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コラム 
記者の目
参院選の一票 [6月28日号]

 来月の参院選で福島選挙区は従来2人の改選数が1人に減る。最高裁が昨秋、前回参院選で最大5倍あった一票の格差を違憲状態と判決し、国会が是正を決めたからだ。他に岐阜が減り、神奈川、大阪が増える。3年後の改選分と合わせて4増4減となる。
 福島の参院議員1人当たりの有権者数は従来約40万人。これさえ47都道府県で最少の鳥取の1・68倍だ。それが今回の削減で3・37倍に増え、都道府県別で、票の軽い方から数えて13位になる。07年から改選数1に減った群馬も12位と軽い。
 それにしても福島は気の毒だ。原発事故に苦しめられ、復興は進まず、今ほど国会や政府へ被災者の声を届けて欲しい時はない。何が絆だ。復興予算が被災地以外で使われたことを思えば、定数削減を見送ったって罰は当たらない。参院議員は合計242人。以前は250人以上いた。
 4増4減で最大格差は北海道の4・76倍となり、5倍を下回る。しかし、4倍でも3倍でも小さくはない。過去、最高裁は4倍台を合憲としてきたが、昨秋の判決は、都道府県を選挙区の単位にしたまま投票価値の平等を実現するのは「もはや著しく困難」と述べている。
 都道府県選挙区を守ってきた結果、改選数1の1人区が増え、いまや31県、全都道府県の3分の2を占める。1人区は衆院選の小選挙区と同様、相対多数の候補だけが当選し、死票が増える。これまでのような○増○減だけの弥縫策はもう結構だ。(朝日新聞前橋総局長・高谷秀男)

 

パワースポット [6月21日号]

 先日、朝日新聞群馬版のある記事を読んで責任者として少し動揺した。「パワースポットとして人気を集めている…」との表現あったからだ。前夜見落としていた。パワースポットの解釈は様々だが、霊的な力や超自然的な力を発する場所との意味でよく使われる。迷信だ。
 弊社に、記事で迷信を扱う場合の特段のルールはない。が、例えば日本新聞協会の新聞広告掲載基準は「迷信に類するもので、読者を迷わせ、不安を与えるおそれがあるもの」は掲載しない、と、日本民間放送連盟の放送基準は「迷信は肯定的に取り扱わない」と定めている。
 真に受けず、パワースポットを楽しんでいる人は多い。半面、はっきり迷信だと説明しなければ信じ込む人もいる。迷信を蔓延させれば、信じる人は増える。様々な霊感商法がそういう人を狙う。読者からお叱りはなかったが、反省しなければいけない。
 2010年に弊紙のモニター会員を対象に行われたアンケートでは、二者択一の問いに34%の人がパワースポットを信じると答えた。信じないは66%。そのうちほぼ半分が、信じない理由として「マスコミに踊らされている」を選んだ。
 パワースポットという文字を含む弊紙の記事は過去527件。うち523件が05年以降だ。スピリチュアルブームと軌を一にする。批判的な記事もあるが、近年は「科学的な根拠はないが」といった但し書きもない地方版の記事が目立つ。ため息が出た。(朝日新聞前橋総局長・高谷秀男)

 

マスターズ [6月14日号]

 夏の高校野球が近付いてきた。群馬大会は、組み合わせ抽選会が来週19日、開幕が7月6日だ。66チームが甲子園出場を目指して熱戦を繰り広げる。春の関東大会で準優勝した前橋育英を中心に好ゲームが期待できそうだ。球場に足を運んで頂ければうれしい。
 今年は新たにもうひとつ、甲子園球場を目指す大会が群馬で始まる。マスターズ甲子園群馬県予選大会だ。参加するのは県内高校の硬式野球部のOBチーム。6月30日に前橋市民球場で開幕し、決勝は9月1日に敷島球場で行われる。足かけ4カ月の日程だ。
 マスターズ甲子園は04年、千葉、山口、愛媛、熊本の4県の代表、選抜チームが参加して始まった。第10回の今年は14都府県がチームを甲子園に送り、11月に開かれる。現役時代の甲子園出場経験やプロ・アマは問わず、甲子園でのプレーを通じて交歓する。
 群馬のOBたちはマスターズ甲子園に参加するため手弁当で今年4月、県高校野球OB連盟を設立した。設立総会は、野球を愛してやまない20代から70歳以上までの約100人が集まった。懇親会は、さっそく作ったユニホームを披露するチームもあって、和気あいあい、大盛況だった。
 さて県予選ではどんなプレーが飛び出すか楽しみだ。現役球児に負けない熱戦を期待している。朝日新聞社は上毛新聞社と一緒に優勝旗を寄贈する。お父さん、お兄さんにも、あたたかい声援を送って頂ければありがたい。(朝日新聞前橋総局長・高谷秀男)


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