格安スマホ:3000円切って端末料金とデータ通信料コミ
毎日新聞 2014年04月18日 21時05分(最終更新 04月19日 00時38分)
NTTドコモなど携帯電話大手の半額程度の月額料金で使用できる、格安スマートフォン(多機能携帯電話)が広がりをみせている。格安スマホを利用するにはこれまで、利用者情報を記録する「SIMカード」と、スマホ端末を別々に購入して、利用者が通信できるように操作をする必要があったが、最初からセット販売する企業が増えた。携帯電話大手の間だけで繰り広げられてきた料金やサービス競争に異変が訪れている。
ビックカメラは18日、スマホの端末料金とデータ通信料を含めて月2830円(税抜き)の格安スマホの販売を始めた。端末は横浜市の中堅通信機器メーカー製で、月最大1ギガバイト分のデータ通信が可能。大手から乗り換えても電話番号は変わらない。ビックカメラ池袋本店(東京都豊島区)の森田武尚さんは「大手の料金プランは最低でも月5000円以上。少しでも安くしたいという顧客に応えたい」と話す。
通信サービスはインターネットイニシアティブ(IIJ)がNTTドコモから借りた回線を利用する。ビックカメラはこれまで、IIJが提供する通信サービスを利用できるSIMカードと、スマホ端末を別々に販売してきた。しかし、利用者側の手間がかかるためあまり普及しなかった。
まずは1000台の限定発売だが、売れ行きを見て継続するか決めるという。大手スーパー、イオンも4日から8000台限定で月2980円(税抜き)の格安スマホの販売を開始、今月中に完売する見込みだ。
IIJなど携帯電話大手から回線を借りて事業を行う仮想移動体通信事業者(MVNO)は、大規模で高価な通信設備を自前で持つ必要がないため、利用料を安く抑えられる。ただ限られた回線を多くの利用者で分け合うため通信速度は遅い。イオンの速度は大手の最大通信速度の約750分の1で、メールやホームページ閲覧には十分だが、動画はもたつく場合もある。ビックカメラは約10分の1で、高精細でなければ動画も楽しめる。
格安スマホを巡っては関西電力系通信会社「ケイ・オプティコム」(大阪市)が今夏の販売を予定しているほか、ビックカメラ以外の家電量販大手も検討を始めている。NTTドコモが6月から値下げにつながる新料金プランを導入するなど、大手も対応を迫られている。【横山三加子、種市房子】