こんにちは。石原です。
久しぶりの投稿になります。
さて、以前こちらで 渡航先でスマートデバイスを最大限に活用したい ~サービス/アプリ編~ を紹介しました。今回はその続編です。
プリペイドSIMを中心に、旅先の海外でモバイルデータ通信を快適に且つなるべくコストをかけずに利用するためのTipsを共有します。
通信手段
現地でデータ通信を利用するためには、主に以下の手段から選択します。
国際データローミングサービス
キャリアの提供しているローミングサービスを利用すると、国内で普段利用している端末を持ちだしてそのまま現地で簡単に手軽にデータ通信が行えます。
ただし、事前の申込の必要な場合がありますので、出発前に申込状況を確認しておきましょう。
また、データ・ローミングサービスを定額利用するためには、現地で手動または専用のアプリなどから特定の対象事業者を選択して接続する必要があります。
こちらも事前に確認して、設定方法などを控えておく(Evernote や Googleドライブ などのオフライン同期が便利です(参考: サービス/アプリ編))ことをおすすめします。
参考)
docomo: WORLD WING (海外パケ・ホーダイ / 海外1dayパケ)
SoftBank: 世界対応ケータイ (海外パケットし放題)
au: GLOBAL PASSPORT (海外ダブル定額)
メリット:
・手持ちのデバイスがそのまま利用できる。
・1日単位の定額料金で手軽に利用できる。
デメリット:
・滞在日数がかさむと他の通信手段と比べて高額となる。
事前に申し込んでおいて現地ではローミングをonにするだけ、という手軽さが魅力です。最近ではLTE対応も進んでいます。
ですがやはり手軽さの反面、通信料が気になります。長期滞在や家族でそれぞれの端末を持ち込んでの滞在などにはあまり向かないかもしれません。
レンタルWi-Fiルータ
Wi-Fiルータの利用も渡航者に人気です。現地キャリアに対応したWi-Fiルータを使えば、ローミングサービスを利用することなく、普段使用しているデバイスで通信できます。
成田/羽田/関空などの出発空港にあるカウンターで目的地に適合した機種を貸し出してくれます。自宅やオフィスなどで受取ることもできます。
JAL ABC やグローバルWiFi、テレコムスクエアなどがメジャーどころでしょうか。
目的地と帰国予定日を伝えて、いくつかある機種の中から自分の好きなものを選ぶだけと、手続きはとても簡単です。
参考)
海外Wi-Fi|海外用Wi-Fiのレンタル比較 – 価格.com
メリット:
・複数のデバイスをそのまま同時に利用できる。
・パケット量を気にせず定額料金で利用できる。
デメリット:
・通信量にかかわらずレンタル日数に応じて課金されるため、滞在日数によっては他の通信手段より高額となってしまう。
・常に一緒に持ち歩く必要があるため、携行品が増えてしまう。
・バッテリ残量の管理が煩わしい。場合によっては外部バッテリなどが必要となる。
・メインのデバイスに加えて、充電の手間が発生する。
案外見落としがちかもしれませんが、1日フルに使おうと思うと内臓バッテリだけでは全く容量が足りません。そうなると、結局ローミングと併用するしかなかったなんてこともありえます。外部バッテリはほぼ必携と言えます。旅先の街歩きなどではなるべく携行品を抑えて身軽でいたいたいものですが、そのぶん持ち回り品がボリュームアップしてしまうことを想定しておきましょう。
また、毎晩の充電にかかる手間や、場合によっては同時充電のためにタップなどが必要になることなども考慮に入れておいた方がよいでしょう。
現地キャリアプリペイドSIM
少しでも安くデータ通信をしたい、また滞在国内の電話番号/通話も必要という渡航者の選択肢が、現地プリペイドSIMです。
まず、当然ですが、こちらを利用するためには、Nexus 5 その他のSIMロックフリー端末か、SIMロック解除に対応している端末が必要です。
SIMロック解除に対応している端末の場合は、忘れず事前に解除手続き等を済ませ、解除用のPINを入手しておきましょう。こちらも控えをとっておくことをおすすめします。
