2014年04月18日

生活保護見直し 過度な締め付けは心配だ

 2012年度の生活保護費は3兆7千億円に上った。過去最多を更新し続けている。受給者は6月時点で211万5千人を超えた。かつてない水準である。問題となっている不正受給額は、10年度に129億円まで膨らんだ。国民の批判が高まっているのは当然かもしれないが、総額からみて1%にも満たない額で、税金の無駄遣いからみてどうなのか。
 政府としては、不正は許せないと、不正受給に対して、罰金額を引き上げることを検討している。また、従来は不正が発覚しても返還させるだけだったが、制裁金を加算するという。制度に対して国民の信頼を回復し、不公平感を払拭したいという狙いは一定程度は理解できるが、狙いはそこにあるのではないだろう。自治体の調査権限を強化するのも特徴といえる。保護費を流用させないために、家賃は受給者を介さずに直接大家に納める。返還金を滞納した場合、訴訟手続をせずに自治体が財産を差し押さえることも考えている。
 親族に収入があるのに受給者を扶養できないようなケースでは、説明を義務付けることも義務付ける。芸能人の母親の受給が問題視されたことが背景にあるのではないか。
 厳しい対策が並ぶが、心配なのは過度な締め付けにより、本当に保護が必要な人まで制度の外に置かれる恐れがあることだ。「最後のセーフティーネット(安全網)」としての機能を損なわないようにしなければならない。政府は、支給水準そのものの引き下げも行う。全国各地で餓死や孤立死が相次ぎ、社会問題化した。保護相談の窓口を3度も訪れながら、受給を断念した40代の姉妹が亡くなった。保護を要する生活レベルなのに、利用世帯は約3割にとどまるという統計もある。困窮者の一部にしか、救いの手が届いていない実態をうかがわせる。求められるのは、入りやすく脱出もしやすい制度の再構築だ。
 08年秋のリーマン・ショック後、現役世代の受給者が急増している。積極的に就労活動する受給者には加算金を支払うことなども政府の政策になるようだ。だが、支えるケースワーカーの人手不足が深刻だ。就労などの実効を上げるには、受給者に寄り添うサポート役の拡充も欠かせない。受給者の増大は、年金や雇用制度などの不備にも一因がある。抜本的な改革は難しい。国会は社会保障制度改革の在り方を決める「国民会議」を早急に設置し、生活保護制度についても議論を尽くすべきなのだが、政治家はどこか違う方向を見ているようだ。
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2014年04月17日

生活保護の縮小よりも自立支援を!

 厚生労働省の生活保護対策を柱とした生活支援戦略は、働く意欲のある保護受給者への加算金創設の一方、不正受給への罰則強化、審査の厳格化などアメとムチを使い分けたのが特徴だ。膨張する保護費に歯止めをかけるのが狙いという。
 保護の受給者は高齢化や非正規労働者の増加で、過去最多の211万5000人となり、本年度の給付額は3兆7000億円に上る見通しだ。
 受給資格があるのに受けていない人はその3〜5倍もいるとされる。制度を知らなかったり、申請をためらったりするためだ。資産を隠すなど不正は許されないが、一部に問題があるからといって引き締めを強めれば、必要とする人がますます受けにくくなる。1月に札幌市白石区で孤立死した40代姉妹のように、行政や社会との接点を失う人が増えかねない。見直しには慎重さが欠かせない。生活保護はあくまで最後のセーフティーネット(安全網)だ。本当に困った時にすぐに使え、自立もしやすい仕組みにしていく必要がある。厚生労働省の戦略では、働く意志がなく2度打ち切られ、さらに申請があった場合の審査厳格化が盛り込まれた。就労意欲を評価するのは難しい。恣意的な判断を避け、きめ細かく審査するには、まず不足しているケースワーカーの増員が求められる。受給者のうち就労可能なのは約30万人という。こうした人たちの働く意欲を高め、確実に仕事に就いてもらうことが大切だ。
 厚生労働省の戦略では、保護を受けながら軽作業をする中間的就労の場の確保も掲げた。受給者の多くは、何度も職探しに失敗し自信を失い、心の傷を抱えている。本格的な仕事に就くための「助走期間」は必要だろう。ただ、雇用情勢は悪化している。中間的就労で雇った企業への優遇策や、行政などの後押しがなければ実現は難しい。横浜市は昨年10月から、社会福祉法人やメンテナンス業界と連携し、受給者対象の講座を開いている。2ヵ月間、挨拶の練習や行動予定表の作成を課すほか、模擬面接やビル清掃を指導している。受講者のうち56%が就職したという。こうしたケースを参考にしたい。自立しても、すぐに生活保護に逆戻りすることがあってはならない。求められるのは、生活保護を含めた貧困対策の拡充だ。実質的な収入増になるよう低家賃の住居の提供や、最低賃金の引き上げなど国、自治体、企業が対策を張り巡らさなければならない。
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2014年04月16日

