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これからのCIOは「社内ITコンサルタント」へ(前)
2014/04/15
これからのCIO(最高情報責任者)に求められる役割は次のひと言に集約できる。「コンサルタント」だ。業務部門でテクノロジーが果たす役割はますます高まっており、従来のCIOの範囲を越えつつあると、コンサルティング大手AccentureのCIO、Andrew Wilson氏は話す。
「CIOはこの難題を受け入れ、取り組んでいく必要がある」と同氏は言う。
かつてのCIOは、IT関連の調達や購買にゴーサインを出したり、それ以上にストップをかけたり、データセンターのすべてのテクノロジーを統括したりするのが仕事だった。同じ会社の内部顧客に対してサービスを提供する役割だが、その様子は、いわば大手電話会社が利用者にサービスを提供するのに似ていた。つまり、CIOの裁量が物を言い、顧客サービスのレベルもさまざまだった。
変化するCIOの役割
だが、ここ数年で時代は劇的に変化した。ソーシャルメディア、モバイル、クラウドの分野で登場した斬新な技術によって、業務部門の幹部がテクノロジーを自らの支配下に置き、その恩恵を直接受けられるようになった。今やこうした幹部たちは、コンシューマー向けの未成熟なテクノロジーの採用を考えるようになっている。これまでCIOが敬遠してきたようなテクノロジーだ。
こうした中、新たなテクノロジーの導入について報告を受けるだけの立場でなく、説得力のある助言を行う立場でいられるかどうかは、新たなCIOの役割にかかっている。これからのCIOは、業務部門の幹部が担当分野の職務を遂行するうえでITサービスがどのように役立つかを伝えたり、部門の壁を越えた全体論的なアプローチによって「上げ潮がすべてのボートを持ち上げる」状態になることを示したりする必要がある。テクノロジーの導入に関する命令や指導ではなく、アドバイスと支援を行うのがこれからのCIOだ。
本質的に、これからのCIOは社内ITコンサルタントになることが求められ、マーケティング、財務、人事といった各部門の幹部に手を差しのべる必要があるとWilson氏は話す。
CMO(最高マーケティング責任者)、CFO(最高財務責任者)、CHRO(最高人事責任者)といった幹部は、それぞれが担当部門内で破壊的なデジタル技術に直面しており、テクノロジーのエバンジェリストとなることが目下の急務である。各幹部はそのための支援を必要としているものの、過去の経験から、CIOに助けを求めることは敬遠しがちだ。これまでのCIOは、障壁を築いて邪魔をする人というイメージだった。
しかし実際には、現在のCIOは説得力のある助言を行うことのできる絶好の立場にある。
「私は、テクノロジーがもたらすとされる価値を現実のものとする方法について、CMOとじっくり話し合った。これはかなり先進的なことかもしれないし、以前のような業務の進め方では自然に取り入れることはなかった方法かもしれない」とWilson氏は言い、「各部門のトップと張り合ってはいけない」と話す。