らしく、全く健常者と見分けが付かない。だが、それゆえに理解されなかったり、自分をさらけ出すことが出来なかったり、差別されたり、色々と苦労がある。これは、私のような臓器に障害のある「内部障害者」にも言えることなので、凄く共感することが出来た。

 

その子はこんなことも話していた。

「iPS細胞で耳を治すことが出来たら、補聴器を通してではなく、実際の自分の耳で外の音を聞いてみたい。」

やはり、補聴器を通しての音は、普通の音と何かが違うのだろうか。そして、そのことを、なんとなくその子は感じているのだろうか。さすがに私には分からない。

しかし、これだけは言うことが出来る。

 

『世の中から「障害」や「病気」が少しでも、なくなりますように。』

 

だいちゃん(∀)