実写版パトレイバーのデザイン変更(足)

 この記事は、実写版パトレイバーで一番話題に挙がるであろうキャスト・キャラクターや舞台設定ではなく、あえてパトレイバーのメカニズム描写とデザインを巡る記事です。

まずは画像を御覧ください

 今年8月初めに実写版パトレイバーの実物大モデルが神奈川県の海辺に出現して目撃者に激写され、その数週間後には埼玉県の道の駅に現れて同様に激写され、その画像がTwitterFacebookに投稿されていますが、そのなかで足(つま先からかかと部分)を鮮明に捉えた画像はあまり多くありません。

 その中でも足回りを鮮明に捉えていた画像を2つご紹介します。ひとつは出典不明の海辺で撮影された画像、もうひとつはTwitterに投稿された画像です。足が非常に特徴のあるデザインになっているのが分かります(草履みたいという意見もみかけましたが……)。アニメに登場する人型ロボットは足裏の面積が大きく、このような接地面積が少ないデザインのものは稀です。

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 下は実写版を制作する東北新社のビルに描かれているパトレイバーですが、この画像からも足裏の接地面積の少なさが伺えます。

 これはCGで作られた画像が元になっているようです。肩を大きく張り上げ、脇を開き、腕を軽く曲げ、両足をハの字に開いて立っている姿ですが、台湾国際漫画博覧会で公開されたポスターや製作発表記者会見の際にお披露目された、整備中もしくは待機状態の気の抜けた実物大モデルとはだいぶ印象が異なり気合いが感じられます。立ち方一つでここまで印象が変わる良い例ですね。

どうしてこんな形なのか

 ところで、なぜ足がこのようなデザインになっているのか。そのヒントは押井監督の著書『メカフィリア』にあるようです。

 この本は『月刊モデルグラフィックス』という模型誌で1998〜2001年の2年以上に渡り連載された「迷走ガジェットFILE」をまとめた本で、監督作などに登場するメカを通しメカデザイン論や演出論を語るものなのですが、その中の「第1章:レイバー篇」で想定されるロボットのデザインや運用方法、演出などに加え、98式AVのデザインについて以下のように書かれています。

やがて上がるであろうロボットのデザインを待ち続けたのであった。

 そしてその第一稿が上がった。

 演出家は驚嘆し、そして怒り狂うのだが……レイバーに関するお話は筆者の愛憎ゆえに、長くならざるを得ないのである。

 

 どうビックリしたのか?

 そのロボットの足のデカさに驚いたのである。

 正確を期して言うなら、その脛ーー膝から下の脚部の無謀な長さと絶望的な太さ、および脚の裏の総面積の広大さに驚いたのである。

 

「こんなのヤだ」

 演出家は断固とした口調で言った。

「こんな脚で歩けるわけないじゃん」

 二足歩行とは即ち絶えざる重心の移動を伴う運動の事であり、したがって運動主体の安定した重心配置とは裏腹の関係にある。

 

(中略)

 

重心の円滑な移動を可能にするためには重心点はある程度高い位置に存在しなければならず、接地面(足の裏)もまた最小限であることが望ましい。

 

(中略)

 

 アニメに登場するロボットの殆どが巨大な脚の所有者であるのは、単にその方が見栄えしてカッコいいからという美学的な要請と、製品化したときに容易にコケるようでは商品価値に関わるという経済原則によるのであって、それ以外に理由はない。『パトレイバー』という企画は純粋に映像作品そのものを商売にするものであって、オモチャやプラモデルを売るための配慮は無用であり、かついままでのロボットアニメに対するアンチテーゼを目論むものではなかったのか?

 ああそれなのにーー

一体この男は何を

考えていやがるのか!

