まきむぅの虹色NEWSサテライト

第42回 “腐女子テロ”とはなんだったのか~自重ルールの5つの理由

2014/04/14

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まきむらよ。

毎週月曜、こちらの連載、世界のニュースから性を考える「まきむぅの虹色ニュースサテライト」をお送りしております。

今回のテーマは、

「腐女子テロ」とは何だったのか ~自重ルールの5つの理由

です。

★ 腐女子テロとは?
★ BL作品にだけ注意書きが強いられた、5つの理由

├(1)「二次創作だから」
├(2)「性的コンテンツだから」
├(3)「同性愛表現だから」
├(4)「女性向けの性的表現だから」
└(5)「こっそりやってこそ楽しいから」

以上の流れでお送りいたします。


★ 腐女子テロとは?
集団投稿スクリーンショット(2014/4/12閲覧)


「腐女子テロ」とは、「各WEBサイトの利用規約の範囲内で、いわゆる女性向け作品を注意書きなしに集団投稿する行為」に対してつけられた蔑称です。

どういう経緯で生まれた言葉なのか、順番に説明するとこういうことになります。

※なお、以下のセリフ文は筆者が要約したものであり、各人の実際の発言ではありません。

▼抗議の集団投稿が「腐女子テロ」と呼ばれるまで
集団投稿企画者「pixivやニコニコ動画などの投稿型WEBサイトには、『BL♂×♂。男性キャラクター同士の関係を描いた作品に注意書きをしましょう』っていう利用規約なんか書いてないよね」



「なのに、BL作品を投稿する時は、【腐向け注意】(※BLであることを示す隠語)のタグをつけるとかしておかないと『注意書きもなしにBL投稿すんなカス!!』とか文句言われるよね」



「利用規約には注意書きしろなんて書いてないのに、なんで?」



「女性向けのBL作品だけ『腐』なんていう言葉で区別しなきゃいけないのは、女性蔑視であり同性愛蔑視だよね?

だって、百合(♀×♀、女性キャラクター同士の関係を描いた作品)や男女カップルの作品に対しては『注意書きしろ』とか言われないじゃん」



「だからこれに抗議して、利用規約を守った女性向け作品を注意書きなしで集団投稿しよう



はちま起稿スクリーンショット(2014/4/12閲覧)


まとめサイトなど「腐女子がSNSでホモ画像テロwwwwww」



閲覧者「これ、注意書きなしでBL投稿したら勝手に参加者とみなされる危険があるわけ?」

閲覧者「自分も腐女子だけど、注意書きなしでBL投稿するのには反対! 隠れてやるべき!」



集団投稿による抗議、「腐女子テロ」と呼ばれはじめる


ということで、もともとこれは「BL作品に注意書きしろなんて利用規約はないのに、自重ルールを押し付けて『隠せ』って言ってくる人おかしいよね」という主旨の抗議活動でした。

この活動の名前は「腐女子テロ」ではなく、「集団投稿」とされています。

ところが、

「なんでもかんでも女性差別って言えば済むと思うなよフェミどもはうるせーな」

「一部の腐女子の行動のせいで、腐女子全体が変な目で見られる! 仲間だと勘違いされないように気を付けよう!!」


などという批判の中から

 ・腐女子テロ
 ・腐ェミテロ
 ・絶対に腐ってはいけない腐女子24時


などの蔑称が生まれ、中でも「腐女子テロ」が定着するという事態に至りました。

しかし、そもそもなぜBL作品だけに【腐向け注意】などの注意書きをしなければならないとされたのでしょうか。

以下、理由をひとつひとつ見ていきましょう。


★ BL作品にだけ注意書きをしなければならなかった、5つの理由


「(利用規約になくても)BL作品には注意書きを設けなければいけない」と考える方々が挙げる理由としては、大きく分けて以下の5つがあります。

(1)「二次創作だから」隠さなければならない
BLにはオリジナルのものもありますが、多くの場合、いわゆる二次創作です。

二次創作というのはつまり、

・もともとBLではないマンガ作品のキャラクターを、ファンがBLとして描いている。
・芸能人などの実在モデルを、ファンがBLとして描いている。

などといった、「別にオリジナルがあって、それを基に二次的に作っている」もののことです。つまり、権利者の許可がない場合は原則として違法行為です。

ですが権利者にとっては、「BL二次創作こそがファン増加に貢献している」という背景もあります。そのため二次創作は、グレーゾーンのまま黙認されている場合が多いというのが現状です。中には公認したり、二次創作のガイドラインを設ける権利者もいます。

また違法性だけでなく、「このキャラとこのキャラがくっつくなんて原作にないじゃない!!」という原作尊重の観点から二次創作を批判する声もあります。

でも……

でもね?

ぶっちゃけね?

