(新番組)弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #1 2014.04.12

(田茂青志)
強ければ勝ち弱ければ負ける
当たり前だ
人はいつだって当たり前なことの前ではなすすべもなくただ立ち尽くすほかないのだ

しかし13年後…俺はまるで正反対な主張を叫ぶことになる
「弱くても勝てる」と…
そう黙っていらしてもらちが明きませんよ。
話を聞きましょうか。
(鈴山)田茂!お前教授に…。
(児玉)僕の論文の研究データにねつ造の疑いが掛けられたんだ。
ねつ造?
(児玉)学会は調査に乗り出すらしい。
ねつ造したんですか?
(鈴山)田茂!
(児玉)そんな…ただその疑いが晴れるまで来年度分の助成金は凍結される。
あっいやそれ大問題ですよ。
だって資金がなくてどうやってこの研究を?
(鈴山)教授?
(児玉)どうか僕に1年欲しい。
1年で必ずこの疑いを晴らしてみせる!教授!待ってください!教授!うちのラボどうなんだよこれ。
(鈴山)おう久しぶり。
あのさうちのラボ何か閉鎖されそうでさ。
閉鎖?お前んとこのラボ入れてもらえないかな?最低1年かなぁ…。
(樽見柚子)5秒前!3・2・1交代!
(白尾)よし行くぞ!はいはいはい…どいて!
(江波戸)すいません!
(江波戸)あっすいません。
(牛丸)キャプテンボールは?今あの人が。
(牛丸)ホントだボールを持ってる。
どうして投げないんだろ?どうしたの?
(牛丸)こっちからも近づいたほうが早くないですか?
(江波戸)早いな行こう。
わざわざありがとうございます。
部員はこれだけ…?はい新入部員に期待です。
まっ俺は何もしてやれないが幸運を祈ってるよ。
ありがとうございます。
んじゃ。
ありがとうございます先輩。
(青志の声)何だか妙ですね。
あの『城徳』に女子生徒がいるっていうのは。
(三條)ほんのわずかだがね共学になってまだ2年しか経ってないんだからほい。
じゃああらためて礼を言うよ田茂君。
いやいやもう田茂先生か。
私の頼みを聞いてくれてありがとう。
いえ1年間っていう期限付きですがどうぞよろしくお願いいたします。
約束通り担任も持ってもらえるね。
この際何でもやる覚悟です。
うんうん…。
(打球音)おっ!どれどれどれ…。
やっぱり白尾君か〜。
うちの野球部で彼だけだあんな快音を響かせるのは。
白尾君が9人いれば『甲子園』だって夢じゃないんだ。
いやそもそも9人そろってないみたいですけど。
おっさすがOB詳しいね。
そうだついでに野球部の監督…。
お断りします。
おいおい何でもやると言ったそばから…。
何でもやるという気持ちなだけで実際やるわけじゃありません。
君ならいい監督になれると思うんだがなぁ。
(打球音)おっこれは大きいぞ!何だか会話の邪魔ですね。
(三條)本日よりわが校に着任される田茂青志先生を紹介します。
では田茂先生お願いします。
はじめまして田茂青志です。
ただ今ご紹介にあった通り僕は12年前にここ『小田原城徳』を卒業し東京大学に入学。
あっ先生だったんだ。
その後東京大学の研究室に残りました。
しかし先日その研究室が閉鎖されてしまった…。
(ざわめき)田茂君。
恐らく今ほとんどのみんなが東京大学進学を目指していると思うけどこれだけは知っておいてほしい。
いくら『東大』に入れたからとしてこうもあっけなく失業してしまうこともあるんだということを!油断してはならない!東京大学は君達に何かを保証してくれるわけじゃない。
(赤岩公康)『東大』に行くなってことか。
傷ついてるのよ。
解くべき問題は試験問題だけじゃない。
人生は難問の連続だだから考えよう。
最良の答えを見つけよう幸い君達は賢い。
僕は君達よりさらに12年多く学んでるからもっと賢い。
だから考えに考え抜いて成長し1年後必ず僕はあの研究室に舞い戻る。
戻るのか。
教師は不本意なんだね。
短い付き合いになると思うがどうぞよろしく。
(江波戸)なぁ赤岩頼むから野球部に戻ってくれ。
『堂学』との親善試合までもう時間がないんだよ。
だから何だよ?大体うちみたいな弱小が『堂学』に挑もうってのがおこがましいんだよ。
おこがましいって何よ!じゃあお前ら『堂学』の10分の1でも練習してんのか?おいキャプテン黙ってないで何か言ってやれよ。
あっ…いや…。
あっ!何で入って来ないんだ?
