お金の苦しみをリセットするためのステップ(30代から50代まで)
どんな人だって、お金でややこしい状況に陥る可能性があります。借金で首が回らない、確定拠出年金に手を付ける、身の丈に合わない家を買うなどなど...。そんな状況になってしまっても、まだ大逆転の機会は残されています。この"第2のチャンス"を逃さないためには、どうしたらいいのでしょう。
年齢は関係ありません。リセットボタンを押すのに、遅すぎることはないのです。そこで、ファイナンシャルプランナーの最高峰「Certified Financial Planner™」(CFP)たちに、私たちがやりがちなお金のミスと、それを白紙に戻す方法について、年代別に傾向と対策を語ってもらいました。
30代のあなたへ
30代は、目覚めのとき。多くの人は、20代をキャリア、デート、旅行、生きること全般、そして支出に注力し、なんとなく生きてきたはずです。明日なんて関係ないとばかりに。その結果、待っているのは何でしょう。
Palisades Hudson Financial Groupのメリンダ・キブラーCFP™はこう言います。「クレジットカードの負債が増えるばかりで、予算や貯蓄といった概念は存在しません。奨学金の返済計画も、まだぼんやりしたままです」
そして30歳前後、ショッキングな目覚めが訪れます。マイホームや出産などのマイルストーンにより、突如としてお金の問題が最優先課題になるのです。では、元の路線に戻る方法はあるのでしょうか。
「20代の負債や浪費に決別し、前に進むためには、計画を立てて、それを厳守することです」とキブラーさんは言います。そのための2つのステップを紹介します。
ステップ1:自分の金銭的状況を把握する
自分の支出の癖を見つめ直し、必需品とぜいたく品を区別します。毎月給料日前になってお金が足りなくなるのであれば、自由に使える支出を減らしましょう。必需品への出費を抑える方法も見つけてください。
ケーブルテレビのプラン変更のような小さなことでも構いませんし、家賃の安いアパートに引っ越すなどの大きなことでも構いません。大小さまざまな変更を行うことで、実現可能な予算計画を組んで、長期にわたって支出を制限内に保つことが最終的な目標です。
ステップ2:借金の返済
もっとも利率の高いカードから、クレジットカード負債の完済を目指しましょう。返済が早ければ早いほど、クレジットスコアの回復も早まります。住宅ローンやその他のローンを申請するなら、なおさら完済しておかなければなりません。
同時に、今のうちに奨学金の返済にも取り組んでおきましょう。奨学金は一般的に金利が低いものですが、借金を自分でコントロールするという全体計画において、無視することのできない存在です。
クレジットカード負債の場合、依存を断ち切るための最良の方法は、非常用資金を作ることです。そうすることで、予定外の出費に対してクレジットカードを使う必要がなくなります。最低半年分の生活費は確保しておき、またカードに手を出さなければいけない状況を防ぎましょう。年末調整やボーナスなどの臨時収入を使って非常用資金を作り、その後は収入が入るたびに一定額が入金されるようにします。たとえ少額でも、思っていたよりも早くお金が貯まっていきますよ!
