三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
2月28日発売予定の正論 2009年 04月号に「中国、韓国経済の惨憺たる実態」を掲載しています。
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※本寄稿ですが、「三橋貴明の初心者向けに書いてください」と言われたため、半分位は既出の情報になります。ご注意ください。
予告! 日本の3月15日 田植え祭 続報をお待ちあれ!
本日の情報提供は、TTさまです。
突然ですが、わたしは野口悠紀雄氏があまり好きではありません。但し、最近の氏の書いていることは基本的に正しいとは思っています。正しいかもしれないが、好きではない。要するに、わたしは野口氏のノリが嫌いなわけです。
最新の氏の寄稿である文芸春秋2009.3月号を読むと、少しはこの気持ちを分かって頂けるかも知れません。
氏は、文藝春秋への寄稿「GNP10%減 大津波が来る 誰も経験したことのない経済危機。唯一の対策は?」において、主に以下の前提で主張を展開されていらっしゃいます。
■現在の日本の輸出企業の危機は、最近までの輸出企業の好調がアメリカの不動産バブルと円安バブルの双方に支えられた「輸出バブル」に過ぎなかったためである
■日本の超低金利がバブルを生み、財務省の大規模為替介入が事態を悪化させた(※為替介入には財務省、日銀の双方が関わるので、別に間違いではないです)
■そもそもビッグマック指数によると1ドルは82円にならなければならない。1ドル90円でもまだ円安だ
■日本ではGDPにおいて輸出の占める割合がおよそ15%
■戦後日本の高度成長を支えたのは、輸出ではない。主として国民の消費や設備投資、そしてインフラ整備といった内需
■中国の輸出産業は、GDPの約三割を占めている。これは日本の二倍の比率
■日銀引受けで国債三十兆円を発行し、内需を拡大せよ!
これだけ読むと、「何だ普段、三橋が書いていることと、何も変わらないじゃないか」と思うかもしれません。しかし、氏は上記を前提に、怖気を奮うほどの悲観的な論調を展開するのです。前提の数字が間違っていない以上、書いていることは基本的に正しいのですが、悲観論と悲壮感に満ち溢れた文章ばかりで、読む方は(少なくともわたしは)ウンザリするわけでございます。
要は、「コップに水が半分入っています。どう思いますか?」と聞かれ、わたしが「何だ。まだ半分あるじゃん」と答えるのに対し、野口氏は「半分も失われてしまった。もうだめだ!全員、破滅を覚悟するべきだ」とやるわけです。疲れます・・・。
同じ文芸春秋2009.3月号に、新日本製鉄会長である三村明夫氏の緊急提言「良い赤字で日本を復活させよ。不況は必ず終わる。根拠無き悲観論からは何も生まれない」が載っています。こちらの方は、上記野口氏と全く同じ前提、基盤の上に書かれているにも関わらず、ノリが正反対で、思わず笑みがこぼれてしまいました。
三村氏の緊急提言から、一部抜粋します。
『(前略)■「良い赤字」とは何か
(三村) いまや「根拠なき悲観論」が日本全体を覆っていますが、景気はいつか必ず回復する。明けない夜はありません。
では、景気が回復局面に入るまでの間、企業は何をすべきなのか。それは「良い赤字」を出すことです。この不況下で、われわれ製鉄会社も鉄の生産量が減少しましたが、それは白動車や家電メーカーなどの鉄鋼ユーザー企業が生産量を減らして在庫調整を始めたためです。単年度決算だけを取り出してみれば、大幅な減益、なかには赤字になる企業も少なくないでしょう。
しかし、ここで大事なことは、赤字決算をできる企業はじつは財務状況の良い企業なのです。赤字決算とは急激な在庫調整を行った結果だからです。短期間に在庫調整を行って、財務状況が健全なうちに膿を出し切ってしまうことができる体力がある。
かつてバブル経済崩壊後の「失われた十五年」といわれた時代の日本企業は余力がないため、ずるずると在庫を抱えたまま、あるいは不良債権を処理することができず、「良い赤字」を出すことができませんでした。同じ赤字決算でもあの時とは状況が違います。
在庫調整が終わるのが、私は今年六~七月頃だとみていますが、これと時期を同じくして現下の金融市場のパニック状態も収束に向かうはずです。そうすれば、不況脱出の出口が見えてきます。(中略)
■日本は「輸出立国」ではない
―――世界中で消費が冷え込んだ結果、○八年の貿易収支は大幅に落ち込みました。また円高に伴なう為替差損もあって、トヨタやソニーなど日本を代表する輸出企業が苦しんでいます。輸出立国モデルはもはや成り立たないという説もあります。
(三村) 私はそうは思いません。そもそも日本は輸出立国だといわれますが、本当にそうなのでしょうか。貿易高はたしかに世界有数ですが、輸出総額がGDP(国内総生産)に占める割合は一五%にすぎません。成長著しい中国は三五%。EU諸国では平均五○%。こうした数字を見れば、日本は決して輸出に依存しているわけではありません。(中略)
■マスコミは不況を煽るな
(三村) 景気循環の波で回復基調に入れば、いずれ世界全体の経済成長が訪れます。世界経済の重心がアジアなどの途上国に移りつつあるタイミングであり、その時こそ、鉄鋼業はチャンスです。発展途上国のGDPが一%伸びれば鉄鋼需要は二%増えるとされています。先進国の場合はGDP一%につき需要増が一%以下であることと比べれば、次の景気回復期には期待が持てます。したがって、今いかに早く在庫調整を行なって、次の景気回復に備える体制を作れるかが勝負になります。これはあらゆる企業に当てはまることでしょう。
現下の世界不況に対して、日本の多くの経営者が悲観的になっているようです。欧米やアジアなど三十六ヶ国の中堅企業の経営者七千二百人を対象にした景気判断調査によれば、景気に対して最も悲観的なのが日本の経営者だそうです。これは、不況を煽りすぎたマスコミの責任も大きいでしょう。
何故こうも悲観論ばかりが大きくなるのか。
客観的にみれば、日本企業の財務内容も悪くないし、金融機関が受けたサブプライム問題の傷も浅い。ましてや潜在的な技術力などは失われていません。
むしろアメリカやヨーロッパ諸国が受けた傷のほうがはるかに深刻です。つまり、先進国のなかで日本は間違いなく有利な状況にあるのです。(後略)』
後編に続く
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/25017359.html
テーマ:日本経済関連
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