(チャイム)え〜まずは対象となる生物の生態を観察する。
これは生物学者として基本だな。
今日からこのクラスを受け持つことになった田茂。
田茂青志だ。
君達3年生はこの1年間まさに集大成といっていい時だ。
そんな時に余計なことに悩まされず平穏に過ごしたいそれはな俺も同じだ。
だからこそ問題が深刻化する前に迅速に解決したい。
恐らくこのクラスで問題となっている原因は君だ。
えっ?俺?名前は?赤岩です。
どうして野球部に戻らない?先生には関係ないでしょう。
当たり前だ全然関係ない。
だったら別に…。
俺はな俺に関係のある問題を解きたいんだよ。
なのに無関係のお前の問題がちらついたら気が散るんだ。
問題を抱えているのは俺じゃなくて野球部です。
責任逃れです!いずれにせよ問題は早めに解決しろ。
お前のためにも俺のためにもだ。
行くぞ!
(増本)ひどいもんでしょ。
あっ…いや…。
増本です地理の。
あぁ〜!田茂です。
増本先生が野球部の監督?監督って…まぁ監督だけど。
大体生徒達に任せてます。
増えましたね。
(増本)新入生が2人。
ご覧のように甲乙つけ難く下手ですよ。
でもまだ6人。
うん6人。
それが?えっ?あっいや近々『堂東学院』と親善試合があるって伺いましたけど。
あぁ〜それはもう校長が断りました中止です。
そりゃまぁ6人じゃ野球できませんもんね。
いや…だから9人…。
あっそういや田茂先生野球部OBだとか。
あいつらに何かアドバイスしてやってくださいよ。
えっいやいやちょ…。
しゅうご〜〜う!チッ。
今から『城徳』野球部の大先輩からありがたいお言葉がある心して聞け。
野球部だったのか。
(増本)田茂先生お願いします。
いつもこんなに静かなの?練習中…ずっと無言だったから。
それは俺もずっと気になってました。
(増本)大した練習じゃないのに妙に緊張感があるのはそのせいなのかもしれませんね。
でも何を言えばいいんでしょう?何でもいいんじゃないの?ほら例えば「ドンマイ」とかさ。
「ドンマイ」か。
(光安)「ドンマイ」はいいな。
「ドンマイ」ねふ〜ん。
エラーした後にチームメートに言ってもらえるとちょっとは気持ちが楽になるんじゃないのか?その通りです!よし。
次からはそうするぞ!あっいやだからさこういう時も「はい」とか「お〜」とかそれでいいんだよ。
はい!はい!はい!
(樫山)はい!お〜!だいぶ野球部っぽくなって来たぞ!うんドンマイ!はい!
(増本)ドンマイ!ねぇ!・はい!・「overcome」。
「打ち勝つ」。
・ドンマ〜イ!・ドンマ〜イ!ドンマ〜イ!エラーする前から「ドンマイ」言うな!ドンマ〜イ!違う違う…!エラーした奴は言わなくていいんだよ!ありがとうございました。
ありがとうございました!お疲れっした。
さっすがOB野球を知り尽くしてる。
いやいや声出せって言っただけですから。
ご謙遜をありがとうございましたどうも。
お疲れさまでした。
先生いっそのこと監督になってくださいよ。
どんな理屈だよ。
今日の練習見て確信したんです。
青志君は今でもちゃんと野球を愛してるって。
「青志君」?まぁ考えといてくださいよ。
「青志君」…。
(樽見楓)ハァ…。
(楓)お疲れさま青志君。
どうも。
フフ…。
12年ぶりに言ったわこのセリフ。
「青志君」。
ウフフ。
何だか嬉しいわ〜。
そうしてあなたがこの店にいることが。
あ…であの俺の荷物は…?あぁちゃんと運び込んでもらったわよ。
え〜…はいこれ鍵ね。
ありがとうございます。
楓さん!見て見ぬふりするにも限界があるぞ。
一体誰なんだこいつ。
この俺の前でどうしてそんな鍵なんて。
何勘違いしてんのよアパートの鍵よ。
ありがたい店子。
あっアパートの。
何だよそんな意味深な会話しちゃって〜。
いやあのあなた誰なんですか?
