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凍土壁認可結論持ち越し 規制委着工時期、混迷深まる 第一原発

 東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水の抜本的対策とされる凍土遮水壁の本格施工が遅れる可能性のある問題で、原子力規制委員会は18日、さらなる安全性の確認が必要として認可の結論を持ち越した。特定原子力施設監視・評価検討会で、規制委から1~4号機の建屋内を同じ水位に保つ技術的手法など新たな指摘が相次ぎ、紛糾した。6月施工開始の計画は混迷を深めてきた。

■技術的手法に新たな指摘
 都内で開かれた検討会で経済産業省と東電から凍土壁の安全対策に関する説明を受けた規制委の更田豊志委員は「リスクが発生する可能性を『えいやっ』と決めた部分がかなりある。これだけで安全上の判断はできない」と総括した。
 規制委は凍土壁完成後に建屋内水位が地下水の水位を上回ると高濃度汚染水が建屋外に流出する恐れがあると指摘。安定的な水位管理のため、1~4号機の建屋内水位を同じ高さに維持する方策を示すよう求めた。東電の担当者は具体的な説明を避け、「次の会合で方策を示したい」と述べた。
 規制委はさらに、停電などで凍土壁の一部機能が失われた場合の対策や、凍土壁設置で地盤沈下など建屋の安定性が失われないかなどの問題点を示した。更田委員は「検討会の役割は凍土壁設置で安全上の問題が生じないか確認することだ。時間をかけて議論しなければならない」とし結論を出す時期は示さなかった。次回は5月上旬に開く予定。
 前回の検討会で焦点になっていた凍土壁の建設目的については、経産省の担当者が、「地下水を汚染源に近づけない対策」と説明し、建屋に滞留する汚染水を完全に取り除くという前回示した目的については触れなかった。更田委員は「(汚染水を完全に取り除くためには凍土壁を維持する)ある程度のイメージを持つ必要はある」と指摘した。
 経産省資源エネルギー庁原発事故収束対応室の新川達也室長は検討会後、報道陣に対し6月の本格施工の予定に変更はないとした上で「指摘について、理解を得るよう最大限の説明をしたい」と述べた。

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