三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

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「メリークリスマス!麻生首相」祭り開催中  http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/21288749.html
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表現者2009年1月号 特集「グローバル経済の破綻と日本のゆくえ」というタイトルで座談会記事が掲載されます。 http://book.jorudan.co.jp/html/event_hyougen.html
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 世界的経済危機の最中である以上、世界中の人々が一致団結してこの危機に立ち向かう、と言いたいところですが、中々現実はそんな御伽噺のようにはいきません。危機の真っ最中であっても、各勢力の政治的な思惑や既得権がぶつかり合い、物事の進みが大きく歪むのはよくある話です。
 例えばアメリカの下院は9月29日、最大7000億ドル(75兆円)の公的資金を投入して金融機関から不良資産を買い取る金融安定化法案を、反対多数で否決しました。これは金融ウォッチャーからしてみれば「冗談じゃない!」という話ですが、一般の下院議員の政治力、即ち集票力を支えているのは、彼らの地元の有権者です。
 自己利益の極大化を図り、世界経済を大混乱に陥れた挙句、ゴールデン・パラシュート(巨額退職金)を手に経営者が逃げ出すようなウォール街を救うために、なぜアメリカ政府が75兆円もの公金を使わねばならないのか。
「年収数十億円、数百億円を荒稼ぎし、リターンのリスクは世界中に押し付けたウォール街の金融関係者を救うために、皆さんの税金を使わせて欲しい
 こんな↑メッセージを地元の有権者に投げられる議員は、なかなか凄い度胸でしょう。余程、自分の政治力に自信がないと無理です。
 結局、アメリカの金融安定化法案は一週間後に修正、可決されましたが、当初(否決された案)はわずか数ページだった法案が、可決時には何と数百ページに膨れ上がっていたそうです。元々の(数ページの)原案を書いたのはポールソン氏ですが、各下院議員の協力を得るために、各議員の地元の利権関連の条文を次から次へと突っ込んだそうです。(何ちゃら州の丸太産業振興法案、とか何とか諸々)
 恐らく、これだけの分量になると、さすがに全文読んだ人はいないと思います。
 また、日本では最近、民主党が金融機能強化法改正案審議を引き延ばしたことも、明らかに政治的動機からです。麻生内閣に景気対策の実績を上げられてしまうと、政権交代が遠のいてしまう以上、民主党は金融機能強化法改正案を遅滞なく成立させるわけにはいかないのです。
 民主党の政治的動機は、よく理解は出来ます。全く賛同できませんが。

 さて、政治的問題で対策法案が否決されたと言えば、最近では米上院におけるビッグスリー救済法案の協議の決裂がありました。原因は、世界最強労組とも言えるUAW(全米自動車労働組合)が、労賃の日系メーカ並への引き下げを拒否したことでした。
 会社が破綻してしまえば、労賃も何もあったものではないと思いますが、UAWと組合員が持つ「既得権益」が強すぎ、政治的硬直状態に陥ってしまいました。この緊急事態に何やっているんだ、と、第三者の立場から見ればそう思いますが、これこそが「政治」というものなのだと思います。
 上院での議決が絶望的になり、米政府は結局自らが(アメリカの公費を使い)支援することでGMとクライスラーを救済する事を表明しました。政府が救済するにしても「巨大な既得権に甘え切っていたUAWの連中を助けるために、俺たちの金を使うのか!」という話になり、議員は地元の有権者への説明に苦労することでしょう。

GMとクライスラーへの緊急融資、19日にも発表か
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35539520081219
 関係筋によると、18日夜に行われた米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーが連邦政府から緊急融資を受けるための交渉で著しい進展が見られた。早ければ19日にも緊急融資に関する発表が行われる可能性があるという。
 関係筋によると、緊急融資の条件として、両社が大規模なリストラ策を実施することが求められており、労働組合や債権者から新たに大幅な譲歩を引き出す必要がある。 
 GMとクライスラーは、ブッシュ政権との交渉についてコメントしていない。』

米政府の支援策は雇用維持に寄与、強い企業になれる=GM
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35553920081219
 米ゼネラル・モーターズ(GM)は19日、声明を発表し、米政府が発表した救済策について、長期的にリストラ(事業の再構築)加速を支援すると表明した。
 支援策によって「多くの雇用が維持」され、GMが「よりスリムで強い」企業になれるとしている。』

 米政府からの支援と引き換えに、GMとクライスラーは来年三月末までに抜本的なリストラ計画を策定しなければなりません。しかし、世界最強のUAWという政治勢力、既得権益者を抱え込んだ状況で、果たして生き残りに足る計画を立てられるのでしょうか。
 心配はもう一つあります。(データ提供 NO様。多謝!)
 現在、米国で活動する多くの自動車各社は、在庫日数を引き下げています。
 これだけ販売不振が蔓延している以上、各社が在庫日数を絞り込んでいくのは当然と言えば、当然です。
 しかし、肝心なGMやクライスラーがこの状況↓なのです。

■GM 在庫日数
 11月1日現在  米国GM  79万台  在庫日数126日
 12月1日現在  米国GM  85万台  在庫日数139日

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_14.html#CarStock

 在庫日数が増えている! ちなみに、フォードは11月初旬から12月に掛け、きちんと在庫台数を減らしていますが、クライスラーは11月が113日、12月が117日と、やはり若干増えています。
 経営が危機だからこそ(販売不振で)在庫が増えているとも考えられますが、11月-12月と言えばGM、クライスラー両社の危機が絶望的になった時期です。その時期にのうのうと在庫を増やしているのでは、経営者の危機感が問われても仕方がないでしょう。
 本当に大丈夫なのでしょうか。わたしは両社がチャプター11になり、アメリカで失業者が数百万人増えるような光景は決して見たくないのですが、心底から不安です。

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