(ドアベル)
(楓)いらっしゃい!こんにちは!あれ?先生!「先生」?うん。
どうしてここに?あらどうしてもこうも『城徳』野球部員は代々この店のお得意さまよ。
あ〜。
なるほど。
先生!今日は本当にありがとうございました。
おかげさまで充実した練習ができました!あぁ…よかったな…。
あらそっちの2人は新入部員?どう?『城徳』野球部は?入部するなりレギュラーで緊張します。
(伊勢田)でも抜擢された以上試合では全力を尽くす所存です。
(白尾)頼もしいぞ!
(楓)あぁ…でも6人じゃまだ試合はできないけどねぇ…。
(樫山)あの〜会話を楽しむのは注文してからにしませんか?時間がもったいないですから。
選ぶぞ!はい!何も注文ぐらいで…。
カレーください!カレーください!はいはい。
練習の成果です。
グラウンドだけにしろ。
そうか〜あんた『城徳』の…しかも監督だったんだ。
いや違いますよ。
先生息子をどうかよろしくお願いします。
いやだからあなたの息子が誰だか分かりませんから。
赤岩…です。
赤岩?お前それは話が違うぞ。
(金井)今日はちょっと…ごめんな。
お前無責任だぞ。
あなたを泊める責任なんて誰にもないよ。
何だよ聞いてたのかよ。
家出なんてもうやめなってそんな片っ端から泊まり歩いて。
余計なお世話だ。
じゃあ今夜は?泊まる当てはあるの?どっかしらあんだろ。
分かった!分かった分かった!何だよ…。
じゃあ家来ていいよ。
泊めてあげる!バカ!お前は…。
お前配慮が足りないんだよ配慮が。
ちょっと赤岩君!チッ。
つまりだ。
野球部でゴタついてさらに家出までしてる。
普通に問題児だな。
(赤岩晴敏)その親の前で「問題児」って…。
家出の理由は?さぁ?あんたのような教師を雇う学校のせいじゃないですか?家出は普通家の問題でしょ。
あぁ!もうよそうよ責任のなすり合いはなぁ?なすり付けてるのは晴さんのほうよ。
すいません…僕のカボチャしかのってないです。
いいのよ今あなたにはカボチャが必要なの。
根拠は?勘よ。
召し上がれ。
ほらほら。
(チャイム)ん?こんばんは。
引っ越し祝いです。
だって学校で渡せばいいじゃないか。
私からじゃなくて母からです。
「母から」?大家からです。
どっちだよ。
(楓)大家で母です!あぁ…。
その節はどうも。
あっあの柚子か!行くよ〜おうごめんごめんもう〜何だ?また一緒にキャッチボールするのか?私とじゃなくてうちの部員達と。
またその話かよ。
私からもお願いするわ。
『城徳』の監督はあなたしかいない!根拠は?勘よ。
いいじゃんやってよ青志君。
あのな柚子今のあの野球部に足らないのは監督じゃない部員だよ。
あと2人ぐらいすぐ見つかるって。
まだ6人だからあと3人だろ。
2人だってば!赤岩君は絶対戻って来るんだから。
そうね私もそろそろ赤岩君は戻って来ると思う。
それもまた勘ですか?いいえこの根拠は青志君!あなたよ。
赤岩はどうして野球部やめたんだよ。
去年の『堂学』との親善試合で火だるまになったから。
火だるま?
(柚子の声)1回表『堂学』は赤岩君の守るライトに集中砲火を浴びせたの。
さすがは『堂学』。
下手ぞろいの城徳ナインの中でも彼が特に下手だってことをすぐに見抜いたのよ。
(柚子の声)『城徳』は1つもアウトが取れないまましまいに打球が見えなくなって日没コールド。
(一同)ありがとうございました!
