NTTデータ:バチカン図書館の文献を電子化

毎日新聞 2014年03月22日 12時10分(最終更新 03月22日 14時37分)

 【ローマ福島良典】情報サービス大手・NTTデータは20日、バチカン図書館との間で、同館が所蔵する手書き文献の経年劣化を防ぐため、電子化することで合意した。電子化が済み次第、インターネット上で公開される。約2000年の歴史を持つキリスト教カトリックの文化遺産が日本の先端技術によって長期保存され、広く流布されることになる。

 バチカン図書館の手書き文献のうち、まず3000冊を4年計画で電子化する。費用は約23億円。最終的には2〜20世紀に書き残された8万2000冊、計4100万ページの電子化に取り組む。聖書の写本やダンテの「神曲」の装飾写本、日本や中国関連の文献も含む。

 NTTデータの岩本敏男社長は記者会見で「人類遺産の保存にIT(情報技術)を通じて寄与する」と語り、「閲覧が限られていた文献を研究者が原典にあたって読み解くことができる」と意義を強調。バチカン図書館のチェーザレ・パッシーニ館長は「電子化という情報通信技術によって、より多くの人が貴重な資料を無料で見られる」と述べた。

 パッシーニ館長によると、これまで、手書き文献の一部にあたる約6000冊が学術財団などによって既に電子化されているが、今回の合意により、所蔵する手書き文献のすべてが包括的に電子化されることになる。

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