STAP細胞:小保方氏会見 主な一問一答(上)

2014年04月09日

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記者会見に臨む小保方晴子氏=大阪市北区で2014年4月9日午後1時、三浦博之撮影

 新たな万能細胞「STAP細胞」の論文に不正が指摘された問題で、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)は9日、大阪市内のホテルで三木秀夫弁護士らと共に会見した。主な一問一答は以下の通り。(回答者の敬称略)

 Q パワーポイントのテラトーマ画像が、どの段階から小保方さんが取り違えたのかお聞きしたい。2011年11月に最初にパワーポイントを作製された時は何の細胞にどんな刺激を与えて作成した細胞、とスライド中で説明されているんでしょうか?

 小保方 11年のラボミーティングで用いたパワーポイントの中では、さまざまな細胞にストレストリートメントを与えると幹細胞化するという観点からまとめられたもので、テラトーマ画像にどのストレスを与えたかの記載はありません。ただ体細胞にさまざまなストレスを与えると幹細胞化するという現象について次々と述べられていて、その中の一部としてテラトーマフォーメーションのデータが載せられています。

 Q 具体的な実験の結果として掲載したのではなくて、幹細胞ができることの一例として画像を使われた?

 小保方 そうです。

 Q 2012年12月に同じ画像を若山研のミーティングで、バージョンアップされた画像を使われていると思いますが。

 小保方 確認しないとわかりませんが。

 Q わかりました。2月19日にテラトーマのサンプルの撮影をし直されたということですけど、テラトーマはいつ、だれが、どこで実験した結果で得られたものですか?

 小保方 私が若山研で、正確な日付は確認しないとわかりませんが、酸処理によって得られたSTAP細胞から作られたテラトーマの切片を染め直して撮影されたものです。

 Q 実験ノートには?

 小保方 はい、えっと、第三者が見たときに十分な記載になっているかどうかはわかりませんが、私はトレースできるレベルで書かれています。

 Q 理化学研究所の調査委員会に出された実験ノートに書かれているんですね?

 小保方 はい、そのはずです。

 Q なぜその論文を作成される時に元のデータでなくパワーポイントから画像をもってきたんでしょうか? 例えば急いでいたとか何らかの事情があったんでしょうか?

 小保方 そうですね、本当に申し訳ございませんとしか言いようがないですけど、何度も何度もパワーポイント内でデータをまとめバージョンアップしていましたので、そこに載っているデータを安心しきって論文のフィギュア(図)に載せて使ってしまった。本当にその時に元データをたどっていれば絶対このようなことにならなかったので、毎日反省しております。

 Q パワーポイントから論文に使われた画像はこのテラトーマ画像だけ?

 小保方 どの画像をパワーポイント画像から使ったかわかりませんが、その他のデータに関しましても元データをこのたび確認して調査しておりますので、パワーポイントに大きく写真としてまとめたものを直接使ったものは、はい、これだけと思います。

 Q 電気泳動の画像にしてもその後の取り違えも、「ミスで悪意はない」というのは分かるけど、科学の世界で例えば電気泳動で注釈なしに切り張りするのは見栄えを良くしようという意図を持っていればそれだけで批判をまぬがれないと思いますが、どうお考えか?

 小保方 提示法につきまして私が不勉強なままで自己流でやってしまったことを本当に反省しております。そして、このたびネイチャーの方に問い合わせましたら、黒い線を両サイドにいれておけばよかったのだというふうなご指示を頂きました。本当に私の不勉強によるもので、もう申し訳ございませんとしか言いようがございません。本当に申し訳ございません。

 Q 「正しいのがあるので不正ではない」というご主張と思いますが、ゲル1のレーンの3番目と、Oct4(遺伝子)でソートしたリアレンジメントがよく似ているので、コントロールとしては似ているから不適当と考えて、ゲル1を隠そうとしたと考えるのも可能。そうだと言っているのではなくて、科学コミュニティーで疑念を起こさせる行為だった。小保方さんご自身もそういう不適切さがあったのを認めている?

 小保方 私は、そのOct4の細胞の結果自体が変わるものでないので、それ以上の科学的な考察というか、それに影響を及ぼすものであると考えておりませんでした。結果自体は正しく提示されているので問題がないと考えていました。

 Q 「捏造(ねつぞう)」と言われた方(万能性を示す画像)で、ご自身から申し出たと。調査委員会では、学位論文と非常によく似た画像であることは、一般的に知られるまで報告がなかったとも報告書に書いてある。学位論文とよく似た図を使ったというのを笹井氏に申告されていたということなのでしょうか?