(柚子の声)試合が終わった後赤岩君のユニホームだけが熱闘を物語ってた。
(楓)私はねその試合で火だるまになる赤岩君を見ながら青志君のこと思い出したのよ。
あっ俺を。
青志君なら…いいえ青志先生ならきっと赤岩君の気持ちが分かるはず。
違う?長年『城徳』野球部の相手をして来た壁か。
12年前と変わらずキレイだな。
えっ?お前の試合は見てないから知らない。
だけど自分の試合はいまだに夢で見るよ。
先生の試合?俺はキャッチャーだったんだ。
(青志の声)あんなに惨めなことはない。
勉強じゃ神童と呼ばれ続けて来た俺が生まれて初めて味わう屈辱だった。
(青志の声)お前はまだマシだよ。
俺なんて味方の球が捕れなかったんだから。
お前と同じ高2の時の親善試合だ。
その頃からかな。
野球から離れて行ったのも。
それもお前と同じか。
後悔してますか?してるよ。
だってもっと何かこういい方法があったはずなんだよ。
エラーしないための?何をしてもエラーはしただろう。
ただそもそもなぜ左利きの俺がキャッチャーをやったのかそこから検証すべきだろうな。
ただ高校生のお前とは違って俺にはそんな暇はない。
高校生の俺だって時間があれば勉強に使いますよ。
それはそれでいい。
苦手分野を避けて得意分野に特化するっていうのは生物として自然の流れだからな。
いやあのそれは…。
何だよ?俺にとって野球は…。
まぁ下手です下手ですけど…。
決して苦手分野じゃありません。
詳しく聞こうか。
苦手と下手は違います。
苦手とは自分でそう思ってるってことで下手は客観的に見てそうだってことです。
だから俺は…。
「苦手だとは思ってない」。
はい。
怒られそうですけど自分の中で野球は得意です。
得意分野なら…伸ばすべきだな。
じゃ…そろそろ帰るか。
あっいや俺…。
野宿するにはまだ寒いだろ。
ハァ〜しょうがないなもう。
ついて来い。
すいません。
許可が下りてよかった。
おう。
先生のお宅に泊めてもらえるんじゃなかったんですか?何で?「何で?」って。
意外とずうずうしいんだな。
いやだって今日初めて会ったばっかりだろ?そうですけど。
早く行けよこっちはクタクタなんだから。

(一同)ありがとうございました!
(谷内田)僕はここに野球しに来たんだ。
えっ?君はどうしてそんな格好してこんな場所にいるんだ?ここは君のいるべき場所じゃない。

(谷内田)僕はここに野球しに来たんだ
(谷内田)君はどうしてそんな格好してこんな場所にいるんだ?
(谷内田)ここは君のいるべき場所じゃないイッテ〜…。
イッテ〜…。
・1…2!・・ほら3!・・3!・
(牛丸)誰だろう?先生!野球部に取材が来ました。
早く一緒に来てください!何で俺なんだよ。
話は聞いた案内しろ。
おい何だよ。
早く早く!ちょっと!
(璃子)メジャーリーガー?はい。
ホームランの世界記録を塗り替えるのが夢です。
(璃子)この学校でそんな夢を?あっ驚かれるのも当然です。
設備の整った強豪校とは違ってここはプロになる環境としては最悪ですからね。
だと思う。
つまりここで頑張れたらこの先どこへ行ってもやって行ける気がするんです。
さすがは『城徳』の生徒さん。
実に独創的な分析だわ。
(ドアが開く音)すいませんお待たせしました!おいやめろ。
あっ監督さん?違います。
そうです。
違うだろ!突然すみません。
スポーツ専門誌『トロフィー』の利根璃子です。
田茂青志です。
私この春から西湘地区の高校野球の担当になりまして今日はご挨拶がてら少しお話を伺えたらと。
それはご苦労さまです。
『城徳高校』といえば日本有数の進学校ですがグラウンド練習が週1回しかないというのもやはり体よりも頭脳を重視しようという…。
いやそれはただ単に敷地面積とクラブ数との兼ね合いでしょう。
あ普通にそういう…。
でもやっぱり何かしらありますよね?進学校ならではのこう…。
何ですか?例えば…バッティングに方程式を使ってみたりとか。
バッティングに?方程式を?あっすいません先入観だけで言ってます。
いえいえ。
うちはただ偏差値が高くて頭がいいだけの学校なんで。
特別なことは何もしてませんよ。
それより『甲子園』に行くような強豪校そういう所を取材したほうが面白い記事が書けるんじゃないんですかね?ですね。
そうします。
例えば子供の頃からリトルリーグで活躍している生徒が専用グラウンドで毎日練習できるようなほんのひと握りの強豪校。
この地区でいえば『堂学』とか。
わざわざご紹介いただかなくとも『堂東学院』にはこの後取材で行くつもりでした。
この後…。
(璃子)お邪魔しました。
分かりました俺も行きましょう。
何で?
