13日に投開票があった香川県綾川町長選で84歳の藤井賢氏が当選した。全国町村会などによると、84歳10カ月の首長は、現職の知事、市区町村長で最高齢。合併前の旧綾南町長を合わせて連続8回目の当選だ。

 13日夜、藤井氏は支援者と万歳をして当選を喜んだ。壇上から下りる際につまずく場面もあったが、「町民のみなさんの健康が大事だ」と余裕を見せた。

 藤井氏にとって、今回の町長選は19年ぶりの選挙戦で、4人が立候補した。町政の若返りを訴える30代から60代の対立候補3人を「若手」と呼び、「心を鍛えていない者に務まるほど政治は甘くない」と訴えた。結果は投票総数の約半分の7528票を集めた。

 小作農家に生まれ、20歳のころに農民運動に参加。28歳で町議になると、社会党の県議を経て、58歳で旧綾南町長になった。2006年に合併で綾川町ができると、初代町長に。町長歴は通算27年間になる。

 毎朝4時半に起き、1時間の体操をする。持病はなく、自宅から役場までは自分で車を運転して通う。

 町内には08年に大型ショッピングセンターができ、昨年末にはローカル鉄道の新駅が誕生するなど、活性化への動きが見られる。

 引退を勧める支援者には「あと1期だけ」と説得した。それでも当選後、「住民のための政治をやってみて、次をやるかやらないか決める」と意欲を示した。

 現職首長で次に高齢なのは、青森県鶴田町の中野掔司町長(84歳5カ月)。(田嶋慶彦)