【木浦モッポ(韓国南西部)=釈迦堂章太、珍島チンド=中川孝之】韓国・珍島沖で旅客船「セウォル号」(6825トン)が沈没した事故で、韓国検察などの合同捜査本部は19日未明、同船のイ・ジュンソク船長(68)を特定犯罪加重処罰法違反や遺棄致死などの容疑で、3等航海士の女(25)と操舵そうだ手の男を業務上過失致死傷などの容疑で、それぞれ逮捕した。

 事故発生から4日目の19日も現場での捜索が続けられ、潜水士が船内で3人の遺体を初めて確認した。

 韓国政府関係者によると、船長らは16日午前8時50分頃、航路が狭い現場海域を航行中、速度を下げないまま無理に針路を変更して船を横転、沈没させたうえ、乗客に対して必要な退避措置を取らず、死傷させるなどした疑い。

 船長と操舵手は19日未明、逮捕前に、木浦の裁判所前で韓国メディアの取材に応じた。船長は、乗客に客室にとどまるよう船内放送した理由について、「潮の流れが速く、水温も低い。救助船も来ておらず、周囲に漁船や協力船もいなかった」と述べた。船が急旋回した時は、「寝室に用があり、ちょっと行って来る間にそうなった」と操舵室にいなかったことを認めた。容疑については「認める部分もある」と語ったが、最初に下船したことは否定した。

 操舵手は、船が横転直前に急旋回した理由について、「私が失敗した部分もあるが、いつもより随分速くかじが回った」と語った。

 また、韓国紙・中央日報によると、3等航海士は捜査本部の調べに対し、「ほとんど全速力で航行したまま、方向を転換した。操舵装置がぐるっと回り、船がバランスを失い、統制不能状態に陥った」と供述したという。当時の船の速度は19ノット(時速約35キロ)だった。