(峠)利根さん。
あっ。
たびたびお邪魔しちゃってすみません。
聞きたいことが山ほどあって。
(峠)とんでもないそちらは?『小田原城徳』の監督さんで…。
田茂青志です。
(峠)あぁ『城徳』の。
『堂東学院』野球部監督峠です。
以前お会いしてますよね?去年の親善試合で。
あら。
監督の顔すら覚えてらっしゃらない。
(峠)は?親善試合とは?毎年春にやるうちと『城徳』の伝統行事です。
へぇ〜そんなのが。
といっても去年を最後に終わりましたが。
えっ終わっちゃったんですか?先日『城徳』の校長から断りの連絡がありました。
まぁ正解でしょう。
今や『城徳』とうちじゃ野球にならない。
『甲子園』を目指す我々からすれば格下との試合は時間の無駄です。
無駄…。
あっでも無駄はお互いさまですよ。
こっちだって貴重な勉強時間を割いて野球の試合などという無駄な時間に費やしてるんですから。
野球の試合が無駄だと?あ〜失礼。
試合というよりもう〜んそうだな野球自体が無駄なんだやらなくたって誰も困らない。
いやそれはいくら何でも…。
だったらとっととグラウンドを去れ!言われなくても他校のグラウンドに長居するつもりはありませんよ。
あらゆるグラウンドを去れと言ってるんだ!それは去りません!どうして?無駄なんだろ?無駄でも勝ちたいんですよ。
弱けりゃ負ける!ではこのへんで。
失礼。
ってことで『堂学』との親善試合は予定通り決行する。
ついては早急に9人そろえる必要があるはいそろえろ。
はい。
はい。
いやでも先生校長はすでに断ったって…。
撤回してもらうでもなそれもこれも…。
部員がそろわなきゃ話にならない。
手分けして各運動部当たろうめぼしい選手を口説き落とすのよ。
バカかお前話にならん。
めぼしい部員を手放す部がどこにあるんだよ。
可能性があるとすれば種目を問わず成績が振るわずくすぶってる連中だ。
でも先生そんな連中が戦力になりますか?今のお前達を戦力って呼ぶんだったら誰だってなる。
なるわ。
よし聞いたな運動部文化部帰宅部問わずとにかくくすぶってる連中を当たれ。
あ〜くれぐれも選ぶなよもう誰だっていいんだからな。
はい。
はい。
はい。
あの〜すいません。
そもそもそこまでして『堂学』と試合をする意味ってありますか?樫山。
意味がないってお前は思うんだ?いや…だってただでさえ実力差がある上にそんな…寄せ集めのチームでやったって去年より悲惨な結果になりそうだなって。
(咳払い)俺は…いや俺はな負けるから野球をする意味がないとは思わないんだよ。
でもお前達が野球部なんだったら野球をしないと意味がないと思う。
どうだ?まずは野球部になってみないか?勝ち負けはそれから考える。
それならどうだ?返事!はい!
(白尾)じゃあまず…。
いいなぁ。
(牛丸)あっほらあの人です。
先生のクラスの亀沢さん。
僕の知っている限りこの学校で最もくすぶっている男です。
あれ何やってんだ?