貧困層の増大を直視すれば、新たな締め出し・締め付けなど本末転倒

 生活保護見直しが議論されているが、前提が間違っている。保護費の膨張に歯止めをかけることが狙いという前提である。生活保護受給者が210万人を超えたという事態をどう見るのか。貧困層が増えている証しだ。
 それだけにとどまらない。
 「受給資格があるのに受けていない人はその3〜5倍もいるとされる」
 「保護を要する生活レベルなのに、利用世帯は約3割にとどまるという統計もある」
 「(保護)対象者のうち実際の利用者の割合を示す『補足率』は20%にすぎないと言われる」
 「欧州諸国の5〜9%と比べて1・6%の生活保護利用率しかないなど必要な人が利用できていない」
 言い方はさまざまだが、生活保護が必要な世帯・人は受給者の3倍は存在しており、しかも増えている。この現実、貧困層の増大こそ前提として見直すべきなのだ。
 「日本では急速に貧困層が拡大している。現実を直視し、貧困の固定化を防ぐ対策を打たなければ生活保護の肥大化に歯止めをかけることはできない。基準の切り下げだけでは何の解決にもならない」(京都新聞)
 「不正は許されないが、一部に問題があるからといって引き締めを強めれば、必要とする人がますます受けにくくなる。1月に札幌市白石区で孤立死した40代姉妹のように、行政や社会との接点を失う人が増えかねない。見直しには慎重さが欠かせない」
 「自立しても、すぐに生活保護に逆戻りすることがあってはならない。求められるのは、生活保護を含めた貧困対策の拡充だ。実質的な収入増になるよう低家賃の住居の提供や、最低賃金の引き上げなど国、自治体、企業が対策を張り巡らさなければならない」(北海道新聞)
 「心配なのは過度な締め付けにより、本当に保護が必要な人まで制度の外に置かれる恐れがあることだ。『最後のセーフティーネット(安全網)』としての機能を損なわないようにしなければならない
 「全国各地で餓死や孤立死が相次ぎ、社会問題化した。保護相談の窓口を3度も訪れながら、受給を断念した40代の姉妹が亡くなった。
・・・・困窮者の一部にしか、救いの手が届いていない実態をうかがわせる。」(新潟日報)
 「留意したいのはどんなに適正化しても、それで貧困問題の解決にはならないことだ。
締め付けが行き過ぎれば、かえって社会保障の最後のセーフティーネット(安全網)さえ機能不全に陥る恐れがある。むしろ、いかに生活保護から脱してもらうか、自立支援にこそ力を入れるべきだ」
 「生活保護を受けることに負い目を感じる人が申請を控えかねないとの指摘がある。もっともだ」
 「適正化は当然だが、真に助けが必要な人を見捨てない仕組みづくりを優先する社会の方が望ましくはあるまいか。やむを得ない事情で生活に困る人がいる現実を見据え、安定生活を保障する対策を講じることこそが求められよう」 (愛媛新聞)
 「救うべき人を放置したまま支給水準を切り下げれば、日本弁護士連合会も危惧するように、際限のない引き下げにつながりかねない。(中国新聞)
 そもそも、生活保護受給者が210万人を超え、さらに貧困層が拡大している原因は何か。
 「生活保護受給者は今年6月時点で211万5千人に上る。戦後の混乱期にも200万人を超えていたが、経済成長に伴い減少。それが増加に転じたのは1995年からで、リーマン・ショックによって現役世代の受給も急増した。日本経済の停滞と軌を一にしている。非正規雇用が増え、失業が生活困窮に直結する社会では、生活保護は多くの国民にとって身近な問題だ」(琉球新報)
 「今問題なのは雇用の悪化や非正規雇用の広がりで、『働きたくても働けずに困っている』現役世代の受給者の増加だ。高齢や病気でなく働ける人が約40万人いると推計されている。就労への支援が最も求められている」(東京新聞)
 「経済状況の悪化と、そのもとで人減らし・リストラをすすめてきた政府・大企業の責任です。働く場を奪っておいて、『就労』を強い、不熱心だから保護を厳しくするというのは本末転倒です」(赤旗)
 という見方も一理ある。大企業に対して、雇用を守る社会的責任を果たさせることも政治の責任としてやるべきだろう。
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2014年04月15日

アメリカでも世代間の年金格差問題が…

 アメリカでは世代間の年金格差の問題も浮上している。アメリカの産業界では、企業年金の積み立て不足が経営を圧迫しとぃる。アメリカの企業年金では、一般的に年8%の予定利回りを前提に給付水準を決めているが、実際の運用利回りは過去10年の平均で5%にとどまっている。その背景には、2008年の金融危機後の株価低迷や、金利低下による運用不振がある。
 実際の利回りは予定する運用利回りより大きく下回っているので、企業は年金の積み立て不足分を負担しなければならない。そこで企業は、将来の負担を軽減するために、年金制度の見直しに動き始めた。確定給付型の年金制度を採用している企業の多くが、現役世代の予定利回りを引き下げたり、新しく採用する従業員に対しては、確定給付型ではなく確定拠出型の年金に切り替えたりするなどの対応を進めている。
 企業年金だけでなく、州や地方政府が運営する公的年金でも積み立て不足が深刻になってきた。年8%の予定利回りに対して、過去10年の運用利回りは4%なので、企業年金よりも苦しい状況にある。州や地方政府はもともと財政難にも苦しんでいるので、予定利回りの引き下げや確定拠出型へ移行する動きが企業よりも進んでいる。これは先ほどの賃金の格差問題と同じで、過去の厚遇を受け続けている世代のツケを後の世代が払わされる格好になっているわけだ。
 アメリカは景気回復が遅れる中で、年金財政の状況でもバブル崩壊後の日本と似た状況になっている。日本では、少子高齢化の加速だけでなく、アメリカに先行した低成長や低金利の長期化そのものが企業年金や公的年金を圧迫してきた。日本の場合、60代後半より上の高齢者層は手厚い年金制度の恩恵を受けて逃げ切れるかもしれないが、50代ではとても逃げ切れないし、40代より下では若くなるほど、年金負担が増加する一方で給付額は減らされることになってきた。
 中間層に位置している多くの人々が、貧困予備軍に吸収されていくことが予想される。ウォール街で起こった大規模なデモの背景には、今のアメリカが抱える問題が凝縮されていると言える。いや、アメリカだけではない。日本はもちろん、多くの先進国でも同じような問題を抱えている。そこには、かつてのような高い成長を維持できなくなった社会が、もがき苦しんでいる姿が映し出されているのだ。
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2014年04月14日

