新発10年物国債:取引が不成立 13年4カ月ぶり

毎日新聞 2014年04月14日 20時52分(最終更新 04月14日 22時50分)

 14日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の取引が成立しなかった。取引不成立は2000年12月以来、約13年4カ月ぶりの異例の事態。日銀が大規模な国債買い入れを続けてきた結果、市場に出回る国債の量が少なくなり、投資家が積極的な取引を控えたためと見られる。

 日銀は、昨年4月の異次元緩和導入後、大規模な国債買い入れオペ(公開市場操作)を繰り返してきた。その結果、10年物国債の主な保有者である金融機関の保有残高が減少し、市場で国債が品薄になったうえ、取引も伸び悩み、投資資金が長期国債以外に流れる結果となった。

 14日は債券市場自体に取引材料が少なく、積極的な売買が手控えられたことも影響した。市場では「取引が不成立だからといって、すぐに債券市場全体に大きな影響は出ない」と指摘する声が大勢だが、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「日銀の『異次元緩和』で市場の流動性が非常に低くなっているうえ、金利が低く抑えられ、機関投資家にとって投資のメリットも少なくなっている。市場にゆがみが生じており、日銀の大規模緩和の弊害といえる」と指摘した。【赤間清広】

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