(牛丸)一種の素振りでしょう。
なるほど確かに素振りだな。
(牛丸の声)普段はあまり出番のないシンバル奏者に甘んじてますが実際はあんなふうに指揮者台に上がりたくてうずうずしてるんです。
(白尾)牛丸!よくあんな逸材見つけたな!ありがとうございます。
おい急ぐぞ!
(亀沢)無理だよ野球なんて。
(白尾)うちの場合無理でもいいんだ。
(亀沢)っていうか何で俺なの?
(江波戸)知ってるよホントはシンバルなんて叩きたくないんだろ。
だからって別に野球もやりたくない。
バッターボックスに立てるのは一人だけなんだ。
えっ?常に一人だけなんだ。
その場所をオーケストラで例えるならここ。
指揮者台。
観衆の注目を一身に集める場所だ。
観衆の…注目を。
オーケストラとの違いはただひとつ。
野球の場合そこに立つチャンスが全員にしかも平等にそして…何度も訪れる。
…ということだ。
(白尾)よしあと2人。
1人よ赤岩君がいるんだから。
俺にも1人当てがあるあっ放課後砂浜に集合な。
はい分かりました。
分かりました。
位置についてよ〜い…。
(手を叩く音)よっしゃあ!
(岡留)だから何だ。
負けたからって野球部なんか入んねえぞ。
そんな条件は…。
何してんだ?岡留。
お前が失速し始めたのはここ43m地点。
(岡留)あぁ…そうっすか。
ちなみにベースとベースの間あぁ塁間な。
その距離はあそこ。
27.431m。
お前にとっては無敵の領域だな。
俺にとって…無敵?なぁ岡留。
お前のその超短距離能力を野球部で存分に発揮してみないか?うあ〜〜〜!!無敵〜〜〜!!
(白尾)俺は打つぞ!よ〜し打って!『堂学』を打ち崩せ!よし!あのさ…。
ん?
(江波戸)やっぱり岡留はやめないか?えっ?入部させないってことか?何言ってんのよ?やっと9人そろったのに。
あっ…それは赤岩が戻ったらの話だろ?戻るったら!いや確かにそこはまだ不安だな。
いまだに家出中だしきっと野球どころじゃないと思うよ。
分かったよ。
じゃあ保険かけときゃいいんでしょ?保険?えっ?赤岩君が戻らなかった場合の保険よ。
ほら出て来なさいよ!
(白尾)えっ?誰に話し掛けてんの?早く!私のそばにいさせてあげるって言ってんの!おい樽見!しっかりしろよ!
(江波戸)あっ…。
誰だよ?あいつうちの生徒か?そうそして私のストーカーよ。
(志方)ハハ…ええ…。
(江波戸)ストーカー!?すいません。
いいかげんこの関係ももう終わり。
いい機会よ。
そんなに私と一緒にいたいなら野球部に入りなさい。
え〜!?僕が?ヤダよこんな奴!俺もヤダ!だから保険だって言ったでしょ!赤岩君が戻ったらクビにすればいいじゃない。
よう。
(白尾:江波戸)おぉ…。
よろしく。
あいつさっきから何やってるんですか?あれは盗塁の練習ですね。
(増本)あんなにリード取るんですか?あいついわく距離が短ければ短いほどまぁ速くなる…。
(増本)でもあんな所に突っ立ってたらけん制球で…。
刺されます。
クッソ〜!!あの太極拳みたいのは?あいつは1秒でも長くバッターボックスにいたいので構えるまで時間を稼いでるんでしょう。
あれは?あれは分かりません。
何だか去年よりひどいな。
監督。
やることないんだったら缶ジュースでも買って来てくださいよ。
えっ?缶ジュース?早く!!喉渇いた!えっ?ホントに?俺が?ショート。
(白尾)ドンマイ。
あいつら捕る気あるのか?ないんじゃないですかね?もはやみんなの中では捕れないことが普通になっちゃってますから。
あっところでこれピッチャー誰だ?あ…特に決まってません。
その日の調子で白尾君が決めるんです。
そうなのか…。
はい。
赤岩!あっちょっと何だ?えっ?えっ!?先生?おいちょっと待てよ!なぁ赤岩!おい!これ!ちょっと!赤岩!ハァ…ハァ…。
返してくれ。
持って来るな!投げ返せ。
捕れるんですか?捕る!緩い球で…ストライクゾーンなら。
でも…捕れないままやめたんでしょ?おう…。
だから捕るんだよ。
捕れる球投げろ。
ハァ…ハァ…先生?ナイスキャッチ。
ナイスボール。
ナイスボール。
ナイスボール。
ナイスボール。
(部員達)ナイスボール。
ピッチャーならどうだ?赤岩。
ピッチャー?ああピッチャーならキャッチャーからの…。
味方からのボールしか飛んで来ない。
ピッチャー返しは?めったにないやり過ごせ。
待ってるぞ。
ナイスボール。

(部員達の掛け声)
(三條)12年ぶりかな?君とこのグラウンドに立つのも。
いえ僕が野球やめたのは高2の春なんで。
監督とここに立つのは13年ぶりです。
(桐生)監督何か?見当たらないんだ『城徳』の監督が。
どうしたんですか?監督。
『堂学』の監督が何かずっとこっちにらんでんだよ。
えっ?
