2014-04-15
STAP細胞騒動を機に、大学や研究機関のマネジメント、危機管理を考えてみた。
STAP細胞の事件は危機管理の例として考えさせられることが多いです。
日経テクノロジーのコラムに記事を書いたり。
「STAP細胞の報道に感じる違和感、研究マネジメントも研究のうち 研究者に求められるMOT(技術経営)とは」
ブログでも関連する記事を書いたり。
「若い女性がかわいそうだから、と甘やかすオジサンこそが、マジメに頑張っている女性を潰していることについて書いてみました。」
「博士論文とは単なる「世界一の成果」ではなく、後世に知の体系を伝えること」
「小保方さんのSTAP細胞騒動、科学者とメディアの危険な関係」
今回の事件は研究機関が抱える問題点を凝縮しているような気がして、決して他人事ではありません。
以前もブログで紹介しましたが、危機管理で最も大事なのは、「問題発覚後、早期に正直に対応する(透明性を貫徹する)」こと。
有名な例としては、ビジネススクールのケーススタディでも取り上げられる、ジョンソン&ジョンソンのタイレノール毒物混入事件がありますね。
ジョンソン&ジョンソンでは、普段から「顧客第一」の社風を作り上げていたため、危機に直面しても直ちに回収を呼び掛けることができたと言われています。
こうした危機に際しては組織全体で意思を明確にすることが大事ですから、トップダウンの判断で対応することも必要。
さて、危機管理の面では大学や理研のような研究機関はどうでしょうか。
企業と比較すると大学や研究所の研究者は非常に危うい立場にいると感じます。
大企業でしたら何か問題が発生したら、組織として動くし、専門の人が助けてくれます。
ところが、大学や研究機関の研究者は、ふきっさらしにさらされているようなもの。
研究機関は組織が大きくても、小さな研究室の集合体。
研究では発想の多様性が重要ですから、同じ色に染まった人というよりは、様々な考えの人が集まった方が良い。
研究費を稼いだり、研究費で人を雇用する裁量も各研究者にゆだねられていますので、多くの権限が研究者に集中することになります。
うまく行っている時はそれでも良いのでしょうが、危機に瀕して、組織として行動しなければいけなくなった時に、トップダウンのマネジメントが効きにくい。
更に、権限が集中している研究者は必ずしもマネジメントが得意ではありません。好きではないと言った方が正確かもしれません。
日々クレーム対応などに追われる企業と比べると、組織に過去の危機管理のノウハウが蓄積していないでしょう。
専門性が高いわけですから、問題が起こった時に専門的な内容は、当事者以外は問題の理解さえも困難である。
理研のことは知りませんが、こうした事件が発生した時にトラブルシューティングをできる専門の人も居ないのではないでしょうか。
では、トップダウンの組織にすれば良いかと言うと、研究面での発想の多様性のためには必ずしも良くないでしょう。
本当はマネジメントをするプロの経営者やスタッフが居れば良いのですが、それも資金の問題で難しい。
結局、堂々巡りで日経テクノロジーに書いたように「研究者がマネジメントを多少は学んだほうが良い」くらいしか思いつかないのですが、研究組織がどうあるべきかは、これを機会にじっくり考え直す必要がありそうです。
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