出産時の事故で脳性まひになった子供に補償金を支払う「産科医療補償制度」の対象事例319件を昨年末までに分析した結果、子宮破裂により脳性まひを引き起こしたと考えられるケースが11件あったことが14日、日本医療機能評価機構の調査でわかった。過去に帝王切開をした女性が自然分娩を試みて起きたケースが目立ち、同機構は注意を呼び掛けている。
産科医療補償制度は同機構が運営し、脳性まひになった子供について過失の有無にかかわらず補償金を支払う。2009年に始まり、13年末までに687件の補償金の支払いを決めた。今回はこのうち319件の分析結果を公表した。
子宮破裂した11件のうち、過去に帝王切開を経験した妊婦が自然分娩を試みた際に起きたケースが約半数を占めた。同機構は「子宮の手術歴がある人や陣痛促進剤を使う場合にも子宮破裂が発生しやすく、慎重な対応が必要」としている。
また、妊婦の腹部を手で押して出産を助ける「クリステレル胎児圧出法」での出産に関し、脳性まひを引き起こした可能性が高いケースが3件あることも分かった。
同方法を使う際の明確な基準や指針などはなく、押す強さなどは医療現場ごとに異なっていた。このため日本産科婦人科学会などは、1回の分娩中におなかを押す回数などを具体的に示すガイドラインを今月中にまとめる方針。
産科医療補償制度