(2014年4月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
マリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は追加的な金融緩和を準備していると示唆した。これはユーロ圏の政策立案者の次なる動きが、ECBをどの大きな中央銀行も足を踏み入れたことのない領域へ連れていくことを意味している。つまり、主要金利の1つをゼロより低い水準まで引き下げるのだ。
ドラギ総裁は、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季総会後の12日、ユーロ高のために「追加の金融刺激策が必要になる」と語った。複数のECB高官は、ECBに預託されている市中銀行の準備預金への支払い金利を現行のゼロ以下へ引き下げることが、ユーロ高に対処する上での望ましい選択肢となると述べている。
ユーロ圏の政策立案者は、マイナス金利を課したごく少数の中央銀行の仲間入りをするという決断が、事実上準備預金に税金を課すことによって、金融機関や投資家がユーロを保有する魅力を減退させることを期待している。
IMFと、ワシントンに集まった各国財務相、中央銀行総裁らはユーロ圏に対し、ダメージの大きい低インフレ――ユーロ圏のインフレ率は現在、ECBの目標のわずか4分の1の水準にとどまっている――からの脱却に向けて一層尽力するよう求めた。
インフレ率がこれほど低くなっている大きな理由がユーロの強さだ。ユーロ高がユーロ圏外からの輸入品の価格を引き下げ、ひいては、ユーロ圏全域で物価上昇圧力を弱めているためだ。
ユーロはこの1年間で対ドルで6%、対円で9%上昇し、数年ぶりの高値に近いレートにとどまっている。ECBが今月、量的緩和として知られる国債大量購入に踏み切る可能性があることを、かつてなく強く示唆したにもかかわらず、だ。
量的緩和に踏み切る前にマイナス金利か
ECBは先週末のIMF・世銀総会の場を使って、追加の政策対応に踏み切る場合、量的緩和策に乗り出す前に金利を――場合によってはマイナスまで――引き下げるというメッセージを送った。これまで準備預金の金利をマイナスとしたことがあるのは、スウェーデン国立銀行やデンマーク国立銀行を含むごく少数の中央銀行だけだ。
マイナス金利の結果は、はっきりしない。ユーロ圏の政策立案者の中には、ユーロの保有に対して銀行に課税すれば、ユーロ圏中核国の金融機関が不振に苦しむ周縁国の金融機関に資金を回すようになり、投資家は他通貨を購入するようになると話す人もいる。ユーロが安くなれば、ユーロ圏の企業が製品やサービスを国内外で売るのが容易になるだろう。