韓国客船沈没:引率の教頭、謝罪の自殺…あの世でも先生を

毎日新聞 2014年04月18日 21時52分(最終更新 04月18日 23時08分)

 【珍島(韓国南西部)松井豊】旅客船「セウォル号」沈没事故で行方不明者の家族が待機する珍島の体育館裏で18日、修学旅行生を引率し、救助されていた京畿道安山市の檀園(ダンウォン)高校の教頭(52)が首をつっているのが見つかった。自殺とみられる。聯合ニュースが伝えた。財布に入っていた遺書には、謝罪の言葉とともに「(遺灰を)沈没現場にまいてほしい。遺体を見つけられない子供たちと一緒に、あの世でも先生をしようか」と書かれていた。

 ◇黄色く濁った海に透明度なく

 一方、記者はこの日午後、チャーター船で事故現場に向かった。珍島南部の港を漁船で出発し、約40分で現場付近に到着した。現場海域は、韓国軍や海洋警察に所属する大小の艦艇でびっしりと埋め尽くされている。到着したばかりの海上クレーン3基も見える。

 潮の流れが速く船が1カ所にとどまることが難しく、船首の向きがすぐに変わってしまう。海は泥のためか黄色く濁り、透明度はほとんどない。ダイバーが視界が遮られて船内になかなかたどり着けないことが分かる。

 潜水開始のタイミングを探っているのだろうか。黒いウエットスーツを着たダイバーらを乗せた小型ボートが、周辺の海面を周回していた。

 水面下に船首がある付近では、長さ数メートルの円すい形の「ブイ」2個をダイバーが船に取り付ける作業をしていた。「ブイ」は35トンの重さをつり上げられるもので、韓国軍は25個を取り付けようとしている。少しでも浮力を確保しようとすると共に、水没した船体の場所を示すためとみられる。

 行方不明者の家族らは、この日始まった船内への空気注入にも期待をかけている。だが、珍島の体育館で家族に説明した海洋警察庁関係者は「貨物まで含めれば船の重さは1万トンを超える。この程度の空気注入では……」と述べ、無力感をにじませた。

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