中国の深刻な大気汚染などの影響で、新年度を迎えた北京や上海の日本人学校の児童・生徒が大幅に減った。子供の健康を考え、単身赴任を選ぶ駐在員が増えたのが主な原因だ。手当の増額など対策を検討し始める企業も増えている。

 11日に始業式を迎えた北京日本人学校。首都圏を含む各地から来た子供らが通う。微小粒子状物質PM2・5は珍しく日本の環境基準値に近づいたが、マスク姿の児童も目立つ。親や学校の指導で着用が習慣づいているからだ。

 小学部・中学部を合わせた人数は、昨年4月末より101人少ない491人。1976年度開校の同校は、天安門事件の翌90年に前年比で65人減ったが、それを上回る激減ぶり。500人を割るのも2004年度以来で、ピークの08年度から200人近く減った。

 緊張が続く日中関係の影響も考えられるが、それ以上に響いているのが日本でも盛んに報道されている大気汚染だ。多田賢一校長は「帰国する子が増えたというより、日本から入学・編入してくる子が大幅に減っている」と話す。

 4年生の長男を迎えに来た東京都板橋区出身の翻訳業、笠井賢さん(45)も、「この時期、増えるはずの新しい友だちが増えない」と気の毒がる。幼いころ、東京も光化学スモッグで空がかすみ目が痛んだ記憶がある。「神経質になり過ぎず、家族が一緒にいることを大切にしたい」と話すが、自宅の窓の開け閉めにも大気汚染指数を確認するなど気遣いは欠かせない。

 東京都あきる野市から来た北京在住5年目の主婦(33)も「子供の体は心配だけど、お友達もできて、こっちの環境に慣れているので」と、悩ましい思いを抱える。

 中国で長期滞在する日本人は約14万8千人。国別では、米国の約25万人に次いで2番目に多い。都市別で世界最多の約5万7千人が暮らす上海。首都圏出身の児童・生徒が過半数を占めるという上海日本人学校浦東校(小学部、中学部)は、11年度から3年連続で人数が増えたが、今年度は1379人と133人減。虹橋校(小学部)も昨年度より100人以上減った。

 上海周辺では鳥インフルエンザ(H7N9)の流行も影響しているとみられ、浦東校の浅木賢介校長は「年度初めは様子を見て、家族を呼ぶか考える駐在員が多いようだ」と話す。