40代のあなたへ
無情にも時は過ぎ、知らぬ間にあなたも40代に。そして、ことお金に関しては、あまり芳しい状況でないのではないでしょうか。
これまで、借金返済にすべてをかけてきたのかもしれません。もしかしたら、生活が身分不相応なのかもしれません。いずれにしても、不安的な金銭的状況を招いたのがどんな理由であれ、将来に向けてあまり多くの現金を貯められていないのが現実。そんな今こそ、路線変更をするときです。貯蓄を最優先課題に据えましょう。
ステップ1:そろそろ退職後のことを考える
「定年は思っていたよりもすぐに訪れます」と、Creative Wealth Management, LLCのマイケル・クレシュCFP™は言います。職場で確定拠出年金などの制度が用意されているのにまだ参加していない人は、すぐに始めましょう。40代のあなたでも、お金を増やせる在職期間は、あと20年残っているのですから。
ステップ2:ライフスタイルを見直す
モノと成功を結びつけるような考えを持っているのであれば、その考え方は捨てましょう。「"モノ"ばかりが多くて投資が少なければ、その先に待っているのは金銭的トラブルです。モノはお金がかかるばかりで、将来の所得に姿を変えることはないのです。所有しているビートルズコレクションが、退職後の生活費になることはありえませんから」とクレシュ氏。
「四十にもなったら高級車に乗らなきゃ」と思うかもしれませんが、それだけの財力がないのであれば現実を見てください。「車を手に入れて喜ぶのではなく、投資先が最高値を記録したことに喜ぶべきです」とクレシュ氏は言います。
20代であれば「今を生きる」でもいいかもしれませんが、「40や50になってそれをしていては、トラブルを呼び込んでいるようなもの」なのです。
ステップ3:貯蓄に集中する
Four Seasons Wealth ManagementのCFP™のトラビス・フリーマン氏はこう言います。「40代は、最小限の努力で最大限の結果を求めがち。多くの家族が、子どもたちを大学にやって、退職後の貯金も貯めて、十分な保険に入って、いい車に乗って、別荘のための貯金もして......なんてことが同時にできると思い込んでいるのです。でも、多くの場合それは実現しません。目標に優先順位をつけ、それを達成できないことによるリスクを把握しておくことが大事です」
上記のようなシナリオを生きているのであれば、そろそろファイナンシャルプランナーに相談してみては。あなたの悩みを解消し、やりくりできる予算を立て、借金を完済する戦略を考え、理想の退職に向けた道のりを築いてくれるでしょう。
50代のあなたへ
あなたが押そうとしているのは、リセットボタンというよりは、パニックボタンと呼んだ方が近いかもしれません。何とかここまでやってこれたものの、いまだにクレジットカード依存から逃れられず、非常資金や退職後の資金を貯めることもできていないという状況でしょう。
「定年が近づくにつれ、退職後の資金を貯めなければというプレッシャーが増していきます」とキブラーさん。
ステップ1:ただちに失われた貯蓄期間の埋め合わせを
今すぐに、間違いを正すためのドラスティックな対策が必要です。「50になってからお金の使い方を変えるのは困難かもしれませんが、75になって蓄えがないことの方がよっぽど困難です」とフリーマン氏。
そんな事態を避けるためにも、家計を圧縮して毎月少しずつ節約するなど、大きな変化が必要です。職場での昇給が望めないようであれば、「楽しそうなパートをすることも考えてみてください。そこで得られたお金を、1円でもいいから貯金に回すのです」とフリーマン氏は言います。
この年代で考慮すべき重要なことがもう1つあります。キブラーさんによれば、それは、「多様な株式や債券を維持する」こと。成長する投資先を選びたくても、アグレッシブすぎるのも問題です。なぜなら、50代のあなたには、株価が下落してしまった場合の回復期間があまり残されていないのですから。
ステップ2:大人の行動を
過剰な夜遊び、高価な旅行、驚くほど高くつく家のリフォームなど、無駄な出費には終止符を打ちましょう。
そこで浮いたお金を「将来の医療費用資金の足しにするのはいかがでしょう」とキブラー氏。生命保険を見直し、長期療法保険などを検討してみてください。60代以降の加入より、50代のうちに加入しておいた方がずっと安くつきます。
自分の金銭的目標に対してお金が足りない理由が、悪い習慣ではなく寛大な心にあるようであれば、周囲の人にも大人の行動をとってもらう時期かもしれません。言い換えると、成人した我が子への援助を続けているのであれば、どこかの時点で「援助を授権に変えることを始める」必要があるとクレシュさん。そろそろ子どもたちも、自力で生きていくことを学ばなければならないのです。
50歳になった今、容姿を20歳に戻すことはできないかもしれません。でも、お金の問題は、何歳からでも最高の状態に戻すことができるのです。
How to Be a Financial Virgin... at Any Age | LearnVest
Sheryl Nance-Nash(原文/訳:堀込泰三)
Photos by Miki Yoshihito, Rafael Souza , and Doug88888. Image remixed from Eky Studio.
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