次に、肝心のSIMの入手ですが、これは現地のキャリアショップに直接足を運ぶか、事前にネットで販売している業者から購入することになります。
現地で調達する場合には、多少の英語力が必要となりますが、中学レベルの英会話ができれば何とかなるでしょう。
さらに、使いはじめるためにはアクティベートや、トップアップ(リフィル)といった操作が必要になります。
他に比べてやや手間のかかる感のある通信手段ですが、プリペイドSIMにしかないこれらを補って余りある利点があります。
メリット:
・現地電話番号が取得できる。
・データパックなどのプランの利用で、データ通信単価が安く抑えられる。
デメリット:
・入手〜利用までの手続きが面倒/煩わしい。
取得した現地電話番号は、キャリアとプランによりますが、やり方によっては帰国後も国内から維持していくことができる場合がありあます。安く維持しておいて、次の渡航時にはまた必要な分だけリフィルして利用するのです。(※詳細は後述)
同一国に頻繁に渡航予定のある方、長期滞在者にはぴったりの通信手段です。
利用シーンと使い分けイメージ
目的地の空港に到着〜プリペイドSIM調達まで
目的地空港でプリペイドSIMを調達できるようであれば、迷わず購入してその場でアクティベートします/してもらいます(※ほとんどのショップ店員が親切に対応してくれます)。
空港でのSIM調達ができない場合は、データローミングでやり過ごします。空港の公共Wi-Fiでも良いですが、大抵において非常に不安定なことが多いです。アライバルラウンジなどでプライベートWi-Fiが利用できる場合はそちらの方がまだまともでしょう。
いずれにせよ、滞在先ホテルなどへの移動の間もナビなどでデータは使いたいですから、自分の場合は入国したらまずデータローミングを繋ぎに行くというケースが多いです。
ホテルに荷物を下ろしたら、事前に調べておいた最寄りのキャリアショップなどでプリペイドSIMを入手します。ここから先滞在中はプリペイドSIMをメインに利用します。
まちなかで
主にプリペイドSIMを利用しますが、カフェやレストランではお店のWi-Fiも使えます。
日本と違い海外ではほとんどの飲食店がプライベートなWi-Fiを開放していますから、店員に声をかけてキーをもらいましょう。ただし、セキュリティには十分に注意してください。
なかにはレジストレーションが必要なWi-Fiサービスもありますが、広告が挿みこまれている代わりに利用は無料のケースが多いです。
また、ローミング利用の場合には、エリアによってWi-Fiローミングが使えます。
これは現地の有料Wi-Fiキャリアと提携しているサービスで、1つのIDを使ってさまざまなエリアのWi-Fiを国際ローミングサービスの定額料金内で使えるようにしたもののようです。
以前、とある場所でなにげなくつないだWi-Fiのログイン画面に見慣れたdocomoのアイコンが出てきた時には驚きました。
参考)
WORLD WING Wi-Fi
ホテルで
今どきネット接続サービスのないホテルを探す方が難いですよね。
部屋番号と氏名などでログインし時間チャージされるものから、フロアごとに開放されているものまでシステムはそれぞれですが、もし有線しかない場合には MZK-UE450AC のようなポータブルWi-Fiルータがあると便利です。小さくて邪魔にもならないですし、ひとつ荷物に放り込んでおいても良いかもしれません。
また、多くのホテルではロビーでのWi-Fiを解放しています。ロビーのWi-Fiに繋留されている旅行者をよく見かけますよね。
大きなデータの送受信の際などには、このようなスポットを経由します。
TIPS
パケット代の節約
オフライン化
Google Maps や、Evernote は、もはや旅先では欠かせない定番のアプリ/サービスですが、これらのアプリのオフラインで利用できる機能を活用している人はまだ少ないように思います。
特に目的地の地図は出発前に忘れずオフライン化しておきたいです。何らかの理由で通信が確保できない場面でも安心です。転ばぬ先の “ok maps” ですよ!