国会が博打を推奨する異常事態

 国家戦略特区に関しては、カジノをつくって博打をやらせようとしていることも見逃せない。中国・マカオが、アメリカのラスベガスを抜いて世界で最も売り上げの大きなカジノとなったが、その規模は3兆円である。ところが、恥ずかしいことに、日本のパチンコ・パチスロ産業は19兆円市場であり、すでに世界屈指のギャンブル大国といえる。
 ある弁護士はこう言う。
 「クレジットカードやサラ金による多重債務者の救済をしてきた経験上、ギャンブルの依存症になって相談に来るケースが多くある。ギャンブル依存症は1つの病気であるとWHOも認めている。厚生労働省の調査でも、依存症にかかっている人は数百万人いるとされているが、この対策はほとんど取られていない」
 隣国の韓国は、国家機関の中に依存症対策のセクションがあり、パチンコは06年に全面禁止になった。
 韓国内には17ヵ所にカジノがあるが、韓国民が利用できるのは、そのうちの1ヵ所だけだ。ソウルからバスで2時間半くらい走ったところにあるカンウォンランドがそれだが、この1ヵ所だけでも、全財産をなくしたあげくに自殺した人が10年間で35人出ている。強盗、殺人、窃盗などの犯罪が激増し、周辺で野宿するホームレスも増えている。このようなことが大きな社会問題になっているのである。
 超党派の国会議員から成る国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)の最高顧問を務めているのが安倍首相と麻生太郎副総理、石原慎太郎・日本維新の会共同代表、小沢一郎・生活の党代表で、ほかにも主だった国会議員が顧問に名を連ねている。議連には与野党135人の国会議員が入っている。博打は刑法で禁止されているにもかかわらず、首相をはじめ錚々たるメンバーが博打を勧めているのは異常だ。
 安倍政権は、貧困拡大政策と併行して、解釈改憲で集団的自衛権の行使を容認しようと躍起になっている。貧困拡大と集団的自衛権の行使容認はどのような関係があるのか。また貧困対策とカジノはどんな関係があるのか。まったくもって理解できない。
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2014年04月13日

米国でも世代間の年金格差問題が

 アメリカでは世代間の年金格差の問題も浮上しつつある。米国の産業界では、企業年金の積み立て不足が経営を圧迫し始めた。米国の企業年金では、一般的に年8%の予定利回りを前提に給付水準を決めているが、実際の運用利回りは過去10年の平均で5%にとどまっている。その背景には、2008年の金融危機後の株価低迷や、金利低下による運用不振がある。
 実際の利回りは予定する運用利回りより大きく下回っているので、企業は年金の積み立て不足分を負担しなければならない。そこで企業は、将来の負担を軽減するために、年金制度の見直しに動き始めている。確定給付型の年金制度を採用している企業の多くが、現役世代の予定利回りを引き下げたり、新しく採用する従業員に対しては、確定給付型ではなく確定拠出型の年金に切り替えたりするなどの対応を進めている。
 企業年金だけでなく、州や地方政府が運営する公的年金でも積み立て不足が深刻になってきた。年8%の予定利回りに対して、過去10年の運用利回りは4%なので、企業年金よりも苦しい状況にある。州や地方政府はもともと財政難にも苦しんでいるので、予定利回りの引き下げや確定拠出型へ移行する動きが企業よりも進んでいる。これは賃金の格差問題と同じで、過去の厚遇を受け続けている世代のツケを後の世代が払わされる格好になっているわけだ。
 アメリカは景気回復が遅れる中で、年金財政の状況でもバブル崩壊後の日本と似た状況になりつつある。日本では、少子高齢化の加速だけでなく、アメリカに先行した低成長や低金利の長期化そのものが企業年金や公的年金を圧迫してきた。日本の場合、60代後半より上の高齢者層は手厚い年金制度の恩恵を受けて逃げ切れるかもしれない。しかし、50代ではとても逃げ切れないし、40代より下では若くなるほど、年金負担が増加する一方で給付額は減らされるばかりである。
 中間層に位置している多くの人々が、貧困予備軍に吸収されていくことが予想される。ウォール街で起こった大規模なデモの背景には、今のアメリカが抱える問題が凝縮されていると言える。いや、アメリカだけではない。日本はもちろん、多くの先進国でも同じような問題を抱えている。そこには、かつてのような高い成長を維持できなくなった社会が、もがき苦しんでいる姿が映し出されているようだ。
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2014年04月12日

