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「引きこもり」するオトナたち
【第193回】 2014年4月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
池上正樹 [ジャーナリスト]

不登校・引きこもりを終わらせるものは何か
経験者が自ら著書で語る「対応・支援」の道しるべ

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 不登校や引きこもり状態が終わるというのは、どういうことなのか。

 「引きこもりをどう終わらせるか」という方法論を巡っては、これまでも外部から様々な専門家や支援者が語ってきた。

 しかし、不登校や引きこもり体験をしてきた経験者自らが「終わらせることのできた」ときの思いを紡いだ言葉には重みがあり、内部の本人にしかわからない目線から、多くのヒントを学ぶこともできる。

 不登校・引きこもり経験者であり、12年以上にわたって当事者視点で相談や情報発信などを続けてきた「ヒューマン・スタジオ」(神奈川県)代表の丸山康彦さんは、この4月、そんなメッセージの詰まった著書『不登校・ひきこもりが終わるとき――体験者が当事者と家族に語る、理解と対応の道しるべ』(ライフサポート社)を出版した。

不登校、引きこもりから“社会復帰”
元当事者だからできる支援

 丸山さんは、高校に入ってから不登校になり、7年かけて学校を卒業。大学を出て高校講師になるものの、退任後に今度は引きこもり状態になり、“社会復帰”に7年を要した。

 そんな体験から、2001年に元当事者の独自の理念に基づいた相談機関「ヒューマン・スタジオ」を設立。現在は、学校や社会への「復帰支援」ではなく、「楽に生きることへの支援」を行うための団体「湘南ユースファクトリー」代表理事を兼任している。

 同書は、丸山さんが自身の実体験のうえに積み上がっていく実践経験を書き綴ったメールマガジン「ごかいの部屋」の170本以上の掲載コラムから一部を収録したものだ。

 「生きる道は、1人に1本ずつ用意されている」と考える丸山さんは、外部から見ると、不登校や引きこもりという状態像に見える人たちについても「外に連れ出す」対象ではなく、<人生の歩みが自分で動き出す力へとつながる人たち>だと見ている。

 同書の<家庭訪問して連れ出すというのは、外からトンネルの途中に穴を開けて、外の世界に引っ張り出すようなもの>だという表現が、的を射ていて面白い。そして、自分自身の「トンネル踏破(出口まで歩き通した)体験」を重ね合わせたうえで、多くの本人たちが望んでいる支援をこう推測する。

<トンネルを歩いている自分を応援し、踏破するエネルギーを補給してくれる、そんな支援なのではないでしょうか>

 ふだんは斜め後ろにいて、いわゆる“伴走型”で支える“後方支援”だ。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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