クチコミをHACKする!「Airbnb」のグロースチームが行った5つのステップ

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14 4月

DropboxやUberなど、短期間に大きなグロースを達成したスタートアップは、リファラル(友人招待)をHACKして急成長しています。

 
一方で、グロースハックが大成功していると言われるAirbnbでは、リファラルがうまく行っているとは言えませんでした。

“貸す人と借りる人を結ぶ空き部屋シェアサイト”であるAirbnbが提供する体験は、間違いなく素晴らしいものです。

ところが、彼らのアプリやサイトでのリファラル機能は、その体験に比例するどころか、ほとんど使われていなかったのです。

 
しかし、さすがグロースハックカンパニーであるAirbnb。

数々の施策を行った結果、ここ数ヶ月でリファラル(友人招待)の発生数を数倍に増加させています。

今日は、そんなAirbnbのグロースチームがリファラル増加のために実際に行った取り組みを紹介したいと思います。

 
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参考:Hacking Word-of-Mouth: Making Referrals Work for Airbnb – Airbnb Engineering

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Airbnbのリファラルプログラム

「招待されたユーザーが、最初の宿泊を終えると、招待した方もされた方も$25を受け取れる。」という彼らのプログラムの目的はシンプルで、
「Airbnbの体験を友達にも伝えたいという欲求にレバレッジをかけ、増大させる」というもの。

彼らは、このプログラムをウェブサイト、iOSアプリ、Androidアプリの3つのプラットフォームでローンチしました。

そして、これを成功させるために、5つのステップでHACKを仕掛けていきました。

 

ステップ1:ゲームを定義する

1行目のコードを書く前に、まず彼らは「何を達成したら成功なのか」を定義しました。

今回のリファラルにおいては、ファネルを形成するこれらのメトリクスを用いて”成功を定義”しました。

・招待を送るMAU(Monthly Active Users)
・一人の招待者あたり何人に招待を送るか
・新規ユーザーになるCVR
・新規宿泊客になるCVR
・新規ホストになるCVR

 
そして、それぞれのメトリクスにおいて、

・Good
・Better
・Best

という3段階の基準を設けました。

 
もちろん、このフェーズで、DropboxやBoxerなどの既に成功しているリファラルプログラムのベンチマークを行います。

 

ステップ2:採点する

まだ彼らはコードを書きません。

その前に、上記メトリクスの進捗を把握するための仕組みを構築します。

Airbnbでは、air_eventsと呼ばれる内製のイベントログツールがあります。

これにより、メトリクス毎に全プラットフォームをひっくるめたパフォーマンスのグラフ化や比較を行うことができました。

 
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ステップ3:合宿

ここに来てやっとコーディングに入ります。

Airbnbには面白い文化があり、新機能の開発や、新しいプロジェクトを始める際に、Airbnbのリストのうち、オフィスに近い物件にチームで泊まって一気に仕上げるらしいです。

別に必ずしも合宿をする必要はないですが、このステップでは一気にプロダクトを形にしましょう。

 
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ここで作られた機能は主に2つ。

 
①パーソナライズされたLP

LPをパーソナライズし、招待者の顔と名前を表示することで、
招待者にオーナーシップが生まれ、招待された人のCVRも向上するだろうというのが狙い。

 
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②招待リンクからDLした後にアプリを開くと、特別な招待LPに飛ばす

通常、アプリを起動すると以下のような登録画面が開くが、

 
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招待リンクを踏んでアプリをDLすると、以下のようなLPに飛ばしている。
友人の顔が出ていることによる安心感 + メリット再訴求でCVRを伸ばしている。

 
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※VASILY社内で何人かに試してみたが、うまく表示されないことが多かった。ただ、仕組み自体はフィンガープリントを使ってのものなので、技術的には可能。

 

ステップ4:ゲームを開始する

そしてリリース!

 
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ここで注目したいのは、ステップ3で開発した機能が、
ステップ1で定義したメトリクスのそれぞれを引き上げることに成功している点。

例えば、

・アドレス帳インポート機能を付けることで、一人あたりの紹介人数を引き上げている。
・リファラルキャンペーンを発見しやすくすることで、招待を送るMAUを引き上げている
・アプリ起動後に独自のLPに飛ばすことでCVRを引き上げている。
・既に招待された人や登録した人に、招待を送った人がリマインダーを送ることを許していることで、招待後のCVR率を引き上げている。

 

ステップ5:動きを洗練する

ひと通り、機能をリリースした後は最適化あるのみです。

彼らが行った最適化の取り組みを3つ紹介します。

 
1つ目は、招待プログラムを既存ユーザーに認知させるタイミング。

ユーザーが予約をした直後や、ポジティブなレビューを書いた直後など、ユーザーが最も招待しそうな瞬間にリファラルプログラムを勧めるなどして、実際に招待をおこなう率を上げていきました。

 
2つ目は、プロモーションメールでのABテスト。

特に興味深いのが、同じ商品でも異なったバリュープロポジションを取ることで、成果が全く変わってくること。

あるメールでは、友人を招待することで$25手に入るという点を強調(利己にフォーカス)

他のメールでは、登録することで友人が$25手に入るという点を強調(利他にフォーカス)

結果は驚くべきことに、利他にフォーカスしたメールの方が世界中でパフォーマンスが良かったという。

 
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3つ目は、文化ごとの最適化。

世界中で使われているAirbnbが発見したのは、文化によってプログラムへの反応が全く異なること。

例えば、リファラルプログラムは韓国で他地域に比べて圧倒的に人気があるなど。

したがって、ABテストの結果は、文化によってセグメントして最適化しているのだそう。

 

グロースハックのテンプレート化

これら一連のプロセスはAirbnb内でテンプレート化してきているらしい。(テンプレート=悪ではない)

すなわち、

1.測定可能なゴールを設定する
2.メトリクスを設計し、ログの集計環境を整える
3.計測可能な形でプロダクトを作る
4.インパクトを測る
5.繰り返す

 

まとめ

リファラルはグロースを体現しており、非常にエキサイティングなものです。

しかし、成功している各社の取り組みを見ていると、そんなに突飛なことはしていません。

既に存在しているグロースのパターンを特定し、それに適切なタイミングでレバレッジをかけて増大させる。

 
iQONでも、今取り組んでいる大きな開発が終わったら、リファラルをHACKできる土台が整います。

「既に存在しているグロースのパターンを特定し、それに適切なタイミングでレバレッジをかけて増大させる。」という原則のもと、
大きなグロースを生むリファラルプログラムを設計したいと思います!

 

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