アメリカの経済は楽観できないのに…

 日本において米国経済というと、まずNYダウ平均株価や大企業の業績ばかりに目が行ってしまうが、アメリカの企業のうち約7割が中小企業で、雇用の7割は中小企業によるものなのだ。また、その多くが大都市ではなく地方都市に存在している。
 したがって、アメリカ経済の先行きを見るならば、注目すべきは「メイン・ストリート」経済のほうで、NYダウ平均株価や大企業の業績ではなく、中小企業や雇用の情勢、さらには住宅価格を見なければならない。
 では、2012年以降の段階で、中小企業や雇用、そして住宅価格はどうなっているのか。
 中小企業や雇用については、依然厳しい状態が続いている。ただでさえ、地方の銀行はバブル期に不動産融資にのめり込んでしまったために、大手銀行に比べて財務の改善が一向に進んでいない。加えて、FRBの金融緩和により、短期金利がゼロのままで長期金利の低下が進み、銀行が行う貸し出しの利益幅は縮小し続けてきた。その結果、銀行の収益力は著しく低下することになった。そこで銀行は、融資先を財務内容が健全な企業に絞り込まざるをえなくなった。
 収益力が高かった以前であれば、100の企業に同じ金額だけ貸し出して1つや2つの企業が倒産しても十分に利益が上がった。しかし、長期金利が2%前後となっては、1つの企業が倒産するだけでも利益が出なくなってしまう可能性があるため、融資先を絞らざるをえないのだ。そして、そのしわ寄せは一般的に大企業と比べて信用力も財務内容も劣る中小企業への貸し渋りとして表れる。
 そんな状況下で、雇用が増えるはずはない。アメリカの失業率は、リーマンショック後、一貫して9〜10%前後と高い水準で推移した。さらに企業では、正社員を減らして派遣社員を増やすという「日本化」が進行している。
 実際には、長引く雇用環境の悪化から職探しをあきらめる人々が増えたことで、労働参加率が1983年以来の水準に低下している。
 したがって今後は、多少なりとも景気が上向いたと感じられる指標が出て来たときには、再び職探しを始める人々が増えてくることが予想される。だから、失業率がこのまま低下傾向を維持し、7%台に下がって定着するということは考えにくい。
 一方の住宅・不動産価格についても、決して明るい見通しは立てられない。もっとも、2011年10〜12月の中古住宅販売件数は、3カ月連続で増加し、過去最低水準の住宅ローン金利が消費者の購入意欲を刺激しているという解説も聞かれるようになった。しかし、最悪期を脱したように見える住宅市場でも、ピーク時に比べるとなお半分以下にとどまる業界統計も多いのが現実である。
 また、住宅価格についても同様で、代表的な住宅関連指標であるS&Pケース・シラー住宅価格指数は、2011年3月に住宅バブル崩壊後の最低値を付けてから、その後は8月まで5ヵ月連続で前月比で上昇したが、再び9月から5ヵ月連続の前月比で下落に転じた。直近の1月分の主要20都市の指数を見ると、前年同月比で3.8%下落、16カ月連続の下落となっている。すでに前月分の指数では、2003年2月以来の低水準とねり、住宅バブル崩壊後の最低値を更新した。住宅価格は依然として底値圏にあり、本格的に上向く気配はまったく見えない状況なのだ。
 住宅価格の低迷は、家計のバランスシートの悪化に直結する。自宅を売っても住宅ローンを完済できない債務超過の家計は、全体の4分の1(約1000万世帯)にも達した。可処分所得に対する債務の比率も、2007年の130%から2010年には115%まで下がったが、過去の平均の75%まで下がるには、あと10年はかかるかもしれない。そうなると、家計は借金返済を優先せざるをえず、消費が右肩上がりで持続的に回復するということは考えにくい。
 このように、米国経済を動かす「本質」の部分、すなわち「メイン・ストリート」に注目すれば、株式市場がリーマンショック後の高値を更新してきたのとは対照的に、多少の失業率の低下や住宅関連指標の改善があったとしても、アメリカの経済の先行きが決して楽観できないのである。
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2014年04月11日

大企業優遇政策

労働問題に関しては、雇用破壊が進められている。リーマンショック後、派遣切りされた労働者が寮や社宅を追い出されて、貯金を使い果たし、野宿を余儀なくされる人がたくさん出た。
 08年暮れから09年始めにかけて日比谷公園にテント村が設置され、野宿者たちの支援活動をしたが、それが大きく報道されたことで、自民党政権による失政の象徴のようになった。その後に民主党政権が成立し、不十分ではあったものの労働者派遣法が改正されたが、今度はまた全面的に派遣労働の規制を緩和しようとしている。
 派遣の場合は、現在は専門26業種に限って期間の制限がないのだが、それを全業種期間の制限を撤廃している。また、限定正社員制をつくり、正社員でも解雇しやすいようになった。
 国家戦略特区構想は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と密接な関係がある。韓国では、アメリカとFTA(自由貿易協定)を締結する前に特区制度がつくられており、医療や教育などについて規制緩和が行われている。
 国家戦略特区は、雇用・医療・教育・農業などの分野にまたがり、関連の法案も出されている。一番の問題は、雇用特区においては、簡単に解雇でき、残業代を払わなくてもいいような制度の導入を目論んでいることだ。
 しかし、このような雇用特区構想は、実質的に“解雇特区”であると批判されたことで先送りにはなったが、安倍政権は、基本的にこのような考え方を変えていない。
 安倍首相は、『企業が世界一活動しやすい国をつくる』というスローガンを掲げ、労働者を解雇しやすく、残業代も払わなくていい制度をつくろうとしている。確かに、そういう特区ができれば企業には天国だが、働いている人にとってはまさに地獄である。
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2014年04月10日

