山本恭介、岡田将平
2014年4月13日20時01分
長崎の原爆で被爆死して振り袖姿で火葬された少女を描いた「ふりそでの少女」の絵で知られる被爆者の松添博(まつぞえ・ひろし)さんが13日、がんのため亡くなった。83歳だった。通夜は14日午後6時30分、葬儀は15日午前11時から長崎市大橋町14の16の大橋メモリードホールで。喪主は妻君子さん。
14歳の時、爆心地の北約3・8キロの長崎市滑石の自宅庭で被爆。その10日後、畑で火葬される振り袖姿の2人の少女を見た。その光景が忘れられず、1974年に絵に描き、絵本「ふりそでの少女」として92年に出版した。
被爆の語り部としても活動し、語り部らでつくる長崎平和推進協会継承部会長を2006~09年に務めた。また、市民グループ「紙しばい会」のメンバーとして、被爆体験を題材にした紙芝居を作り、読み聞かせをしてきた。
11年に咽頭(いんとう)がんで声を失った後も、人工喉頭(こうとう)を使って語り部の活動を続けた。「語り部は僕の生きがい。平和のために絶対続けなければならない」と語っていた。
長崎市の田上富久市長は、人工喉頭で松添さんが被爆体験を語るのを聞いてきた。「どうしても語り継がないといけないものがあるという強い意志を感じた」と振り返る。「包み込むような温かさがあって、それが多くの人に伝える力になったのでは」と語る。「残念。冥福をお祈りし、ありがとうございましたと言いたい」と悼んだ。(山本恭介、岡田将平)
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朝日新聞社会部
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