酒や薬物、特定の病気の影響で危険運転し交通事故を起こした場合の罰則を強化する「自動車運転死傷行為処罰法」について、政府は18日、一定の症状がある統合失調症やてんかんなどを適用対象に定める政令を閣議決定した。同法は5月20日に施行される。
同法は自動車事故の処罰規定を包括する新法で、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)や自動車運転過失致死傷罪(同7年)を刑法から移管。
さらに飲酒や薬物摂取、特定の病気のため「正常な運転に支障が生じる恐れ」がある状態で事故を起こした場合、死亡事故なら15年以下、負傷なら12年以下の懲役とする規定を新設した。
政令で、新規定を適用する病気として定めたのは、統合失調症、低血糖症、そううつ病などで判断力を損なう可能性のある症状がみられるケース。てんかんも意識障害や運動障害をもたらす発作が再発する恐れがあるケースなどに限定した。
また、高速走行して事故を起こした場合に危険運転として罰せられる「通行禁止道路」として、歩行者・自転車専用道路のほか、一方通行道路を逆走した場合や安全地帯なども定めた。
この日は栃木県鹿沼市で児童6人が死亡したクレーン車事故からちょうど3年に当たる。運転手はてんかんの発作で意識を失っていたとされ、遺族らが病気による交通事故の罰則強化を求めていた。谷垣禎一法相は閣議後の記者会見で「改めてご冥福をお祈りする」とした上で、新法について「今後どう運用していくかが重要だ」と話した。
統合失調症、交通事故、谷垣禎一