●[フォント] 『棺姫のチャイカ』・『僕らはみんな河合荘』・『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』
こんばんは。榊です。
4/1に転職してばたばたしていたもので、約1ヶ月半ぶりの更新です。
今日もフォントの話題なんですが、この4月に始まった春アニメがらみの小ネタというか雑談みたいな内容なので、気軽に読んでいただければと思います。
■ 『棺姫のチャイカ』
とりあえず、3つのアニメを取りあげようと思うのですが、まずは『棺姫のチャイカ』から。
上の画像は『棺姫のチャイカ』の第1話のタイトルですが、フォントワークスの「ライラ」というフォントが使われています。
以前にも、『ささみさん@がんばらない』のテロップなどで使われていました(次の記事参照)。
→ ゆず屋:[フォント] 『たまこまーけっと』とか『ささみさん@がんばらない』とか『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』とか『僕は友達が少ないNEXT』とか
その時にも書きましたが、「金文体」ではありません(笑)
ちなみに、各話タイトルでは黒字に白なんですが、次回予告では白地に黒と反対の配色になっているようです。
■ 『僕らはみんな河合荘』
次は『僕らはみんな河合荘』です。
今度は各話タイトルではなく作品のタイトルロゴをみてみましょう。
直線を組み合わせて作ったような、なんだかたどたどしい感じの不思議な文字ですね。
原作でも同じロゴが使われています。
かなり個性的で、汎用性がなさそうなデザインの文字なので、あまりフォントっぽくはありませんが、実はこれも既製のフォントを利用したものです。
フォントの名前は「バースディ19」。
あの「はるひ学園」と同じ七種泰史さん作のフォントで、デザインシグナルというレーベルで出ています。
→ デザインシグナル
ちなみに、このフォントには「バースディ21」という兄弟的なフォントもあります。
バースディ19は角が丸まっていますが、バースディ21は角張っているのが違うところです。
以前の『書体の研究』でも紹介しましたが、上の2冊のロゴには「バースディ21」が使われています。
■ 『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』
最後は『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』です。
配置はちがっていますが、アニメ版にも原作と同じフォントが使われています。
このロゴには見ての通り2つのフォントが使われており、「龍ヶ嬢七々々の」の部分がフォントワークスの「筑紫オールド明朝」、「埋蔵金」の部分がモリサワの「光朝(こうちょう)」になっています。
「筑紫オールド明朝」は既に『書体の研究』やこのブログでも何度も紹介している人気フォントです。
ご興味のある方は、過去記事をご参照ください。
→ ゆず屋:[フォント] 筑紫明朝体(アイマスとか凪あすとかノラガミとか)
一方、「光朝」については『書体の研究』の最終号(Vol.13)の特集でも紹介していますが、非常に細く真っ直ぐな横画と、太く力強い縦画とのコントラストが印象的な見出し用明朝体です。
ライトノベルやコミックスを含め、いろんな書籍のタイトルでもよく見かけます。
いくつか例を挙げてみましょう。
これ、全部タイトルが「光朝」です。
なぜか、「~~の~~」っていうパターンのタイトルが多いですね(笑)
上に挙げた作品、特に最初の3つのタイトルでは「漢字」の比率が高い(かなが少ない)ので、どちらかというと先ほど書いたような直線的でコントラストの「漢字」のデザインの印象が強く出るので、全体としてもシャープな雰囲気のロゴになります。
反対に、こちらの3つの例のように「かな(特に平がな)」の比率が高くなると、とたんにクラッシックで貫禄のある雰囲気になります。
というのも、光朝の「かな」は昔の鋳造活字(東京築地活版製造所の初号活字)のデザインを元にしているからです。
このように、Bodoniに例えられるようなモダンなデザインの漢字と、クラッシックなデザインのかなとがうまく融合しているのが光朝の面白いところといえるでしょう。
ということで、今日は春アニメ関係のフォントの話題でした。
画像は、各アニメの第1話より引用させていただきました。
棺姫のチャイカ:榊一郎・なまにくATK(ニトロプラス)/KADOKAWA 富士見書房刊/「棺姫のチャイカ」製作委員会
僕らはみんな河合荘:宮原るり・少年画報社/委員会はみんな河合荘
龍ヶ嬢七々々の埋蔵金:鳳乃一真・eb!刊/七重島総合警備保障
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