日韓局長協議:16日に開催、慰安婦問題中心に議論
毎日新聞 2014年04月14日 21時27分(最終更新 04月14日 21時35分)
日韓外務省局長級協議が16日にソウルで開かれることが決まった。旧日本軍による従軍慰安婦問題を中心に議論する。日本側は、旧日本軍の関与を認めて謝罪した1993年の「河野談話」を見直さないという安倍晋三首相の方針を改めて説明し、朴槿恵(パク・クネ)大統領との首脳会談実現につなげたい考えだが、韓国は新藤義孝総務相の12日の靖国神社参拝に反発しており、関係改善の展望は開けていない。
日本側は外務省の伊原純一アジア大洋州局長、韓国側は外務省の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長が出席する。今年2月に続く局長級協議について、菅義偉官房長官は14日の記者会見で「さまざまな課題について実直な意見交換を始めていこうということだ」と述べ、対話の進展に期待感を示した。
局長級協議は、韓国が3月末の日米韓首脳会談開催に応じた際、慰安婦問題に関する協議を求めたのがきっかけ。日本側は、今後、慰安婦以外の課題にもテーマを広げていくことを条件に応じた。
しかし、韓国側は、新藤氏の靖国参拝を「近隣国と国際社会に正面から挑戦する行為」とすぐさま批判した。安倍内閣の歴史認識を巡っては、互いに譲歩は難しいのが実情だ。ただ、オバマ米大統領の今月下旬の日韓両国訪問を前に、協議を決裂させる選択肢はなく、関係修復に向けた「努力」を演出する場になりそうだ。
米国のジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は14日、ソウル駐在の外国人記者に対し、局長協議について「実際に会えば、その後に状況を悪化させるような行動をとりにくくなる。日韓関係のさらなる悪化を防ぐことが大切だ」と指摘した。【福岡静哉、ソウル澤田克己】
◆日韓関係の主な動き
<2011年>
12月18日 野田佳彦首相(当時)と李明博大統領(同)が京都市で会談し、従軍慰安婦問題で応酬
<2012年>
8月10日 李大統領(当時)が竹島に上陸
12月26日 安倍晋三首相が就任
<2013年>
2月25日 朴槿恵大統領が就任。麻生太郎副総理とソウルで会談
3月6日 安倍首相と朴大統領が電話協議
4月21日 麻生氏が靖国神社参拝
12月26日 安倍首相が靖国神社参拝
<2014年>
2月20日 菅義偉官房長官が国会答弁で「河野談話」の検証に言及
3月14日 安倍首相が国会で河野談話の見直しを「考えていない」と明言
26日 オランダで日米韓首脳会談(日本時間)