「これじゃ今までのロボットと何も変わらないじゃんか!」

 物理的に歩行困難なだけではない。動画的にも大変動かしづらいのである。

 

(中略)

 

「歩けない走れない肩も回らない……メカものの三悪だ。そりゃ確かにアニメである以上、動かせと言われりゃなんでも動かしてみせるさ。だけどその動画の嘘がどれだけメカニズムの表現をスポイルしてきたか、判っとンのかッ!」

 

 このままでは自らの演出プランが崩壊するのは火を見るよりも明らかであり、演出家は完全にアタマにきていたのである。

「しかしですね……いかにもカッコいい売れセンのデザインのロボットが警視庁に配備されるっていう、そのミスマッチが企画のコンセプトな訳だし」

嘘つけ手前っちが

好きなだけだろうが

ーーと思ったが、さすがにそれは口にしない。

 それにそんなコンセプトは聞いていない。

 いや、聞いたかもしれないが覚えていない。

 思い出したくもないのである。

押井守・映像機械論『メカフィリア』

 そして、なぜそのままのデザインでアニメにすることになったのか。それについてはこのように書いています。

「とにかくヤだ……こんなんじゃヤだ!」
 ここは一番ゴネまくることに決めたが、ブッちゃんを甘く見ていたために根回しが不十分であり、状況は極めて不利であった。共同企画者五人の中で、こちらの味方は困ったもんだわいという顔をしている脚本の伊藤和典のみであった。結局、多数決で決めようということになり、結果は三対二で完敗だった。

 作品を監督する以上、民主主義などクソ食らえであり、その場でオサラバしても良かったのだが、前回も触れた通り、演出家の家計は逃亡を許さぬほど逼迫していた。
 涙を呑むことになったのである。
 無論ただ黙って引き下がる気など毛頭ないが、それは後述することになる。

 

(中略)

 

 この典型的なアニメロボをトコトンみっともなく演出するーーそのことによってロボットの持つヒロイックな要素を叩き潰し、翻ってメカニズムだけが持つ魅力を引き出す、その一点に意識を集中することに決めていた。

押井守・映像機械論『メカフィリア』

 押井監督がパトレイバーという作品と、そのメカニズムについてどのように考えていたか窺い知れたと思います。企画の当初から関わっていたゆうきまさみ先生はこのメカデザインの件についてこう語っています。

 夜陰に乗じて金融機関を襲った一味は、レイバーを乗り捨てて車で逃げだそうとするが、その目の前に立ちふさがる巨人の影に思わずブレーキを踏んでしまう、というのが左側の絵の大まかなシチュエーションですな。
 
 これは最近描いた絵なので“一応イングラム”になってますけど、メカデザインが決まる前~パトレイバーの発想をした頃~から頭の中にあったイメージは こーゆーものでした。そのため、主役メカにはどうしても“あからさまな人形(ひとがた)シルエット”が欲しかったわけで、そのあたり分かって下さいよ押井 さん。
 
 というわけで、初期OVAの制作開始前に押井さんが持ち出してきた、“風呂釜のような作業機械に手足”という案に、強硬に反対した記憶があるゆうきです。
 
 ってゆーか、実写版パイロットフィルムを観ると、イングラムえらくカッコよくて(元祖イングラムの“ダサカッコよさ”がなくなっちゃって、洗練されすぎているようにも思いますが)、あれなら僕も文句ないんですけど、押井さんあーゆーの考えてましたか?
 それと、キャリアから離れるときにコネクターがはずれる描写入れたらどうか、ってのも僕言ったと思うんですけど、設定画にしなかったから却下だったんでしょうかシクシク。

ゆうきまさみオフィシャルWEB スケッチブック  パトレイバーの夜(2001-11-11)

ーーじゃあ、ヘッドギアの結成は、自然発生的に?

ゆうき:いや、プロデューサーの意向もありましたね。押井さんが加わったのも、鵜之澤さんの意向でしたね。

ーーそれはどういう意向でしょう?