 小保方 あの、取り違えに気がついた時点で報告は致しました。

 Q 画像の取り違えについて自己申告したものであると主張しているが、調査委員会より先に。気付かれた日付は? 外部の指摘より早く気付いたというのは、ご自身の不正疑惑を晴らす重要なポイントであると思うが、外部から指摘されない段階で気付かれたと立証できるようなものも含めて説明を。それと、そもそも主張では「学位論文からの画像ではない」と言っているが、理研側が「学位論文から切り張りしたから疑わしい」という。この点についての見解は?

 小保方 まず、(気づいた)日付は2月18日だと記憶しています。もし間違っていたら申し訳ありません。それで、その時に申告したという証拠なんですが、その日の内にネイチャーのエディターの方ににメールを問い合わせという形で送っております。

 Q ご自身で、という証拠は?

 小保方 証拠……。

 Q それは難しい?

 小保方 はい。

 Q ご自身が聞き取りを受けているときにそのことを話さなかった理由、そのときの模様も含めて。

 小保方 まず、取り違えに気がついた段階で、ネイチャーと大学の、まず取り違いに気がついた後に……。すいません、頭を整理してからでいいですか。

 Q 落ち着いてどうぞ。

 小保方 まず、すべてのデータのプロパティーと言いますか、これ以上間違いがないかという点を全てチェックいたしました。その段階で、テラトーマ作製の生データがなかなか見つからなかったです、実は。写真をそのまま載せていたので。なかなか見つからなくて。ものすごく古いデータまでさかのぼっていったら、それは学生時代に撮った写真であると気がつきました。博士論文のデータを調べたら、それにも載っていたので。まず、早稲田大学の先生に、学位論文のデータを投稿論文に載せることは間違ったことではない、という確認をしました。その段階で、理研の上司にも、「大変な取り違いをしていました」と報告していました。そしたら、「間違っているのはネイチャーの方なので、すぐにネイチャーの方に修正依頼を出さないといけない」という指示を頂きました。それでネイチャーにその後すぐ、「写真を取り違えてしまいました、正しい写真は存在していてこれです」と問い合わせしました。その後、調査委員会にも「間違いを発見しました」とは言ったんですけれども、あの当時、私の認識では、学位論文は個人の作品であって、外部に発表するいわゆる投稿論文ではないので、それについて調査委員会にそこまで報告する必要がないと判断したというわけではなくて、正直もう、気が回らなかったというのが正直なところです。

 Q 意図をもって触れなかったということはない?

 小保方 はいそうです。そのようなことはありません。

 Q 残念ながら今回の騒動は、小保方さんご自身しかSTAP細胞の作製に成功していない。STAP細胞、STAP幹細胞はこれまで何回作製できたのか、それと作製のコツはあるのか?

 小保方 まず私自身、STAP細胞は200回以上作製に成功している。STAP幹細胞については、実は私は苦手としていて、若山先生がお得意とされていて、現存するSTAP幹細胞は若山先生が作製してくださったものなんですけれども。あの、実は、今回の論文は、私の中では現象論を記述したもので、最適条件を証明したものではないという認識でした。そしてまさにこれから、STAP現象の最適条件を示すような論文、メカニズムに迫りつつ、そして最適条件を示していけるような論文をまさに準備していたところだったんですが、このような事態になって研究が止まってしまったことに心を痛めている。

 Q 公開実験は可能か?

 小保方 どうなんでしょうか。実験というのはいつも一人でこっそりやっているものではないので、研究室では毎日が公開実験のような状態ですので。ただ、すべて証明するためには日数もかかると思うし、どのような手法で公開実験が可能なのかは分からない。もし私が実験して幹細胞を見たいと言う方がいれば、ぜひどこにでもいって、この研究を少しでも前に進めてくれる人がいるのであれば、できるだけ協力していきたいと考えています。

 Q 若山さんがSTAP細胞を作製するのに依頼したマウス。若山さんが(帰ってきた細胞の)DNAを調べたところ、違う系統のマウスだった。なんでこんなことが起きてしまったのか。

 小保方 そのお話に関する問い合わせのメールをたくさんの人から頂いているが、たぶん、報道でしか見ていないが、それ自身は論文とは関係ない実験のもの。それは若山先生から伺った情報なんでしょうか?

