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【大リーグ】

イチローの超美技でヤ軍首位タイ浮上 オルティス脱帽「彼はニンジャだ」

2014年4月15日 紙面から

◇ヤンキース3−2レッドソックス

 【ニューヨーク穐村賢】イチロー外野手(40)が超美技でヤンキースを首位タイに押し上げた。13日(日本時間14日)の地元でのレッドソックス戦で4回から途中出場。8回にレ軍の指名打者デービッド・オルティス(38)が放った大飛球をフェンスに激突しながら好捕し、チームの1点差勝利に大きく貢献した。これでチームは7勝6敗とし、ア東地区首位タイに浮上。控え外野手の立場ながら地元ファンの大歓声を独り占めにした40歳が、今後も縦横無尽の働きを見せる。

 3−2と1点リードで迎えた8回1死走者なし。打席に相手の主砲オルティスを迎えた場面が、イチローの最大の見せ場だった。2ボール1ストライクから、昨季のワールドシリーズMVPが放った右中間最深部への大飛球。素早いスタートからイチローが快足を飛ばすと最後はジャンプ一番、最高到達点で捕球し、フェンスに激突しながらも決してボールを離さなかった。

 フェンスに衝突する際は、ケガ防止のために脱力を心掛けるイチローも「そんな余裕ないですよ」と語るギリギリのプレー。全米中継されたテレビでも何度も流されたが、試合後は「捕れなくても二塁打なので、いきやすい場面ではあった」と冷静そのもの。ただ、この直後に2死満塁のピンチを迎えていただけに、ジラルディ監督は「あのキャッチがなければ同点だった」と賛辞を惜しまなかった。

 勝負のあやは4回だ。一塁セルベリが右太ももを痛めて途中交代。代走で出場したイチローがそのままプロ初の一塁守備に就く可能性もあった。結局、ジラルディ監督は「投げる的が大きいから」と右翼のベルトランを一塁に回し、イチローを右翼に入れたが、これが大正解。地元ラジオ局WFANのムルティ記者は自身のツイッターで「ベルトランなら捕れなかった」と分析。試合後に米メディアに囲まれたイチローは「一塁をやってくれと言われたら、足が痛いと言おうと思ってた」と笑わせた。

 外野手5番手で迎えた今季。だが、この日見せた打球への反応、的確なコース取り、球際の集中力は今もメジャー屈指。勝負の分岐点となったプレーに、レ軍の地元紙ボストンヘラルド(電子版)は「イチローに勝利の希望をつかみ取られた」と称賛。オルティスも「彼はニンジャだ。いつも俺の打球を捕るんだ」と素直に拍手を送った。

 これでチームは7勝6敗。レイズ、ブルージェイズと並んでア東地区首位タイに浮上した。勝利の立役者にはスタンドから大歓声が降り注ぎ、普段は揺れ動く感情を口にしないイチローも「ちょっと、ジーンとねえ。僕の気持ちもさすがに動く」と胸を熱くした。人気、実力ともに健在ぶりを示したスーパープレー。ただの控えではないことを、あらためて証明した夜だった。

 

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