昔話ばかり…
それも、思いっきり私の趣味に偏っております。
そんなお話にお付き合い下さる方もいらして、
嬉しい限りです。
さて…
また・また気になる鴨川作品
「愛のコンチェルト」
1971年 宝塚グラフ 12月号
宝塚ファン招待席より、11月東宝劇場で先に公開された
この作品の模様をご紹介します。
愛のコンチェルト~STONED SOOL PICNIC~
ハ―イ東京です。
毎年、宝塚の真価をみせてくれる11月、
今年も最高の月となりました。
鴨川+ストーン+真帆という最高の顔合わせによる、
東京初演「愛のコンチェルト」が、その幕を開けたのです。
「ノバ・ボサ・ノバ」同様に、緞帳が上がると
内容を暗示する青い空に白い雲の浮かんだ幕…
聞こえてきたのは、テープによる騒々しい程のオッフェンバッハ。
舞台は青と赤の衣装をまとった兵隊たちが、
何やら二手に分かれて争っている様子
背景ははげたかのような形をした岩が遠近法に並んでいる…。
一瞬あっけにとられる。
湖の水が汚染される原因を、この星のただ二つの王国である
森と湖がなすりあいをしているらしい…。
単なる風刺か戯画か?ガンガンする音の中で考える。
兵士の半数はローラースケートをつけていて
森の武将鳳蘭と湖の武将但馬久美のおどけた振り…
喧騒のなかで、ポッカリした心の空洞に気づきます。
突然、大きな星がフラッシュライトの点滅とともに落ちてきます。
星の王子、真帆志ぶきの登場です。
「ヨー、オス、戦争ごっこジャン、ヤバいよ」と
流行語が飛び出す現代的イメージの王子ス―タンは
「祈ろう、明日の夢を…」と力強く歌い、
このキャラクターを楽にこなしている感じです。
夜の女王(大空美鳥)はどうやら星の王子に一目ぼれの様子…
星の皇子は魔法の花を胸に付けられたのも知らず、
夜の森をひとりさまよいます
「おーい」と叫ぶと、呼び返す声…
こだま(安奈淳)がタイツ姿の少年が現れます。
自由の身であるこだまは、森と湖の平和を守るため
星の王子への協力を誓います。
夜の女王の魔力でハレハレになってしまった星の王子は
夜の女王へ引き寄せられてゆきます…それを追うこだま…。
第四場「愛のセレナーデ」
森の王子(鳳蘭)は下手から現れ
湖の姫(大原ますみ)への思いを歌います
純白の衣装と歌詞が素敵で
「どうして僕にかなしいの、君のしずかな歌は…
夢がやどる君の瞳、そっとあけてごらんよ…」
この二人が人間的に理想化された愛のデュエットを演じている前で
夜の女王が星の王子を引き寄せます
前後で男女の立場がまるで逆になっていてなんだか面白い…
そこへ、こだまが駆け付け、
嫉妬にふるえたこだまはコケコッコ―のマネをして偽りの朝を告げ、
夜の女王を追い払います。
おもわず星の王子にすがってしまうミキちゃんの何と愛らしいこと。
第五場「愛のパストラ―レ」
ペン画タッチの森の幕前で、五羽の小鳥達(椿・衣通・松・沢・麻実)が
不吉な予感がするとさえずります。1羽だけおおきな鳥がいるのね…。
このメロディは、「トルコ行進曲」
歌の内容とうらはらにバタバタする鳥達がほほえましく、
フクロウ博士(水代玉藻)共々メルヘン気分に導いてくれます。
第六場「愛のコンチェルト」
深い森のセットは中世の絵画によくみられる神秘のイメージです。
ここでは、シュトラウスのワルツを使っていますが…
森の木々達の3つのグループを
ス―タンが指揮しだすと…ス―タンのペースへ。
段々乗ってきてロックにアレンジされていく所といい、
各グループの振りの対照的な面白さといい
ストーン群舞の魅力が溢れます。
第七場「愛のエレジー」
森の王子は湖の国に捕われてしまいました。
傷心の姫を、
湖の妃(如月美和子)と乳母(雪珠さ久ら)が慰めていると…
姫の愛の思い出に、下手舞台袖の牢から、森の王子が和し…。
ここではクラシックの歌曲と如月・雪珠の美声があいまって効果的。
第八場「愛のアリア」
白鳥の湖をバレエ風に踊っている湖の精たちの中へ、
星の王子が羽をひろって加わります。
ダンスでの真帆志ぶきの動きは外国の動画のようなのです…
ディズニ―の「ファンタジア」をなんとなく思い出させます。
しかし…共に躍りに加わった湖の姫は、
汚れた水に病身が侵され倒れてしまいます。
星の王子に助け出された森の王子が姫を抱き上げたときには、
既に姫はこと切れており…
そのままの体勢で皆を非難してうたうツレちゃん…ご苦労様デス。
美しい二人は永久に湖の底深く沈んでいったのです。
このシーンでは打楽器のみの
シークェンスによる振りがもっとも印象的。
第十場「愛のバルカローレ」
木々の中を舟が行きます。乗っているのはス―タンとミキちゃん。
「シャンゴ」の舟歌を想い出させるシーンです。
「シャンゴ」では、まるでローソクのような女役だった安奈淳、
冷たい歌声だけが印象に残ったこの人が…
4年後こんなに成長するとは…。
そんな感慨にふけっているうち…またも驚き。
こだまは実は「女の子のはしくれ」だったのです。
愛し合う二人を死なせてしまい、力を落としている星の王子を慰めるうち、
こだまは、いつしか愛を告白します。
安奈淳の持ち味以前の人間を感じさせる適役です。
そしてある意味…
宝塚の男役の本質をすべて出し切っているとさえ思います。
第十三場「愛のカプリチオ」
星の王子とこだまをかこむ、若者たちのダンス場面。
曲は「くるみ割り人形」から。
こだまが星の王子にいい寄ろうとする所など…
客席から可愛いと…声が出るほど。
ところが、これに嫉妬した夜の女王が、
その魔力で若者達の理性を奪ってしまいます。
第十四場「愛のトロイメライ」
セックスを象徴するダンスと予告文にあったので…ハラハラしましたが、
メインがこだまなので、ストーン氏の舞台処理もあって安心しました。
問題は…その後、
星の王子が火あぶりにされちゃうところかもしれません…。
人によってこの作品の受け取り方はいろいろでしょう…
今までのようにガンとぶつけてくるものはありません。
しかし、各場面の楽しさ・密度の高さはやはり天下一品で、
今のところ真帆志ぶきを活かせるのは鴨川作品という事です。
「さびしい」はずの11月に心躍らせてしまうこの公演、
まさに「ストーンド・ソウル・ピクニック」です。
来年のお正月地元関西では、笑う鬼をはり倒してでも
素敵なお年玉であることは、我ら江戸っ子が保証いたしやしょう。
書いていらっしゃる方もノリがよくてなんだか愉快な文章ですね。
クラシックをメインにロックティストを加えた
ラブ&ピースなミュージカル…
みたかったなぁ~。
テーマ:たからづかスケッチ
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