作家・太宰治(1909~48)が石原美知子と結婚する際に井伏鱒二に宛てた「結婚誓約書」が、19日から46年ぶりに公開される。井伏とその妻が長く保管していた書簡で、遺品から見つけた遺族がこのほど、横浜市の神奈川近代文学館に寄贈した。同館で開催中の「生誕105年 太宰治展」の展示に、ほかの11通の書簡とともに急きょ加えられた。5月25日まで。

 「結婚誓約書」の公開は、68年に井伏の企画指導で開かれた「没後20年 太宰治展」以来となる。

 太宰は美知子との結婚前に、前妻と自殺をはかったことがある。38年に書かれたこの書簡の中で「ふたたび私が、破婚を繰りかえしたときには、私を、完全の狂人として、棄てて下さい」と、鬼気迫る様子で誓い、本名・津島修治の名で署名押印している。後日、婚礼後の別の書簡では「美知子を大事に致します。お世話になりました。ほんとうに、おかげさまでございました。しっかりやります」と述べている。(板垣麻衣子)