「二次創作なんだからBLには【腐向け】をつけろ」って、筋が通らないよね。

言うのであれば「権利者の許可なく二次創作をするな」「二次創作を商業利用するな」「このキャラとこのキャラはそういう関係じゃないじゃない!!」というようなことをBLに限らず全ての二次創作に言うべきです。

「二次創作なんだからこそこそやるべきなんじゃないですかねぇ……」という批判は、ちょっと筋が通らないなあと思います。


(2)「性的コンテンツだから」隠さなければならない
BLには、性的描写が含まれる場合もあります。

なので「(男同士の)性行為が描かれたものを注意書きなしに載せるなんてよくない」という考えから、【腐向け】の注意書きを求める人もいます。

しかし、ならばそれは【腐向け注意】ではなく【18禁】【性描写注意】とされるべきことですよね。


(3)「同性愛表現だから」隠さなければならない
「男女の恋愛は、常識的に考えて・自然で・普通で・ありふれている・健全な・不道徳でない・みんながやってることだから隠さなくていいけど、同性愛表現はそうじゃないから隠すべき」という考えです。

もちろん世の中には、
「男女の恋愛を描いた作品が不快」
「性別関係なく、恋愛を描いた作品が全般的に不快」
「犬が出てくる作品が不快」
「食事シーンのある作品が不快」

などなどさまざまな「不快」ポイントをお持ちの方がいらっしゃるわけですね。

しかしそう突っ込んだとしても、こんな答えが返ってくると思います。「そういう人は少ないけど、同性愛を不快に思う人は多いでしょ」

わたしはこう問い返したいです。「なにを対象にしたどの統計を根拠に『多い・少ない』って言ってるの? もしかして『自分は同性愛が不快だ』ということを『みんな同性愛が不快だ』って、責任逃れしつつ大げさに言ってるだけではないの?

それに、多いことがなぜえらいことなの?」


(4)「女性向けの性的表現だから」隠さなければならない
これは、どちらかというと、【腐向け】の注意書きを批判する側から出てくる指摘ですね。

「男性から女性への異性愛的な性欲は“男だからしょうがない”ってなるのに、それ以外は“恥じらいを持て”とかいって隠すべきこと扱いされている」という。

が、どっちかというと、「BL=女性向け=恥じらうべき=注意書きが強いられる」っていうその前提がわたしには気になるかなあ。

BLには男性ファンだって、男性でも女性でもないと自認するファンだっているわけなので。BLが女性向けだというのも、女性が恥じらうべきだというのも、どちらも一つの価値観に過ぎないものであって人に押し付けるものではないとわたしは思いますね。

(5)「こっそりやってこそ楽しいから」隠さなければならない
「男性同性愛の背徳感に萌えるのであって、オープンになったらつまらない」「腐女子仲間同士でやっているから楽しいのであって、部外者に見られて余計なトラブルを招きたくない」というようなパターンです。

そういう方々はお好きに「わたしたち腐女子です」ってやってればいいと思います。別に「同性愛は禁断だから萌える……!」とか言ってる人にいちいち腹立てたりもしません。

しかしだからといって、
「あんたも腐女子なんだから隠れて!!」
「こんな配慮すらできないなんて腐女子失格!!」
「へぇ~同性愛者なの? 禁断の愛を貫くなんて素敵!!(キラキラ)」
「同性愛は隠されるべき、異論は認めない(キリッ)」


みたいなことされると

「いやいやいや押し付けないでくれるかな^^」

ってなりますね。



ということで、

・いわゆる「腐女子テロ」は、もともと「集団投稿」という名の抗議活動だった
・そこに腐女子からも腐女子でない者からも抗議が寄せられ、蔑称がついた
・抗議活動が批判していた「自重ルール」には、大きく分けて5つの理由がある
・が、どれもいまいち筋が通ってない気がしませんか


というお話でした。

この記事の反応を見て、同様のことが海外のマンガファンの間ではどう扱われているかということを取材しようかどうか決めようと思います。

BLを愛好するのは、日本人だけでも女性だけでも異性愛者だけでもありません。それぞれが気持ちよくそれぞれの好きなものを楽しむために、考えるべきことがいろいろあるよね。

しかしな

とりあえずな

なんていうかな

一番言いたいことはこれだ!!

「自分の意見」を「みんなの意見」とか「世間の常識」とかいう言葉で大きく見せたらあきまへんえ!!!!

ということで、今回も読んでくださってありがとうございました! 腐女子関連については、よかったらこちらの記事もどうぞ!

▼第9回 「ホモォ…」SNSに潜む「インターネット・ミーム」と同性愛
http://www.2chopo.com/article/565/

また来週月曜日にね。まきむぅでした◎


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牧村朝子

牧村朝子

タレント、レズビアンライフサポーター。 フランス人女性とフランスの法律で国際同性婚、現在パリ在住。所属事務所「オフィス彩」社長の杉本彩に結婚報告の際、「伝えたいことがあってこそ芸能をやる意義があるのよ」と言われ、感銘を受ける。以来、レズビアンであることを公表して各種媒体に出演・執筆。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」。

「言えないけど話したいこと、聞きます」をコンセプトに、無料の傾聴窓口「にじいろ相談@まきむライン」を運営しています。まきむぅに話したいことがあれば、どうぞお気軽にブログかツイッターまで!

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