健康保険組合連合会(健保連)は18日、大企業の会社員や家族が入る健康保険組合の2014年度予算をまとめた。全1410組合の平均保険料率は8.8%で、前年度より0.2ポイント増える。1人あたりの年間保険料(労使合計)は1万773円増の46万6616円。会社員本人は約5千円の負担増となる。消費増税に加え、健康保険料の引き上げが重なり、家計に響きそうだ。
健保連が1367組合のデータから全体の予算を集計した。保険料率の引き上げは7年連続。全体の約3割にあたる399組合が料率を引き上げる。例えば、味の素は0.6ポイント増の9.6%、JRグループは0.8ポイント増の9%に上げる。
健康保険料は月収に料率をかけた金額で、原則労使折半となっている。給与天引きなので、どのくらい支払いが増えたかを把握している会社員は少ない。
高齢者医療制度が始まる前の07年度と比べると、保険料率は1.5%、1人あたりの年間保険料は8万3004円も上がった。健保組合に加入する会社員1人当たりの平均年収は07年度は575万円だったが、14年度は540万円だ。年収が減るなかで料率が上がり、家計の負担感は強まっている。
保険料率が毎年のように上がるのは、健保組合が高齢者医療制度を支えるために義務的に払うお金が膨らんでいるためだ。14年度の支援金は前年度比257億円増の3兆3155億円だった。
15年度以降も負担が重くなりそうだ。厚生労働省は平均給与が高い企業ほど、高齢者医療制度への支援金を増やす仕組みの導入を検討している。厚労省の試算では、健保組合全体で1300億円の負担増となる。全体の6割強にあたる899組合で負担が増す。
健保財政の悪化は深刻だ。14年度は赤字組合が全体の8割を占める。中小企業の会社員が入る全国健康保険協会(協会けんぽ)の平均料率である10%を超える組合は251組合で、全体の2割弱だ。高い保険料を払って存続する組合は少なく、解散して協会けんぽに移行するケースが後を絶たない。
保険料収入のうち、高齢者医療制度への支援金は45%を占める。健保組合が会社員の病気予防で医療費を抑制しようとしても、高齢化に伴う支援金は増えるばかりだ。健保連の白川修二副会長は「財政はお先真っ暗な状況だ」と指摘する。健保連は、高齢者医療制度への公費投入拡大で、負担の増加を抑えてほしいと要望している。
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