(江波戸)痛い痛い痛い…。
赤岩の奴結局来なかったな。
どっかで見てんのかな?13年前の親善試合のスコアブックです。
ひどい試合だったでしょ?あなたが再び母校に戻った理由はそれですか?生徒達を使って13年前の雪辱を果たそうと?だったら記事になりますか?なりません。
頼まれたって書かないわ。
(主審)お願いします!お願いします!お願いします…。
(主審)プレー!・来い!・・さぁ1本1本・・行こう1番・・狙って行けよ・・来るぞ・・1本よ1本よ!・
(主審)早く投げなさい!もう…。
えっ!?・試合になんねえよ!何なんだよもう!・
(白尾)亀沢!ピッチャーやりたいっつったのお前だぞ!分かってる!でも難しいんだよ!ちょっと代えたほうがいいんじゃないですか?誰に?チッ。
雪辱果たせるんですか?
(主審)ボールフォー!おっ!おい!白尾!もう代われ!!いや…俺はサードです。
いいから!代われよ!
(白尾)代わっても俺の球を捕れる奴がいません。
だったら捕れる球放れよ。
(主審)君!早く出なさい!
(峠)あいつ…やっとお出ましか。
彼は『城徳』の監督です!えっ?じゃあ俺は…?じゃあ他は?他にピッチャーやりたい奴!おいいないのか!?ピッチャーだぞ!大丈夫!まだやれます!やれてもやるな!監督ならベンチに戻りなさい。
あ〜ピッチャー交代!ピッチャーは亀沢に代わって…赤岩!えっ?赤岩!赤岩!赤岩!来い!赤岩!赤岩!赤岩!赤岩!・赤岩!・・赤岩!・・赤岩さん!・赤岩さん!赤岩!どうした?赤岩!さっさと出て来い!
(部員達)赤岩!あ…。
赤岩!赤岩!出て来い!赤岩!赤岩さん!
(部員達)赤岩さん!赤岩さん!赤岩さん!赤岩〜!!赤岩さん!赤岩さん!赤岩!
(部員達)赤岩!あぁ!赤岩さん!赤岩!何だよ…。
ちゃんと出るんじゃねえかよ声。

(主審)ボールフォー。
監督!もうこのあたりで結構です。
ダメだ!続けろ代わりがいない。
赤岩君。
来たか。
お願いします!赤岩!赤岩!お〜赤岩!赤岩!洗濯!しといてくれたっていいだろ。
あっ…あぁ…。
(峠)あれは…去年のライトか?救世主?…にしては遅くない?
(咳込み)肩温まってるな赤岩!えっ?あっいや…。
さぁここからがホントの野球だ!急成長したのかな?
(主審)ボール。
いや…ストライク!よし!入った!よし。
ストライク1個だぞ?しかもあんな球。
赤岩君…。
また代えたほうがいいんじゃない?
(峠)ポジションが変わっただけでこれじゃまるっきり去年と一緒じゃねえか。
頑張れ赤岩!
(審判)セーフ!あぁ…!
(審判)タイムタイム!先生?
(主審)ちょっと君!
