巨人戦観客動員数の正体と深刻度

[生き残れるか、取り残されるか「迷走する巨人軍」]
(2006/10/31)

読売新聞の実態調査で明らかになった

 今年の9月初めのことだった。読売新聞のしかるべき立場の人間から、ある日本テレビ関係者がこんな相談を持ちかけられたという。
「待ってても現れる保証はない。早急にスターをつくりたい。早実の斎藤がいい例だ。彼の人気もある面ではメディアがつくった。テレビの影響は大きい。巨人のスターづくりに協力してくれ」
 スターをつくる。「育てる」のではなく「つくる」と言った。いかにもこの球団らしい発想だな、と思わず苦笑いを浮かべそうだが、確かに、松井がヤンキースにFA移籍してから、めっきり巨人に魅力がなくなった、という声を聞く。かつては、王と長嶋のONがいた。生え抜きのスーパースターが巨人の強さを守り、人気を支えた。
 その構図が、定見なき補強で崩壊した。でも、それは今に始まったことではない。今ごろになってなぜ、「スター選手が必要だ」などと言うのか。疑問に思ったが、相手は切羽詰まっていた。
「実は今季、読売新聞が巨人主催試合における観客動員数の実態調査を行ったんです。昨年からプロ野球はこれまでのどんぶり勘定を改め、観客動員の実数発表を行うことになった。でも、主催者発表として出される観客数はチケットの販売枚数で計算する。そこには、開幕前に売ってしまう年間シートや招待券の分も入っている。実数発表といっても、実際の来場者数とは違うのです。そこで今季、実態把握のため調査したところ、驚くべき結果が出たんです」(読売新聞関係者)

 主催者発表による今季の東京ドームの最多観客数は、5月27日に行われたロッテとの交流戦の4万5981人。それを含めて56試合で4万人を超えたが、実態調査の結果、その多くで実際の来場者とは5000人から1万人以上の差があったというのである。
「例えば、7月6日の中日戦。主催者発表は4万1084人でしたが、実際の来場者は3万1637人でした。要するに、毎試合5000人から1万人の人間がチケットを持っているのにもかかわらず、球場に足を運んでいないわけです。そのほとんどが年間シートの購入者だとすれば、これは大変な問題になる。入場料収入はテレビ放映権料と並んで球団収入の大きな柱。中でも確実に回収できる年間シートは営業的には非常に重要な位置づけです。現にすでに始まっている来季の年間予約席の販売が苦戦しており、大きな問題になっています」(読売グループ関係者)
 そもそも、年間シートの購入者はそのほとんどが企業だ。得意先の接待用に利用されるケースが多い。だから、多少は割高でも売れた。が、得意先に巨人戦のチケットを配っても、そのほとんどが財布や机の中で眠ってしまう。これでは、接待にもならない。巨人の年間シートはバックネット裏の最も高いもので、1席あたり100万円以上する。果たして、今の巨人にそれだけの価値があるのか。答えは明白だ。
「日本テレビの編成部もほとんど同じ考え。巨人関連の番組を企画したって、『で、数字は取れるのか』で終わり。視聴率が取れると胸を張れる材料などないから、企画の段階ですべてボツになる。番組をつくるだけの価値が巨人にあるのか、ということです。これじゃあ、スターづくりに協力してくれったって、とてもムリな話です」(日本テレビ関係者)
 ファンの胸を躍らせる選手を、育てることもつくることもできない。巨人にできるのは、連れてくることだけか。このオフもまた、巨人は愚行を繰り返そうとしている。

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