国が目指す東北地方の大学医学部新設をめぐり、郡山市で総合南東北病院などを経営する一般財団法人「脳神経疾患研究所」は14日、文部科学省へ医科大学の新設を申請すると発表した。東京電力福島第一原発事故に見舞われた福島から名乗りを上げるのは初めて。被曝(ひばく)医療や最先端のがんの放射線治療に携われる医師を育成すると同時に、医師不足の解消を目指す方針だ。

 法人は病院敷地内で2016年4月の開学を目指す。約100人の学生のうち、2、3割は東南アジアからの留学生を想定。全員を奨学生にするなどして学費を援助する見返りに、福島の医師不足解消につなげるために、卒業後も数年間は東北地方の医療機関に勤めることを義務づける。法人関係者は将来的には年間300億円以上の経済効果が見込めるとしている。

 南東北グループはもともと陽子線や中性子線によるがん治療装置を導入するなど、がんの放射線治療に取り組んでいる。そこで、学内には国際放射線人体影響研究所を設置。被曝(ひばく)による新生児や小児への影響を様々な観点から学ぶ機会を学生に与え、災害時に地域を支援できる医大を目指す。