(13日、ヤンキース3―2レッドソックス)

 ヤンキースのイチローが右翼の守備でみせた。1点リードの8回1死、レッドソックスの主砲・オルティスの右中間深くを襲う打球に一直線で背走すると、最後はジャンプ。フェンスに激突しながらも左手を伸ばしてつかんだボールを手放さなかった。「(フェンスの)怖さはなかった。けがのリスクは僕にはないから」。打ったオルティスも拍手するほどの好捕だった。

 この日のヤンキースは、野手不足に陥った。ジーターらがけがで、控え野手で試合に出られる状態だったのはイチローだけ。そのイチローも一塁を守っていたセルベリが足を痛めたため、4回に代走で緊急出場し、右翼へ。右翼手だったベルトランがメジャー17年目で初めて一塁を守った。

 これ以上けが人が出たら投手も出場せざるを得ない状況で、ベンチにいた田中は「監督から『一塁守れるか?』と聞かれましたよ」。イチローの好捕もあって接戦をものにし、ジラルディ監督は胸をなで下ろしていた。(ニューヨーク=山口裕起)