April 8, 2014
トッド・グリーン(Todd Green)氏の専門は、エミューと恐竜。なんとも変わった組み合わせだ。
動物の骨の展示を専門とするオステオサウル社に勤務するグリーン氏は、動物学者として骨格を制作したり、恐竜の絵を描くのを仕事としている。鳥に似た恐竜がどのように行動していたかを学ぶため、コロラド州の牧場で数百時間もの時間を費やしてエミューの世話をした経験も持つ。
今年3月、北アメリカでの発見としては最大級の羽毛恐竜の化石が見つかったと発表された。体重225キロ、体長3メートルの鳥に似た恐竜は、「地獄の鶏」とあだ名がつけられた。
「PLOS ONE」誌に発表された研究報告によると、この恐竜アンズ・ウィリエイ(Anzu wyliei)は鳥類にとても近く・・・
動物の骨の展示を専門とするオステオサウル社に勤務するグリーン氏は、動物学者として骨格を制作したり、恐竜の絵を描くのを仕事としている。鳥に似た恐竜がどのように行動していたかを学ぶため、コロラド州の牧場で数百時間もの時間を費やしてエミューの世話をした経験も持つ。
今年3月、北アメリカでの発見としては最大級の羽毛恐竜の化石が見つかったと発表された。体重225キロ、体長3メートルの鳥に似た恐竜は、「地獄の鶏」とあだ名がつけられた。
「PLOS ONE」誌に発表された研究報告によると、この恐竜アンズ・ウィリエイ(Anzu wyliei)は鳥類にとても近く、エミューやダチョウ、ヒクイドリなど現代の飛べない鳥を大きくしたような姿だっただろうと考えられている。
6600万年前の白亜紀に、今のノースダコタとサウスダコタの辺りに生息していた。
ナショナル ジオグラフィックは、アンズ・ウィリエイがどのような外見と生態を持っていたのかについて、グリーン氏に話を聞いた。グリーン氏は、今回の研究には参加していない。
◆恐竜研究の一環としてエミューと格闘したことがあるそうですね。
何度も経験しています。コツは、背後に回ることです。エミューは体長が1.8メートルと高く、体重も54キロあります。前方に足を蹴り出す力は非常に強いのですが、後方へ蹴るのはあまり得意ではありません。そこで、背後から近寄って、腕を広げて胸骨の部分をつかむようにして抱きつきます。
◆なぜそのようなことをする必要があったのですか?
檻から檻へ移動させる場合や、トレイラーに乗せる場合です。コロラド州立大学の学部生をしながら牧場で働き始めたばかりの頃、4人がかりでエミューを取り囲んだら、エミューは体をまわして全員を蹴り飛ばしたことがありました。とにかくすごいパンチ力です。トレイラーの鉄の扉を蹴ってへこませたのを見たこともあります。
◆そのエミューと恐竜にどのような関係が?
当時受けていた授業を通して出会った古生物学者のブレント・ブレイタープト(Brent Breithaupt)氏は、ワイオミング州コーディの東で発見された恐竜の足跡を分析していました。そこには、足の指が3本の獣脚類の足跡が何千と残されており、大きさも様々でした。ブレント氏は、こうした大きさの違いが大人と子どもを含んだ家族のものなのか、それとも他の生物の足跡がまぎれているのかを調べようとしていました。私の仕事は、毎週エミュー牧場を訪れて、エミューの足の成長を記録することでした。ブレント氏はそれを、恐竜の足跡と区別していました。
◆なぜエミューなのですか?
エミューの足は恐竜の足にとてもよく似ています。エミューの歩く姿を見ていると、その体の動きは恐竜を思い起こさずにはいられません。足が地から離れると、足指が内側に丸まり、次にその足が地面に接する直前に、指はまた広がります。この動きは、足の腱の造りによるもので、鳥と恐竜の解剖学的な共通点なのです。
実際、『ジュラシック・パーク』などの映画を製作する際に、ティラノサウルスやその他の獣脚類(ティラノサウルス・レックスのような二足歩行の肉食恐竜)の動きを再現するのに、エミューを参考にしていました。
◆エミューは足が速いそうですね。
とても速いです。短距離なら時速56キロで走ることができます。それよりももっとすごいのは、その持久力です。時速32キロで40分間走ることができます。
◆他に、エミューと恐竜との共通点はありますか?
発見されたばかりのオビラプトサウルス(アンズ・ウィリエイ)の頭には、骨ばったとさかがあり、おそらく、現代の飛べない鳥ヒクイドリのような外見をしていただろうと思われます。多くのオビラプトサウルス類は、似たような精巧なとさかを持っていました。それが何のためにあったのかは分かりませんが、ヒクイドリの場合、鳴き声を増幅させる装置のような役割を果たしているのではないかと考えられています。
ILLUSTRATION BY EMILY M. ENG