軌道がいびつな天体でも生命は誕生する?新たな推定
- 2014/04/16
- 23:14
傾いた楕円形の公転軌道を持つ自転軸のブレが激しい惑星でも条件を満たせば液体の水を表面に保持できる。このような推定がArmstrong J.C.らの研究チームによって示された。これは従来の推定からすると逆の結論である。
論文:Armstrong J.C., et.al. "Effects of Extreme Obliquity Variations on the Habitability of Exoplanets" (2014)

軌道傾斜角と軌道離心率が、上から順にそれぞれ25度/0.0、25度/0.15、90度/0.0である場合の表面温度の変化の様子。特に中央の過程は緯度の低い部分の温度が極めて安定している。
画像引用元 (Astrobiology)
地球のように表面に液体の水を保持する天体は、恒星の明るさに応じた「ハビタブルゾーン」と呼ばれる範囲内に公転軌道があると存在すると考えられる。太陽系の場合、金星軌道のすぐ外側から地球軌道と火星軌道の中間まで広がっていると考えられている。このハビタブルゾーンより内側では水は高温で蒸発し、逆に外側では低温で凍りついてしまい、安定して液体で存在する事は出来ない。ハビタブルゾーンは狭いエリアにしかないので、公転軌道が楕円形だとハビタブルゾーンをはみ出しやすい。このため「エキセントリック・プラネット」と呼ばれる楕円形の軌道を持つ天体は、これまで生命が誕生する環境を整えているとは考えられなかった。
しかし本当にそうなのだろうか?Armstrong J.C.らの研究チームは、この疑問にシミュレーションで挑戦した。カギは、生命がいるかどうか考察の対象となる地球型惑星以外の惑星の存在である。仮に地球型惑星と共に重い惑星があれば、軌道を公転するに従い重力の影響を受け、地球型惑星の自転軸がぶれるのではないかと考えた。すると、自転軸のブレは赤道と極を交互に恒星に向けるため、均等に加熱される結果惑星表面の温度が安定化するのではないかと考えた。この考え方も、従来の常識では考えられない発想であった。通常、自転軸のブレが激しいと、惑星内での気温の上下動が激しくなり、気候が安定化しないので生命の誕生に不利になるのではないかと考えられる。地球は月があるおかげで自転軸のブレが10度未満に収まっているが、月がない場合はもっと自転軸のブレが激しく、おそらく気候変動も激しくなっていただろうと推定される。
Armstrongらの研究チームは、様々な質量・軌道傾斜角・軌道離心率を持つ17の惑星系を仮定した。1個は地球と同じかそれより軽い質量の惑星で、他に1個か2個の海王星型惑星や木星型惑星を配置した。そしてこの惑星系が公転するに従って与える重力の変化で、地球型惑星の自転軸がどうぶれて表面温度がどう変化するのか、N体問題で1億年間の変化を調べた。その結果、多少の公転軌道の傾きと楕円形を持つ軌道を持った地球型惑星は、自転軸のぶれによって表面温度が極めて安定化する事がわかった。特に安定な場合、常時水の融点と沸点の間の温度を維持する物もあった。楕円形の軌道を持つ惑星は正円に近い軌道を持つ惑星よりずっと多いため、これは生命のいる惑星探しに影響を与える。これにより、ハビタブルゾーンの範囲は10%から20%拡大する可能性がある。また、自転軸のブレが許される系が存在するのは画期的である。地球にある月のような、惑星に対して巨大な比率を持つ衛星はかなり珍しい存在であると考えられているため、衛星の存在を仮定しなければならないのは生命を備えた惑星の数を絞る結果となる。しかし自転軸のブレが許されるならば、そのような珍しい衛星の存在を仮定する必要もなくなる。
論文:Armstrong J.C., et.al. "Effects of Extreme Obliquity Variations on the Habitability of Exoplanets" (2014)
軌道傾斜角と軌道離心率が、上から順にそれぞれ25度/0.0、25度/0.15、90度/0.0である場合の表面温度の変化の様子。特に中央の過程は緯度の低い部分の温度が極めて安定している。
画像引用元 (Astrobiology)
地球のように表面に液体の水を保持する天体は、恒星の明るさに応じた「ハビタブルゾーン」と呼ばれる範囲内に公転軌道があると存在すると考えられる。太陽系の場合、金星軌道のすぐ外側から地球軌道と火星軌道の中間まで広がっていると考えられている。このハビタブルゾーンより内側では水は高温で蒸発し、逆に外側では低温で凍りついてしまい、安定して液体で存在する事は出来ない。ハビタブルゾーンは狭いエリアにしかないので、公転軌道が楕円形だとハビタブルゾーンをはみ出しやすい。このため「エキセントリック・プラネット」と呼ばれる楕円形の軌道を持つ天体は、これまで生命が誕生する環境を整えているとは考えられなかった。
しかし本当にそうなのだろうか?Armstrong J.C.らの研究チームは、この疑問にシミュレーションで挑戦した。カギは、生命がいるかどうか考察の対象となる地球型惑星以外の惑星の存在である。仮に地球型惑星と共に重い惑星があれば、軌道を公転するに従い重力の影響を受け、地球型惑星の自転軸がぶれるのではないかと考えた。すると、自転軸のブレは赤道と極を交互に恒星に向けるため、均等に加熱される結果惑星表面の温度が安定化するのではないかと考えた。この考え方も、従来の常識では考えられない発想であった。通常、自転軸のブレが激しいと、惑星内での気温の上下動が激しくなり、気候が安定化しないので生命の誕生に不利になるのではないかと考えられる。地球は月があるおかげで自転軸のブレが10度未満に収まっているが、月がない場合はもっと自転軸のブレが激しく、おそらく気候変動も激しくなっていただろうと推定される。
Armstrongらの研究チームは、様々な質量・軌道傾斜角・軌道離心率を持つ17の惑星系を仮定した。1個は地球と同じかそれより軽い質量の惑星で、他に1個か2個の海王星型惑星や木星型惑星を配置した。そしてこの惑星系が公転するに従って与える重力の変化で、地球型惑星の自転軸がどうぶれて表面温度がどう変化するのか、N体問題で1億年間の変化を調べた。その結果、多少の公転軌道の傾きと楕円形を持つ軌道を持った地球型惑星は、自転軸のぶれによって表面温度が極めて安定化する事がわかった。特に安定な場合、常時水の融点と沸点の間の温度を維持する物もあった。楕円形の軌道を持つ惑星は正円に近い軌道を持つ惑星よりずっと多いため、これは生命のいる惑星探しに影響を与える。これにより、ハビタブルゾーンの範囲は10%から20%拡大する可能性がある。また、自転軸のブレが許される系が存在するのは画期的である。地球にある月のような、惑星に対して巨大な比率を持つ衛星はかなり珍しい存在であると考えられているため、衛星の存在を仮定しなければならないのは生命を備えた惑星の数を絞る結果となる。しかし自転軸のブレが許されるならば、そのような珍しい衛星の存在を仮定する必要もなくなる。