【珍島=共同】韓国南西部、珍島沖の旅客船沈没事故で、韓国政府の合同捜査本部は19日未明、イ・ジュンソク船長(68)と操船していた20代の女性3等航海士、操舵手の3人を逮捕した。船長は事故につながる無理な操船をしたとの特定犯罪加重処罰法違反など、航海士ら2人は業務上過失致死などの容疑。聯合ニュースが報じた。
一方、韓国海洋警察などは同日朝にかけて夜通し周辺海域を捜索。しかし、生存者のいる可能性があるとみられる水没した船体内部に潜水士が入れない状況が続いている。19日昼ごろには16日の沈没から72時間が経過。陸上の生き埋め事故などでは生存率が大きく低下する目安とされ、水温11度前後の海に沈んだ船内では、空気があったとしても生存が難しい状況になるとみられる。
船長ら3人は18日夜に令状審査のため光州地裁木浦支部に出頭し、逮捕状発付直後に逮捕された。無理な旋回で船が沈む結果を招き、退避に必要な措置を取らずに乗客を死傷させたとされる。
船長は事故当時、操舵室を離れ3等航海士に操船を任せていた。発生直後には、乗客に動かないよう指示する船内放送が流れる中で自分は早期に船を離れていた疑いが強まっている。
海洋警察などの潜水士は18日、転覆した船体2階の貨物室のドアを開けわずかに中に入ったが、散乱する貨物に阻まれ中の状況確認もできなかった。客室のある3階は、ドアも開けられていない。普段から速い潮流と視界の悪さが原因で、今後も状況は好転しないとみられる。
海洋警察は18日夜に船の乗客数と救助者数を訂正し、死者、不明者の合計が増えて302人に達した。うち29人が19日未明までに遺体で見つかった。