ゆうき:つまり、最初に4人(ゆうき・出渕・伊藤・高田)で企画を始めたときには、各話の監督を立てて、シリーズの総合監督は立てない、という話だったんで す。構成としては全部、1話完結の話ですから。けれど鵜之澤さんが6本のOVA廉価版シリーズを1パッケージで出すんだから、予算オーバーもせずスケジュールをきっちり守れる監督を一人、立てた方が良い。で、押井守という男がいるぞ、と(笑)。

ーーなるほど、それは適任でしたね(笑)。

ゆうき:ただ、押井さんがメカデザインなんかに結構、抵抗するんですよ。こんなメカはないだろう、って。ほとんどのメカやキャラが決まっているんだから、押井さん!ということで納得させたけど(笑)。

機動警察パトレイバー完全設定資料集 vol.1-TV編- ゆうきまさみ先生インタビュー

 メカとしての足

 98式AVイングラムの実物大モデルを見たとき、多くの人が最初に目が行くのは頭部でしょうが、足の先から頭てっぺんまで見渡したとき、アニメやコミックのデザインと一番違うのは、やっぱり足です。他の部分はシルエットとして見たときに大きい変化は見えませんが、足周りだけは確実に細く小さくなっています。

 本来、メカとしての動きに面白味があるはずなのにアニメでは描写の複雑さなどからか面白みに欠けた動きになることが多く、デザインもワンパターン化しやすい足。特に地面に接している部分のデザインに新機軸を持ち込もうとする意図があるように感じられます。

 勿論、3DCGでモデリングして破綻なく動かせるという視点も当然入っているでしょうが、『メカフィリア』に書かれた内容からしても、デザインそのものや採用経緯に相当不満を持っていたのが明らかであり、今回の実写化で自分主導で進められるチャンスを得られ、監督のメカニズムに対する考え方をデザインに反映されることが出来た結果が、あの足なのでしょう。

 さらに先日行われた制作発表記者会見の際にこのように語っています。

あと、こだわったって言うか、デザインは見ての通りです。
明らかにブッちゃんの匂いが残ってますけども、僕としては非常に遺憾なんですけれども。
まあ、少々事情がありまして、一応レイバーのデザインに関してはアニメーションを踏襲するというか。
ただ、8メートルのサイズに実体化するにあたってですね、ディテールが全く足りなかったので、あちこちリファインしたと言うか、ディテールの追加はしております。
ただ、シルエットはアニメーションのレイバーとほぼ一緒と、言うようなことになってます。
ただ、微妙な所で設定が変えてありますので、それはシリーズでチラチラと出す予定です。

 ブッちゃんこと出渕さんの匂いが残っている事情がどういったものなのか判りませんが、監督のメルマガにおいてプラモデル発売がされそうと言う記述があるらしいので、その辺の事情や出資者側との折り合いの事情なのかな?

 2014/01/16追記:色々検索していたところ、Twitterで興味深いツイートを見かけました。押井監督のメルマガで、パトレイバーのデザインを大幅に変えない事が自由に撮らせてくれる条件だったため、T田K也さんがデザインしたレイバーをボツにしたというものです。

 シリーズでチラチラと出すという変えた設定ですが、どんな所を変えたのでしょうか?色々な画像を見ると、レイバーの背中に丸形のコネクタが追加されているのですが、あの辺りのことなんでしょうか?アニメ版では前のナンバープレート下の部分に充電用コネクタがあったのですが、あれが背中に移ったのかもしれません。撮影現場で特車2課の名前入りの高所作業車が目撃されていますが、あれは充電作業などに使用するためにある車両なのかも。

 追記:3月17日に東京・ららぽーと豊洲で行われたパトレイバーデッキアップイベントで、足に関する発言がありましたので追記しときます。

ーーここらへんは、外せなかった、こだわったいるというポイントはなにかありますか?

押井「足じゃないですかね、やっぱり」

ーー足、足のどのあたりですか?

押井「ちゃんと歩くようにみえるかどうかですよね」

ーーあっ、ちゃんと歩いているようにみえるかどうか。

押井「足のパーツをですね、アニメの設定の多分10倍ぐらい増えてるんですよ、だからその、人間の足の骨の数と同じぐらいディテールがないと、歩くだろうというふうに見えないですよ。だから足はかなり大変だったと思う」

ーーそうですか。

押井「あとは顔かな」

ーー顔ですか、顔のどんなところですか?