英独は生活保護受給者9%台、日本は餓死者多発

今回の生活保護法の改悪では、扶養義務者の調査を強化することになった。例えば、生活困窮者が生活保護を申請する場合に、実家にどれだけ扶養能力があるかなど、扶養義務がある親族の収入や資産が徹底的に調査される。
 12年の4月頃、ある人気お笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことに対してバッシング報道があった。現在の生活保護法では、扶養義務者の扶養能力は生活保護受給の要件になっていないにもかかわらず、あたかも不正受給のように報道された。
 さらにワイドショーなどは、生活保護受給者がパチンコ屋に行っているところを隠し撮りして放送し、生活保護受給者が働かずに遊んで暮らしているかのようなイメージをつくった。
 このような生活保護受給者バッシングを利用して、安倍政権は生活保護制度を改悪した。日本では、生活保護受給者が約215万人おり、全人口の約1.7%だが、ドイツは同9.7%に当たる約790万人、イギリスは同9.27%に当たる570万人が生活保護制度を利用しているが、これらの国々ではバッシング報道など起きていない。
 日本では生活保護受給資格のある人のうち、実際に制度を利用しているのは、学者の調査では2割以下で、厚生労働省の調査でも3割くらいなのだ。
 そのために孤立死や餓死が多発している。昨年5月24日に、大阪で28歳の母親と3歳の男の子の遺体が発見されたと報道されて注目を集めたが、捜査官の話によると、公共料金の請求書に「おなか一杯食べさせられなくてごめんね」という書き置きがあったという。この母子が生活保護制度を利用していれば命は助かったと思うのだが、実際にこういうことが多発している。
 生活保護受給者数は過去最多を更新し続けているが、受給者が増えている理由は、格差が広がって生活困窮者が増えているにもかかわらず、社会保障が不十分だからである。このような根元的な原因を手直しするのではなく、生活保護受給者をバッシングして生活保護を受けにくくするのは、弱者切り捨ての政策といえる。
 安倍政権はさらに、医療・介護・年金などの社会保障制度全体に変更を加えようとしているが、それは憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を空洞化させようとするものだ。これは低所得者にとって非常に厳しい政策といえ、さらに4月からは消費増税により、ますます格差と貧困を拡大させている。
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2014年04月09日

米国民の3分の1は貧困層か貧困層予備軍

 米商務省の統計によると、米国の「貧困層」は4600万人にも及んでいる。世界最大の経済大国で、実に7人に1人が貧困層という事実に、米国では衝撃が走った。ところが、本当の恐ろしさは、4600万人の背後にまだ表面化していない多くの「予備軍」が控えていることだ。米国政調査局が2011年11月に明らかにした新貧困算定基準に基づくと、何と米国民の3人に1人が貧困、あるいは貧困予備軍に入る計算になる。
 かつての豊かな米国を象徴する自動車産業では、全米自動車労働組合に属する労働者は手厚い賃金や福利厚生を受けてきた。ビッグ・スリーの経営難で多少待遇は見直されたものの、今でも労働者の基本給は時給30ドル、ボーナスや福利厚生も考慮すると年収は10万ドル前後と恵まれている。この豊かな中間層の人々が、米国経済の活力の源泉であるのは疑いようがない。
 ところが、ここ数年間で新規に採用された労働者の賃金体系はもとからいる労働者とは異なり、時給はわずかに14ドルあまり、福利厚生も大きく削られているため、年収は約2万7000ドル前後にしかならない。これは貧困層をわずかに上回る水準。これが何を意味するのかと言うと、生産性が低いのに高い収入を得てきた世代のツケを、不当にも若い世代が自分の収入を減らして払っているようなものなのだ。
 生産性も変わらない同じ仕事をしているというのに、年収が4倍近くも開きがあるのは、おかしい。この賃金体系の格差が維持されたままで10年、20年と経てば、多くの中間層が消えてしまうことになる。長い目で見ると、世代間の賃金格差は豊かな中間層の喪失を意味している。
 全米自動車労働組合の例は行き過ぎとしても、実は日本でも同じようなことが10年以上も前から起こっている。それは、日本経済の長期低迷により、バブルを経験した世代と若い世代の賃金格差が広がってしまったことだ。史上空前の好景気を経験した世代はそのときに給料が大きく伸びたのに対して、1998年以降に社会人になった若い世代は給料があまり伸びていない。日本もあと10年も経てば、米国に先駆けて中間層が大きく減少してしまう。
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2014年04月08日

生活保護費削減で3日分の食費失う

昨年の国会では、秘密保護法以外にも重要な法案がいくつも可決されている。前回の通常国会で生活保護基準が変更され、昨年8月1日から生活保護費が引き下げられた。3年間で670億円削減させる予定になっている。生活保護に関しては、03年に0.9%、04年に0.2%と、過去2回基準が引き下げられているが、今回の引き下げ幅は平均が6.5%、世帯によっては最大10%の支給額引き下げになっており、制度利用者が大変なダメージを受けてしまう。
 支給額の見直しは、物価下落を大きな理由とするものだが、物価が下がっているのはパソコンや家電製品などで、生活必需品、水道光熱費、公共交通機関の料金、灯油などの生活に直結する費用は円安の影響等により、むしろ上がっている。そういう中で生活保護世帯の生活費を670億円も削減するのだ。
 ある生活保護受給者は、昨年8月から受給額が2000円下がったという。その人の食費は1日700円くらいで、2000円は約3日分の食費に相当する。その2000円の痛みが国会議員にはわかっていない。
 また、生活保護に関しては、改悪となった問題がほかにもある。その1つは、申請方法の変更である。それまで口頭でも可能だった生活保護申請は、書面で申請しなければならなくなったのだ。その際に、収入や所有財産を証明する資料を添付しなければならないのだが、路上生活者やDVの被害者などは、収入や財産を証明する資料がない者が多く、書類不備を理由に窓口ではねつけられる可能性が出てきた。
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2014年04月07日