 Q 129系統のマウスを渡したら、B6とF1という系統のマウスのものだった。

 小保方 その実験に関しては私自身、まだ直接、若山さんと話をしていないので、詳細は分かりかねます。

 Q 調査委員会に提出されたノートが2冊だけだった。すごい実験の中で2冊というのは少なすぎるのではないかという指摘もあります。調査委員会としては、そのずさんな管理が捏造(という判断)の決め手といっているが、もっと詳細な実験ノートはあるか?ハーバード大には?

 小保方 最終報告の中では、3年間で2冊となっているようだが、実際にはそんなことはない。もっとノートは存在します。ただ、理化学研究所の調査委員会に提出したノートが2冊だったということです。

 Q 不服申し立ての会見では、2冊しかないとか、内容が断片的、という指摘があったが、これについての反論、不服は?

 小保方 まず、記述方法につきましては、当時の私としてはトレースできたが、第三者の視点からは不十分、第三者がトレースするには不十分だったということは、本当に反省するところであります。2冊だけだったという点については、ノートの提出自体、突然、その場で求められたので、その時あったノートが2冊だったということです。

 Q もし必要であれば、提出できるノートはお手元にお持ちということか?

 小保方 はい、そうです。

 Q このような状況になったことはどう自分で分析? 疑義は晴らせる?

 小保方 まずこのようなことになってしまったことに、繰り返しになりますが、おわびをさせてください、申し訳ありません。ただ、わたしは学生のころから、いろんな研究室を渡り歩いてきて、研究の仕方がかなり自己流でここまで走ってきてしまったという点は、私の不勉強であり、未熟さで、本当に情けなく思っている。ただ、今回の疑義に関しましては、この「第三者的な観点から証明」ということを、今弁護士の先生方に協力してもらっているので、晴らすことができると信じております。

 Q 共同研究者に対しての思いを。

 小保方 サポートしてくださった、助けてくださったのに、私の不勉強でこのような事態になって、心から申し訳ないと思っています。

 Q STAPは確立すれば人類への貢献が大きいもの。騒がれているのはマナーの問題、やり方、方法で、STAPが存在するかの問題についての議論を深めるべきだと思うがどう思うか。理研が検証実験をするが、小保方さんは入らないということですよね。今後、不服申し立てが受理された場合に、理研の中でSTAPの再現実験に参加したい意思はあるのか。他の研究者がやって重要な技術がなくなるのはもったいない。そこに入られる希望があるのか。

 小保方 私はSTAPの研究を前に進めたいという思いから論文を発表しました。それにもかかわらず、私の不勉強のせいで研究内容以外のところに注目が集まり、研究がどんどん遅れていることは本当に情けなく、これまで支えてくれた方に申し訳なく思っています。再現実験に私が参加するかしないかに関しては、私は理研から何の連絡も受けておりません。なので、どういう態勢で再現実験をされるか、詳しくは存じ上げていないのですが、未熟な私にもし研究者としての今後があるなら、STAP細胞が誰かの役に立つ技術にまで発展させていくという思いを貫いて研究をしたいと考えています。

 Q 理研の調査の結論を聞いた感想、どう反応したか。

 小保方 あまりの驚きとショックに何も考えることも、言うこともできませんでした。その時は弁護士が同席してくれて、とにかく自分が正しい研究をしていると思うならば不服申し立てすれば、とアドバイスしてくれたので、このような経緯に至りました。

 Q 若山先生から、画像の取り違えが発覚した3月10日に「(研究を)信じられなくなった」との発言があった。そのような発言について、どのような経緯が推察されるか。またやりとりはあったか。

 小保方 推察にすぎないので違うかもしれないが、取り違えに気が付いた時点で若山先生に連絡が行っていると思っていたので、訂正の書類にサインしたと思っていたので、取り違えについてご存じなかったことに記者会見を見て知った。私のメールと若山先生の電話はパンクしていて、やりとりができない状態。第三者を通してしか情報が入ってこなかったので、お互いの情報やその時の気持ちが通じ合えなかった。申し訳なく思っている。 Q 科学に関して考え方が変わった?

 小保方 自己流で走ってきたので、ゼロからではなくマイナス100からと思って、研究に向き合っていくチャンスがあればと思っている。

 Q 科学者としての立場はつらいが、今後どうしていきたい?

 小保方 今の時点ではわかりませんが、社会貢献できるならそれを探していきたい。

 Q STAP細胞を200回以上確認したというが、ならば非常に不備な点だらけの論文を撤回する考えはないか。

 小保方 論文撤回は、国際的に「結論が完全なまちがいであった」と発表することになる。著者が間違いと発表することになるので、私は正しいと思っている以上、そのこと(撤回)を世界に発表することは正しい行為ではないと考えている。

 Q 発表の次の日から姿を現すことはなかったが、どういう理由で、どういう思いでここまで過ごしたか。

 小保方 論文に関し、たくさん疑義が上がる中で、何度も私から説明したいとコメント案を作ったりしたが、理研が「それは適切でない」という判断で、今日まで発表することができなかった。

 Q 意思は伝えた?