参考)
オフラインで地図を使用する – モバイル Google マップ ヘルプ
基礎シリーズ: オフラインノートブックの使い方 | Evernote日本語版ブログ
ex.)
先の利用シーンの中では、空港からホテルまでの移動時やまちなかでのナビなどの場面で重宝します。
自動同期はoff
Facebook や Google Plus などはスマートフォンで撮影した写真を、DropBox や Evernote、Google ドライブ などはドキュメントを自動同期します。
国内で普段利用しているときは便利なこれらの自動同期機能ですが、渡航時のパケット量節約という観点からはやはりoffにしておいたほうが無難でしょう。知らず知らずのうちにバックグラウンドで大量のデータが送受信されてしまいます。
完全にoffにしておくか、もしくはWi-Fi接続時のみon、といった設定に切り替えておくことをおすすめします。
ex.)
先の利用シーンの中では、カフェやホテルのWi-Fi接続時のみ自動同期が働きます。
海外1dayパケ(docomo限定)
スポットでのローミングサービスの利用の場合、通常の海外でのパケット定額サービスでは日本時間を基準とした課金のため時差などの関係で利用料金をコントロールしづらいものですが、海外1dayパケのような24時間ごとのパケット定額サービスに限定すれば、いくらか通信料をよみやすくなると思います。
30MB以上の通信は16kbsに制限されてしまいますが、上手に組み込めばコストインパクトのある良いプランだと思います。docomoユーザの方は検討してみてはいかがでしょう。
参考)
NTTドコモ「海外1dayパケ」で考える国際ローミングの料金 – ケータイ Watch
ex.)
先の利用シーンの中では、到着時に一時的に通信するためのローミングサービスに使います。
SIM契約の維持(頻繁に渡航する人向け)
せっかく苦労して手に入れた現地SIM。次回渡航時にも繰り返し使えれば、調達の手間も抑えられますし、電話番号も維持できて嬉しいですよね。
キャリアによっては、Webの管理画面などから、帰国後も維持/運用していくことが可能です。
プランや仕様は頻繁に変更になるため、ここでは設定方法などの詳細については避けますが、試してみる価値はあると思います。私も実際に以下に紹介したような方法で、北米キャリアのプリペイド回線(AT&T GoPhone)を維持していました。
参考)
“gophone” “維持” – Google 検索
まとめ
ひと手間かけるだけで、思った以上に無駄な通信コストを省けるはずです。
その分を、美味しい食事や買い物、いつもよりちょっといいホテルに充てて旅を楽しみましょう!
一方、インバウンドツーリストにとっての状況は……
以降、欄外です。
先日、以下のような記事が目にとまりました。
参考)
おもてなし「ニッポンのココが残念」 外国人100人に聞く :日本経済新聞
記事中、「不満ランキング」の2位には、「無料Wi-Fiの整備が遅れている」とあります。
確かに、東京では、待を歩くとたくさんのWi-Fiが飛んでいます。しかし、そのなかに特別なレジストレーションやチャージなしに利用できるものを見つけることは困難です。おそらく、実際に、そのようなサービスはほとんどないのでしょう。
前述しましたが、旅行者(特に旅なれた旅行者)にとって、まちなかやカフェで無料で利用できるWi-Fiはもはやアタリマエ(それが良いことかどうかは別として)で、まさか東京のような国際都市(実態は別として)でそのアタリマエが通用しないなんて思ってもみないはず。ここでは特に言及されていませんが、国内のプリペイドSIM事情に関してもまた然り。
自分が彼らの立場だったとしても、きっと同じような感想を持つと思います。
こと通信環境に限らず、客観的視点から改めて注意深く観察してみると、我が “おもてなし” の国には、彼らのアタリマエの通じない “ハイコンテクスト” なアタリマエが、まだまだたくさんあるのかもしれませんね。