アメリカ―株価が上がっても景気がよくなるとは限らない

NYダウ平均株価は現在1万3000ドル前後で推移している。GDPの7割を占める個人消費も回復基調を維持しており、失業率も徐々に低下傾向を辿ってきた。これらを受けて、米国経済の先行きについては、楽観的な見方がいまだに優勢である。
 しかし、本当に米国経済は底堅いと言えるのか。実は昨年の今頃も、米国経済に対するエコノミストたちの見方は非常に楽観的だった。あたかも世界経済の危機は去ったかのように報じられたが、成長率の回復や株価上昇は、戦後最大規模の財政出動や量的緩和策の効果によるもので、景気は回復にはほど遠い状況にある。
 さらに、ギリシャ危機をはじめとする財政問題で、欧州各国が財政再建に舵を切らざるを得ず、世界経済の下振れ要因になる。つまり、この先、景気を下支えする各国の財政政策は行き詰まるということが、目に見えていた。
 では、なぜエコノミスト多くが、見通しを誤ったのか。その答えは、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授の見解に端的に示されている。スティグリッツ教授は、リーマンショック後の米国景気の先行きに、一貫して厳しい見方を示してきた。市場関係者の多くが2011年後半からの回復を予想していたのに対し、米国の景気後退リスクに警鐘を鳴らしてきた。
「多くのエコノミストが株価に影響を受けすぎている。株価は景気が悪くても上がることがあるが、株価が上がると景気が良くなりそうに思えてしまう」
 エコノミストの多くが「ウォール・ストリート」しか見ていないことが、見通しを誤らせる最大の原因なのだ。
 米国経済には、「ウォール・ストリート」経済と「メイン・ストリート」経済の2つの経済が存在する。「ウォール・ストリート」経済とはまさに、ウォール街を中心とした金融中心の経済、あるいは株式市場に上場している大企業の経済を意味している。一方、「メイン・ストリート」経済とは、米国経済の大部分を占める中小企業や地方経済を意味する。
 新聞やニュースなどで目にしているのは、「ウォール・ストリート」という米国経済の光の部分に過ぎない。その光の部分の過去3年間の状況を簡単に振り返ってみると、オバマ政権が輸出倍増計画を推し進めていたところに、FRBが大規模な量的緩和でアシストする形でドル安が進んだ。その結果、大企業の収益が順調に拡大し、株式市場が上昇するという好循環を生んだ。
 ところが、政策的に優遇されている「ウォール・ストリート」に対し、「メイン・ストリート」にある中小銀行や中小企業は苦しい状況に置かれたままだ。特に地方銀行を始めとする中小銀行は、財務がまったく改善していない。地方の中小銀行の多くは、いまだに商業用不動産融資の焦げ付きや不動産ローン担保証券の含み損で身動きが取れない状態に陥ったままなのだ。全米のあちらこちらで、融資先のショッピングセンターが廃虚化してしまうというケースも珍しくない。
 預金の保護を行っているアメリカ連邦預金保険公社(FDIC)によると、破綻した銀行は、2008年の25行から2009年には140行、2010年には157行と急増しました。2011年こそ92行に減少しましたが、米国にある8000あまりの地方金融機関のうち、健全性に問題がある(=いつ破綻してもおかしくない)銀行は、依然として813行もある。この数字は、リーマンショック後で最悪だった2011年3月末の888行からさほど大幅には減少していない。
 地方経済と不動産融資は密接に結びついているため、不動産バブル崩壊の影響は、地方に深刻な事態をもたらしている。地方金融機関の財務が悪化すれば、当然のことながら、中小企業への融資は減少する。その結果、資金繰りを心配する中小企業は、人件費を含めたコスト削減に踏み切らざるをえない。米国では民間の雇用の7割を中小企業が担っているので、地方金融機関の経営不安は、地方の雇用不安というよりも米国全体の雇用不安を生じさせることになる。
 米国経済の本当の姿を見極めようとするには、「ウォール・ストリート」ではなく、「メイン・ストリート」の状況をよく見なければならない。それは、米国経済を見るには、雇用と住宅価格に注目すべきだということなのだ。
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2014年04月06日

貧困層がより貧困に落ちる波が、待ったなしで来ている

 大企業に潜り込むことができた人たちは、2013年のアベノミクスによって賃金やボーナスが数%アップしたと言われているが、これは中小企業と若年層には回らない。
 内閣府が2103年12月2日に出した賞与動向によると、500人以下の企業では賞与は増加しないし、むしろマイナスになったという現状がある。
この状況で消費税が引き上げられるのだから、格差は2014年4月以降さらに開いていくことになるのは必至だ。そして、それによって貧困層がより貧困に落ちる。
日本の社会では、1980年代から非正規雇用での就労者が拡大している。この非正規雇用は、企業にとって非常に便利な仕組みだった。
 「出世させる必要がない」
「景気が悪いとリストラできる」
「壊れたら別の人間に入れ替えられる」
 日本企業の重荷になっていた終身雇用と年功序列が外せるのだから、これほど企業にとってコスト削減になるものはない。だから、今やこの非正規雇用が主流になっている。
 しかし、これは日本人の人生設計を不安定にするものだ。実際、景気が悪かった1990年代から2000年代にかけて、非正規雇用者は次々とリストラされていた。
 そして、次の仕事はどう探しても正社員など見つからず、またもや非正規雇用になってしまうので、リストラされた人の多くが貧困層に転がり落ちた。
 労働条件が格段に悪くなっており、それが日本人の貧困層を拡大させているのである。一方で、サラリーマンに見切りをつけて起業した人間も地獄を見ていた。
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2014年04月04日