 小保方 はい。伝えてきました。

 Q 実験ノートは何冊? 写真はどれくらい。

 小保方 写真は1000枚、大量に。間違いなく何百枚かは。ノートはハーバード大にもこちらにも、少なくとも4冊、4~5冊はある。

 Q 理研は、小保方さんは撤回に納得したと言っているが、ウソということか。理研(の勧告)に同意したつもりはないのか。

 小保方 私は理研の社員でありますので、撤回を視野に入れて検討したら、という話には、「はい、そうですね、その話はわかりました」といいましたが、撤回に同意はしていません。

 Q 「撤回したら職員として残す」と言われたという見方もあるが。

 小保方 ありません。

 Q 「悪意」という言葉が何度も不服申立書に使われている。理研は「悪意は故意とも言い換えられる」と。悪意をどう解釈している?

 小保方 そこが私も分からなかったので、室谷先生に相談した。

 室谷 悪意をもってと言うより、「(不正は)悪意でない間違いを除く」という条項になっている。過失によるものは除くという趣旨だと捉えている。

 Q 小保方さん本人は、悪意とはどう解釈する?

 小保方 悪意……悪意……。

 三木 そこは法律的判断にからんでくるので控えたい。

 Q 早稲田大に「博士論文を取り下げる」との意向を伝えたと。そういう事実はあるか?

 小保方 取り下げの問い合わせはしたが、「博士号は指導されて授与されるものなので、ふさわしいとかふさわしくないと判断される立場にない」と、関係者からアドバイスをもらった。

 Q 取り下げていない?

 小保方 はい。

 Q かっぽう着についての報道をどう思ったか?

 小保方 ……私がかっぽう着を着ているという報道を見た感想ですか? みなさん、面白いところに興味を持つなあと思った。

 Q 不満や不安は?

 小保方 あまりにも予想外の報道だったので恐ろしかったです。正直。はい。

 Q 理研がかっぽう着やピンク色の実験室をPRのために用意したとの報道もあったが、もともとのものか。理研が急場で出したのか。いつごろから用意していたのか。

 小保方 かっぽう着は3年前から。ピンクの実験部屋は、私がユニットリーダーに着任して、研究室を用意している段階でできたもの。

 Q 労働雇用の視点からして、懲戒処分に当たらない、抵触しないのか?

 三木 まだ将来の仮定の問題だ。その前提で話す。研究不正と認定されたら、理研の懲戒手続き、懲戒規定上の問題に移ってくる可能性がある。その際、改めて懲戒事由に該当するかどうかの問題になる。(今回は)まず懲戒事由に該当しない、研究不正ではない。仮に該当するとなっても「処分として重すぎる」という主張は考えられる。倫理上の問題についての指摘は仕方がないとしても、若干ルールを間違ったからといって有罪認定するのは、法的には著しい人権侵害だ。冷静に事実を見て、処罰要件を見て、研究不正の定義に照らして該当するのかが今回の問題点だ。世の中の識者も「倫理上反しているから彼女はダメだ、改ざんだ」とテレビで言うが、完全に論点がずれている。処分するなら要件を満たしているか見て結論してほしい。

 Q 先生は矛盾している。刑法では「推定無罪」ということだが、彼女は「STAPは存在している」という。小保方さん、あなた自身、みなさんをだましている。

 三木 ご意見を言う場ではない。質問に限定してください。

 Q 調査の不備(との主張)について。理研は3回聞き取りをしたと言うが、小保方さんは1回だけだと。あと、理研の調査では、若山先生などに不正はないとされているが、(画像の)切り張りについて相談はなかったか?

 小保方 3回というのは、たぶん中間報告までに3回ということだと思う。今回私たちが書いたもの(申立書)では、中間報告から最終報告までの間に1回だった。

 三木 正式な面接は1回。書類確認のヒアリング、これは正式な面接とはいえないが、資料確認として委員2人で来たのが1回。正式な面接としては1回。

 Q ビデオ会議もあった?

 小保方 調査のヒアリングは、すべてビデオ会議です。

 Q 切り張りについて若山さんらに報告は?

 小保方 切り張りしたことは、その時点での報告はしておりませんでした。

 Q 全部ご自身で?

 小保方 はい。

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