佐藤達弥
2014年4月16日16時27分
音楽や芸術に携わる人たちが地方に移り住み、創作に打ち込む動きが広がりつつある。京都府の南山城村では、ドイツ生まれのテクノポップバンドが地域に根ざす。豊かな自然、低い生活コスト、インターネットで魅力発信……。移住者と地元が「ウインウイン(双方に利益がある意)」の関係で結びつき、街おこしにつながっている。
南山城村に春の足音が聞こえ始めた2月中旬。廃校になった小学校の講堂に電子楽器のリズムが響き渡った。観客は地元のほかに、都市部から訪れた若者の姿も。「村の人が温かく接してくれる。ここにしかない魅力がありますね」。毎月開かれるライブに通っている大阪市の会社員向井透恵(ゆきえ)さん(33)がほほ笑んだ。
演奏していたのは「Apotheke(アポテケ)」。アポテケはドイツ語で薬局を意味する。「音楽が人を癒やす薬にならないか」。そんな思いを込め、大阪府高槻市出身の里(さと)ロビンさん(30)ら日本人男性3人が8年前にドイツで結成した。女性3人の人気ユニット「Perfume(パフューム)」のライブ音源を手がけたこともあったが、2008年のリーマン・ショックの影響で資金不足になり、活動を中断した。
関西に一時帰国した里さん。茶畑が広がる自然豊かな南山城村を訪れた時、感じた。「ここでなら音楽づくりに集中でき、活動を続けられるかも」。築130年の古民家を借りてメンバーと移住。昨年5月から村を拠点に関西でライブを開き、NHKの福祉番組のオープニング曲も作った。
「欧州では、そこに住む人の思いや文化を音楽に反映できなかった」と悔やむ里さんらは、南山城村の生活に溶け込むために消防団に入団。村の催しの運営に加わったり、農家に頼まれて茶の袋詰めを手伝ったりもしている。
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