押井「ん〜、なんか、ブッちゃんのレイバーに似てるようで、もうひとつ違うかなっていうね」

 こんな事を言ってました。

 

 今のところ監督、脚本、音楽、一部の出演者の名前のみ発表しかされていないため、この実物大98式AVイングラムをリファインしたデザイナーがどなたなのか判明していません。

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↑ポスター1

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↑ポスター2

追記:12月17日に公開された劇場に貼り出されるポスターには、キャストと総監督の名前がクレジットされたバージョン(ポスター1)と、キャスト・総監督に加えスタッフ(プロデューサー、VFXスーパーバイザーなど)がクレジットされたバージョン(ポスター2)の2種類があるようですが、ネットで見られる画像では解像度が低いため文字が潰れてしまい判読困難です。21日から劇場で貼り出されるそうなので、機会があれば目に留めて見てください。

さらに追記:全7章が公開予定の劇場で配られているチラシに、レイバーデザインイメージ 寺田克也と書かれています。その他のスタッフも記載されていることを確認しました。

2014年4月7日追記:4月5日から2週間の期間限定公開の第1章を見てきたのですが、エンディングロールやパンフレットで、レイバーのデザインとして数人の名前が挙がっていました。まず、チラシにも出ていたレイバーデザインイメージ寺田克也氏、レイバーデザイン橋本秀樹氏(A-line)、レイバー原型デザイン鬼頭栄作氏がとなっていました。監督のメルマガで、監督の知り合いのアニメーターに依頼したという情報があるのですが、橋本氏の事だと思われます。

出渕さんと押井さん

 ちなみに『メカフィリア』には、本の中で押井監督にもの凄い言われようの出渕裕さんのインタビューも掲載されていますので、ご興味ある方は一読してみることをお勧めします。

 2013年12月20日追記:このインタビューでも語られている、ラーゼンフォンのDVD-BOXについていたブックレットの出渕さんと押井さんの対談ですが、パトレイバーに関する箇所を少し引用しさせてもらいます。

押井 僕のエッセイで、ぶっちゃんって人間についてコラムとかエッセイとか、さんざん書いて、まわりの人間はみんな悪口だと思ってるよね(笑)。でも、そうじゃないんだよ。評価してるから書いたんだ。僕の「出渕裕論」を締めて言えば、「ぶっちゃんは、メカニックをキャラクターにした男だ」ということ。というか、アニメーションのメカニック、ロボット はみんなキャラクターだったんです。そのことを無意識のうちに極限まで追求した男だから、そこを最大限に評価してやらないと。

出渕 無意識かなあ(笑)。まあ、でも基本的には、おっしゃるとおりです。

押井 そういう意味で言うと、日本のアニメーションを代表する男なんですよ。日本のアニメーションを乱した男でもあるけどね。だからいまだに仕事ができる わけ。永遠にファンの側にいられる男なんだよね。それを要求したのは誰かと言えば、それはファンですよ。ロボットは彼らおよび彼女らにとってキャラクター だった。そういうことを体現している数少ない、っていうかほとんど唯一の男。メカニックというのは、本来は自立した瞬間から別世界になっちゃう。レイバーは本当に過渡的な存存で、キャラクターであるのと同時に一種のギミックだっ たんですよ。僕は、はっきりギミックにしようと思ってたの。ところがぶっちゃんのデザインに足引っ張られて(笑)、そうならなかった。

出渕 でも、あれ押井さんのいう、ギミックにしてたら今の『パトレイバー』はなかったでしょう。それと、今の押井さんも(笑)。

押井 ないない。それはまさに思うわけ。あの98式っていうのが、ファンの好むキャラクターになってなければ、最初のビデオ6本でこの仕事は終わってた。映画もなかったし、テレビシリーズもなかったし、もちろん『パト2』も存存しなかった。そこらへんが僕のアンビバレンツ(二律背反)な部分だけどね。

出渕 それは、常に関係論なんですよ。

押井 僕自身もどこかでそれを吹っ切ろうと思いながらも、そういうようなものを背負って仕事してる。ぶっちゃん個人に対しては、『パト2』のときに大喧嘩やらかして、「お前なんかといっしょに仕事したくない、顔も見たくない」って。