(峠)何?できればそろそろ…うちの生徒達にも打たせてもらえませんかね。
はぁ?お願いします。
打たせてあげてください。
先生。
先生。
この『堂東学院』に…八百長をやれっていうのか!?いやいやお怒りはごもっとも。
ですがこれ公式戦じゃありませんから。
野球を…野球をナメるな!!やめてください先生!いくら何でもそんなまねは…。
そんなまね?じゃどんなまねすりゃいいんだよ。
なぁ。
これどうやったら1回の裏になるんだよ。
いやそれは…。
教えてくれよ。
ほら。
誰でもいいから答えろよ。
アウトを3つ取ればいいんだよ!アウトを3つ?いやあんたもむちゃ言う人だな。
こいつらにはねそんなこと一生かかったってできやしませんよ!それができなければそもそも…。
八百長がダメっていうなら…俺はもう何も思いつかんぞ。
ほら教えてくれよ。
誰でもいいから答えろよ!!なぁ教えてくれ!アウトを3つ取らずにチェンジする方法は何だ!?
(係員)いいかげんにしないか。
(主審)まったくもう。
どういうつもりなんですか。
よし。
野球は…得意だ!声出せ〜!ドンマイ!まず1アウト!
(部員達)まず1アウト!ドンマイ!ドンマイ!ドンマイ!白尾!江波戸!アウト!捕れた!よっしゃ〜!やった!アハハ。
(部員達)1アウト!うわ〜!クソ〜!うっ!
(岡留)オーライ!うお〜!2アウト!あと1つあと1つ!
(白尾)あっ!赤岩を守れ〜!捕れ〜!赤岩!
(主審)キャ〜ッチ!捕った〜!よっしゃ〜!赤岩〜!よっしゃ〜!捕った!赤岩君捕ったよ青志君!よくやったみんな!戻って来い!ここから巻き返すぞ!はい!
(主審)ゲーム!
(主審)日没につきここで日没コールドとします。
ありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました!ありがとうございました。
野球なんて無駄だ。
こんなものやったってやらなくたって同じだよ。
でもなこの大勢に支えられた無駄は単なる無駄じゃない。
これ偉大なる無駄なんだ。
無駄だからこそ勝ち負けにこだわることができる。
まぁジャンケンと同じだ。
でも勝ったからといって偉いわけでもないし負けたからといってダメってわけでもない。
だから…だからこそ余計なことを考えずに思いっ切り勝負することができるんだ。
とにかく勝とうぜってな。
俺達でも勝てますか?勝てる。
強くなれますか?無理だ。
恐らくお前達は弱いまんまだ。
でも勝つ。
いやむしろ弱いまんまで勝つその方法を考えよう。
幸い俺達は全員賢い。
だから考えろ!俺も考える!そのためにまず今日から俺がお前らの監督になってやる。
えっ?弱くても勝てるんだっていうのを一緒に証明してみせようじゃないか。
分かったな!はい!決まりね。
(白尾)声出せ〜!ドンマイ!ドンマ〜イ!じゃあお先に。
いいなぁ。
ありがとうございました!フッ。

(櫻井)どうもお疲れさまでした。
(二宮)ありがとうありがとう。
ありがとうありがとう。
(松本)2話どうなるの?2014/04/12(土) 21:00〜22:14
読売テレビ1
[新]弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #1[字][デ]

日本有数の進学校にやってきた新人教師・田茂青志(二宮和也)。そこで出会ったのは、超弱小野球部!へんてこ教師とへっぽこ野球部、笑いと涙の青春学園ドラマ開幕!

詳細情報
番組内容
日本有数の進学校にやってきた新人教師・田茂青志(二宮和也)。
そこで出会ったのは、部員5人、エラーは伝統、かけ声の出し方すら知らない、救いようのない超へっぽこ野球部!!そんな弱小野球部の監督を引き受けることになった青志は決意する。
「弱くても勝てるということを証明してやる!」
へんてこ教師とへっぽこ野球部が「勝利」を目指す!
笑いと涙の青春学園ドラマが幕を開ける!
出演者
二宮和也
麻生久美子
福士蒼汰
有村架純
中島裕翔