生活保護制度の扶養義務を考える

「扶養義務の範囲」は、日本の民法では「配偶者間、直系血族、兄弟姉妹、その他の三親等以内の親族」に扶養義務を定めているが、欧米では「配偶者間と未成年の子」が主流である。実際、フランスでは「配偶者間と25歳未満の子」、イギリスでは「配偶者間と16歳未満の子」、スウェーデンでは「配偶者間と18歳未満の子」となっており、アメリカも州によって異なるが同様である。なお、ドイツは「配偶者間、親子間・その他家計を同一にする同居者」であったが、2003年の改正で、高齢者・障害者の扶養義務は年10万ユーロ(約1200万円)を超える収入がある親や子に限定している。
 この点で日本の扶養義務の範囲は世界標準ではなく、伝統的な家族主義の名残から、貧困リスクに対して、家族間でのリスクシェアを前提している可能性が高い。もっとも、「配偶者間、直系血族、兄弟姉妹、その他の三親等以内の親族」のうち、「その他の三親等は家庭裁判所が認めたとき」、また、「未成年の子以外は生活に余裕があるとき」に扶養義務を課すこととなっており、比較的緩い運用がなされてきた事実も重要である。
 だが、現在のところ「生活に余裕があるとき」の基準は曖昧であり、基準を今後厳格に適用する場合、扶養義務の基準に該当する貧しい親族を多くもつ個人とそうでない個人がいるとき、個人の意思決定とは無関係に出生の環境が異なるだけで、前者に過重な負担をもたらす可能性がある点を十分に議論する必要がある。
 なお、どの個人も一定の確率で貧困に陥るリスクがある場合、経済学的には、「大数の法則」によってリスクシェアを行うプールは大きいほうがよいのは明らかである。その場合、配偶者間と未成年の子を除き、リスクシェアを社会全体で行おうとする欧米式の扶養範囲のほうが合理的である。いずれにせよ、日本の扶養義務の範囲は厳しく、欧米と比較して国際標準でないということである。
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2014年04月03日

公平・公正で持続可能なセーフティネットの構築を!

解雇規制の緩和を訴えながら生活保護をもっと気軽にもらっていい、と言うのは支離滅裂にみえだろうか。セーフティネットを企業から切り離すのであればその分をどこかでまかなう必要がある。結果的に失業保険や生活保護が増えるなら誰かが負担しなければいけない。
生活保護は減らせ、解雇はかわいそう、と場当たり的な対応を続けていけば、今後のさらなる負担増に到底耐えられない。全ての人が考えるべき事は、効率的な社会保障の運営という根本的な課題だ。
大学生に「水際作戦はやり方が間違っているけど、ワカモノの負担を減らすためなんだよ。焼け石に水だと思うけどね」と言ったらどう反応するだろうか。きっと自分と無関係だと思っていた役所・警察OBの極悪非道な行いが自分の生活と繋がっていることに、初めて気がつくかもしれない。今やるべきことは水際作戦や生活保護のカットでないことは間違いない。
・社会保障費の負担はざっくりと年金が50兆円、医療費が30兆円、生活保護は3兆円。
・真っ先に削るべきは最も額が大きく、影響が少ない年金である。
・社会保障は誰かが必ず負担しなければいけない。
・今後の社会保障費の増額には年金をカットした分をあてれば世代間の格差は広がらない。
・場当たり的な対応をやめ、社会保障費全体で効率的な運用をしなければ今後の負担増には耐えられない。
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2014年04月02日

社会保障は誰かが負担しなければいけない

生活保護でも失業保険でもセーフティネットのコストは必ず誰かが負担しなければならない。
もし「失業保険」や「生活保護」を企業負担にすることが最適な形ならばそれでもいい。
しかし実際には企業にセーフティネットを過剰に負担させるとさまざまな問題が発生する。どちらにしろ誰かが負担しないといけないのならば、一番副作用が少ない国が負担すべきだろう。
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2014年04月01日

水際作戦の無効化

あれこれ文句を言った所で生活保護の水際作戦は今現実に行われている。これを回避しないことにはどうにもならないわけだが、実はさほど難しくはない。必要なものはネットだけだ。
窓口で申請用紙が貰えない、相談だけで追い返される、というなら窓口に行かなければいい。窓口にコワモテの警察OBを置けば申請希望者を追い返せる、と地方自治体は考えているのかもしれないが、多くの自治体では電子化がかなり進んでおり、申請用紙はウェブ上で公開されていて、「生活保護法施行細則」と検索すれば出てくる。これに申請をしたい市区町村の名称を一緒に検索すればいいのだ。
 たとえば埼玉県の川口市ならば以下のページに必要な書類がそろっている(*注・川口市が水際作戦をやっているというわけではないので念のため)。
川口市生活保護法施行細則によると、申請書が22種もあり、この中から必要に応じて間違いなく書類を書いて提出しなければいけない。非常に面倒な作業なので、行政書士等に作成の代行を依頼したほうがいいだろう。役所が水際作戦で書類を渡さないのは、正式な書類が提出された場合、申請を却下するには正当な理由が必要だからだ。
書類がウェブ上に無い自治体はよその自治体のものを使ってもいい、申請はファックスで送ってもいい、など行政書士によっていろいろと見解はあるようだが、これについては自治体ごとの(本来はやってはいけない)独自ルールもあるので門前払いされる可能性も十分ある。行政書士等と協力しながら書類の作成や申請作業を進めるといいだろう。
日本の生活保護の補足率は20%程度ではないかという指摘もある。実際には現在の5倍の受給者がいてもおかしくないのだ。これは単純計算で現在の3兆円から15兆円まで生活保護費が増える可能性があることを示している。受給者の半分近くを占める高齢者もどんどん増える。現場の不公正な努力で負担増を食い止めるのは到底無理な状況である。地方自治体も厚生労働省も意味のない水際作戦はすぐに辞めて根本的な対策を考えるべきだろう(本来は政治家の役目なので、彼らが押し付けられる仕事ではないのだが……)。
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2014年03月31日