出渕 それは、要するにあの電話口の話でしょ。デザイン上がらないんで、怒った押井さんが「お前やゆうきまさみは要するにレイバーが宇宙でドンパチやるよーなものをやりたいんだろ!」って、それでこっちがキレちゃった。アレ(笑)。

押井 あれから結構年月経って、僕の怒りも収まったし、ぶっちゃんについて書くことによって、彼がどういうような存在なのか、かなり理解出来たし、整理出 来た。僕が目指す方向とは明らかに違うんだけど、僕がやってきた仕事の一部であることは間違いないですよ。だから、まさにこの映画もね、巨大キャラクター で、見事にロボットになってないじゃないってね。

出渕 でも、僕と押井さんは世間ではミリタリーでくくられることが多いんですよ。僕もミリタリー好きだけど、でも押井さんが考えているミリタリーとは一寸 違う。例えばヘルダイバー(『パトレイバー』に登場する空挺ロボット)は、ミリタリーファンには評判よかったりするんですけど、押井さんは「あれは間違っとる」と思ってますよね。理屈で言えば、車高の高いものがノシノシ歩くこと自体がすでに兵器として間違ってるわけだから(笑)。分かってはいるんですよ。 押井さんの理屈では。でも、『パトレイバー』では、僕が反対勢力になってマンガ的なものを少し加味した位の方が作品としてうまくいくだろうなと、バランス をとる意味でもあえてそうしてた。だってあの時点では、そういう方に持っていかないと売れないもの。押井さんもわかってるくせに……。

押井 だから、そういう反対勢力と格闘することで、結果的にあの作品が成立しちゃったこともわかってるから、よけいに愛憎の念が深いの(笑)。日本のアニ メーションが持つ非常に不可解で特殊な領域と、緑を切ろう緑を切ろうと思いつつ、どうしても抜けきらずにそっちに頭が突入してしまう。まるで日本的な 「家」みたいなもんで、家を飛び出しても結局は家の問題は解決しない。だからこそ、出渕裕っていう男に代表されているような、そういう絵柄の世界、アニメーションの世界、デザインの世界を、多分僕がいちばん正確に語れる位置にいるんだ。

出渕 実は、そうかもしれないですね。

押井 ……というつもりで、ずっとこの数年間、ぶっちゃんの悪口をあちこちで書いてきたんですよ(笑)。

出渕 そ、それはありがた迷惑な気が…(苦笑)。

<中略>

出渕 僕は個人的にも押井さんのファンだし、押井作品が好きだから。何か好きだって聞かれたら、『天使のたまご』って言っちゃうような奴ですからね(笑)。『攻殻機動隊』も、みんな『パトレイバー』と比較するんだけど、違うじゃん、あれって、闘う『天使のたまご』でしょって。
押井 あ、そうだったんだ……。
出渕 押井さん、知らないと思うけど、いや、あの頃オレが動いてたの知ったら嫌だろうなって隠してたんだけど、『パトレイバー』関係も影ながら支えてるんですよ。角川書店から出たレイアウト集も、表紙、インクラム3号機だけだと押井さん嫌がるから、こうやってここにお魚泳がしてねってラフ描いて、これを力トキ君にラフ描いてもらって渡せば多分通るからって編集にアドバイスして。『パト2』の小説も、ビジュアルは藤原カムイ末弥純の名前を出してみなさいって。押井さんOKするからって。そうやって押井さんの好みもチェックしつつ、段取りをつけてた。

  今まで引用してきたような思いがある押井監督ですが、今回の実写版をどのように仕上げるのでしょう。

 メカ好きとしては、そこま で理屈をあれこれ考えたり、制作側に強引に実物大モデルを作ることを要求して完成させたのならば、劇中で実物大とレイバーキャリアを使っての小隊移動や デッキアップ描写、CGでもそれなりにレイバーを動かしてくれないと収まりがつかないので、そこに期待したいのですが……どうなるのやら。

 

押井守・映像機械論[メカフィリア]

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機動警察パトレイバー 完全設定資料集 Vol.1 TV編

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