中国企業が2013年に買収した独中堅企業数は25社と数年前の3倍に。狙いは、技術だけでなく経営ノウハウの取得にもあると見られる。ドイツの場合、米国とは異なり買われる側も後継者問題解決になると歓迎しているようだ。
中国の習近平国家主席は3月末の独訪問の際、経済拠点の一つ、ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州を訪れた。NRW州首相など要人らによる習氏の歓迎ぶりは、中国企業が最近、ドイツのハイテク分野の「ミッテルシュタント(中堅企業)」を積極的に買収している傾向を印象づけた。
コンサルティング会社EYが今年1月に発表した調査では、2013年に中国(香港の企業含む)が買収した独企業は25社と、2~3年前の3倍に増えた。中国企業は英企業の買収にも積極的だが、今の傾向が続けば独企業が早晩、中国企業のダントツのお気に入りとなる。
欧州諸国を除くと、対独投資については中国は米国に次ぐ存在だ。調査会社プログノスは、中国による対独投資は2020年には20億ドル(約2066億円)に達し、2011年の4倍に拡大すると予測している。
米国と異なり、ドイツでは中国企業による買収攻勢は警戒されていない。ドイツ人にとって「ドイツ製」は品質の高さを示し、これは製品だけでなく企業自体にもあてはまる。
独経済技術省によれば、ドイツには世界的シェアを誇る隠れた「トップ企業」が1300社以上もあり、こんな国はどこにもない。中国が買収した企業には、コンクリートポンプ車で知られるプツマイスターや自動車のドアロック装置のメーカー、キーケルトなどがある。
■中国、買収企業の経営体制を変えず
ドイツ人経営者の中には、中国企業は買収により技術ノウハウを盗もうとしていると見る向きがあるし、雇用を脅かされると懸念する労働者もいる。だが、買収された企業を見ると、喜ばしいことに意外にも多くの場合、買収後も経営体制は以前とほぼ変わらない。
中国側はノウハウと同様、ドイツ人の経営手法にも魅力を感じている。「中国製」は設計は海外でも、その後、中国で組み立てられた安物との印象が強いことを知っている。これに対し独企業は徐々にではあるが、技術革新を重ねる。ドイツは経済低迷から10年かけて回復、その間生産性を改善し続けた。
3月、シンガポールで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と中国との作業部会は、ある意味「絶妙」な時期に実施されたと言える。…続き (4/4)
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