効率的な社会保障の運営

生活保護削減による効果は670億円と、約100兆円にも上る社会保障費全体から見ればほとんど誤差の範囲だ。過去3年で生活保護費が8000億円も増えた状況を考えれば焼け石に水だ。生活保護で考えるべきことは今後の増加に備えた効率化であることは間違いない。
 これについては現金給付となっている生活扶助や住宅扶助を、介護扶助や医療扶助と同じく現物給付にする、つまり寮のような形にすることも検討していいのではないか。そして今後確実に増加するであろう生活保護費は年金のカットで十分穴埋めが可能なのだ。
 社会保障費100兆円のうち、年金は50兆円、医療費は30兆円、生活保護は3兆円となっている。年金は1%カットするだけで5000億円ものコストが浮く。そしてその大半が高齢者に回るのであれば、高齢者同士の助け合いということで決して悪い話ではない。世代間格差の拡大をせずに社会保障費を確保するにはこれくらいしか方法はないかもしれない。年金カットに納得できない高齢者もいるだろうが、将来の高齢者(今の若者)と今の高齢者の平等を考えるのであれば、年金のさらなるカットは当然かもしれない。
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2014年03月30日

水際作戦をやる理由

地方自体は生活保護費の1/4を負担している。受給者が増えれば負担が増えるのだから、少ないほうが良いに決まっている。本来は社会保障全体を根本的に見直さなければいけないのに、それを放置して対処療法を続けていることが現場が混乱をもたらす最大の理由だ。
 もちろん、実際には何もしていないわけではない。年金は2015年4月までに3段階で2.5%引き下げる。生活保護についても2015年4月までに平均で6.5%引き下げる。いずれも物価下落分を反映させるだけだから購買力はほとんど変わらない、と一見合理性はありそうだ。しかし年金と生活保護ではそもそも性質が大きく異なる。年金はもらわなくても生きていける人も貰っているが、生活保護は貰わなければ生きていけない人しか貰っていない。簡単に言えば減らすべき年金をほとんど減らさず、減らすべきではない生活保護を大幅に減らしてお茶を濁しているのだ。
  生活保護を受ける世帯は半数近くを「高齢者」が占め、「母子家庭」「傷病世帯」「障害世帯」も加えれば8割以上になる。残りの「その他」に分類されている世帯も、リーマンショック後に急激に増えたものであり、不況のあおりを受けて失業した社会的弱者も多数含まれている。昨年騒ぎになった不正受給は全体のごく一部であり、ことさら強調することには強い違和感がある。話題になった芸能人を政治家が過剰に攻撃をするなど、人気取りにも使われた。それに踊らされたマスコミや有権者は結果的に生活保護の削減や水際作戦強化というセーフティネットの弱体化を招いたことについて、反省すべきではないのか。
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2014年03月29日

生活保護の水際作戦に警察OBが雇われているのを知っているか

 自治体が、コワモテの警察OBを使って、相談に来た困窮者を追い払ういわゆる「水際作戦」をやっているという。
さすがにそこまで露骨なことを大々的にやるとは思えず、ごく一部の特殊な事例だろうと思っていたら、そうでもないらしい。ウェブで検索をすると警察OB配置を懸念する記事や、すでに多数の警察OBが雇用されているとの新聞記事も散見される。
 2012年11月には弁護士会が「警察官OBの福祉事務所配置要請の撤回を求める意見書」なるものを厚生労働省に提出している。一部抜粋した内容は以下の通りだ。
「厚生労働省は,2012年3月1日に開催された厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議において警察官OB等を福祉事務所内に配置することを積極的に検討するよう求めた要請を撤回されたい」
この声明は印象批判をしているわけではなく、2012年3月1日に行われた、厚生労働省の「社会・援護局関係主管課長会議」で議論された内容を踏まえたもので、会議資料でも確認できる。退職した警察官OB等の人材活用により、「不正受給に対する告訴等の手続の円滑化、申請者のうち暴力団と疑われる者の早期発見などの効果が期待される」とある。加えてこの対策は「積極的」「徹底を図って」とも書かれており、随分な力の入れようだ。
 不正受給を減らすことや暴力団対策はもちろん重要だが、これらの理由は表向きのもので、申請自体を減らすことが目的ではないかと思われても仕方のない状況もある。市役所等の窓口に訪れた申請希望者に対して申請用紙を渡さない、相談を受けるだけで「まだ働けるでしょう」と追い返すなど、水際作戦と呼ばれる受給者を増やさないための方針が続けられてきたからだ。
 昔はこのようなやり口は酷いと批判されていたが、今では生活保護を受け取る人が批判されるようになるなど、長引く不況によって国民の感覚は随分変わってしまった。
posted by GHQ/HOGO at 08:45| 埼玉 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする