指揮者だって人間だ

晴れた日には洗濯を。

応援が有効に働く条件

この記事を読みました。

ネガティブ思考の人は「前向きに」と言われるほど更にネガティブに陥ることが判明(米研究) : カラパイア

ネガティブな感情を持っている人に「前向きに」と言っても逆効果になるというのはすごくよくわかります。
フラれた時に「くよくよすんなよ」と言われてもすぐに気持ちを切り替えることはできないですし。
落ち込んでいる時に頑張れと言ってはいけないとも言いますよね。
けれど、後ろ向きなときに効く応援はあり得ないか、と言われるとそんなこともないと思うのです。

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応援が有効な時って応援するベクトルの向きと応援される人のやる気のベクトルの向きが一致した時がほとんどです。
スポーツとかはまさにそれで、松岡修造がスポーツ実況であれだけ頑張れ頑張れ言っても大丈夫なのは、スポーツをしている人はいい成績を取りたいと思っているし、応援している方もいい成績を取ってもらいたいと思っているからです。
だから勉強が好きで好きでたまらない子供に「勉強がんばって!」というのは全く問題ないですし、料理好きの人に「今日の料理も楽しみにしているよ!」というのも変なことじゃありません。

不幸なのは応援される人が、応援したい方向を向いていない時の応援です。
前述の振られた時の励ましであれば、前向きになろうとしている人を後押ししているのではなく、前向きにさせようとしている。
ベクトルの向きを変えようとしている応援です。
これは応援される人からの反発を受け、不信感すら持たれることもあります。
当たり前ですよね、やりたくないことを強要させる人に見えるのですから。
この「向き」を意識しないと応援って真逆の効果を持つのです。

じゃあやる気になっていない人をどうやって応援すればいいのかというと、それはかなり難しい問題で、おそらく応援でやる気にすることができるのは普通ないのではないかとも思います。
応援でできるのは、同じ向きの力を増幅させること。
向き自体を変えることは普通はできません。
向きを変えるのには落ち着いた状態になってからの信頼されている人からのアドバイスとか、もっと別の何かが必要なのであって、応援できるようになるのはその先からなのだと思います。

でもごくたまに、正反対の向きの応援を受け入れることもあります。
それは応援そのものではなく「私のことを思って応援してくれている気持ち」に心打たれる時です。
先ほどのフラれた例であれば、くよくよすんなよという言葉ではなく、自分を励まそうとして温かい声をかけてくれた友人のその気持ちの方に励まされます。
そういう意味ではやはり信頼ってすごく強くて、信頼している人からの応援であれば向きすら変えてしまうエネルギーがある。
好きな歌から元気をもらうのもこれだと思うのですよ。
「自分の気持ちを代弁してくれている!わかってくれている!」と思った歌手の歌は、どんな励ましよりもポジティブさをはねのけてくれる力があります。
私もくじけそうなときにはよく中島みゆき「ファイト」を聞いて力をもらっています。
残業続きの深夜、電車の中で聞くファイトの浸透率はすさまじいです。
泣いちゃう。

まとめると、応援が有効に働くときは応援の向きが応援される人と一致しているとき。
もしくは応援者への信頼が確立されているときです。
たとえしんどいときでも、好きな人からガンバレと言ってもらえるのは至上の喜びですよね。

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