ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州スラビャンスク(Slavyansk)近郊で、治安部隊との戦闘に備えてタイヤを燃やす親ロシア派のデモ隊(2014年4月13日撮影)。(c)AFP/ANATOLIY STEPANOV
【4月14日 AFP】ウクライナのアレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は13日、同国からの分離独立運動が高まっている東部でロシアが「戦争を仕掛けた」と非難するとともに、「全面的な対テロ作戦」の開始を宣言した。同作戦ではこれまでに少なくとも2人が死亡している。
東部ドネツク(Donetsk)州では前日の12日、覆面の武装集団が綿密な計画をもって各地の警察署と治安当局の建物を襲撃していた。
ウクライナのアルセン・アバコフ(Arsen Avakov)内相は、同州の分離派武装勢力に対する反撃を13日早朝に開始したと発表。ウクライナ国家保安庁(SBU)の精鋭部隊がまず、約20人の武装集団によって警察署が占拠されたスラビャンスク(Slavyansk)へと入ったが、激しい抵抗にあい死傷者が出たため「再編制」を余儀なくされたと明かした。
同内相は自身のフェイスブック(Facebook)ページで、「双方の側に死傷者が出た。こちら側ではSBUの将校1人(が死亡)。テロ対策センターの所長と、4人が負傷した」「分離派側については人数不明。分離派は人間の盾を使って自分たちを守り始めた」と述べている。
またドネツク(Donetsk)州当局によると、スラビャンスクとアルテーミウシク(Artemivsk)を結ぶ道路で「進行中の武力対立」で1人が死亡、4人が負傷。どちら側に死傷者がでたのかは調査中だという。
12日に起きた一連の襲撃事件は、ロシアがクリミア(Crimea)半島を併合するに至った経緯と非常に良く似ていることから、ウクライナと西側諸国の指導者たちに不安をもたらしている。米国のサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使は、これら事件が「ロシア政府の関与を示す兆候」を有していると指摘した。
目出し帽をかぶった武装集団のメンバーらは、国家治安機関の精鋭部隊がしばしば用いる特別なアサルトライフルや照準器を装備しており、その多くは、3月上旬にクリミア半島を制圧した部隊が着ていたものと似た迷彩服を着ていた。武装集団はまた、軍隊のような正確性と結束力を持って動いていた。
トゥルチノフ大統領代行は国民に向けたテレビ演説で、「ロシアがクリミアの筋書きをウクライナ東部で繰り返すことは許さない」と表明。「ウクライナに対しロシアが仕掛けている戦争で、血が流された」と述べ、治安当局が「ウクライナ軍を含む全面的な反テロ作戦の開始を決定した」と発表した。
ロシア外務省は直ちに反論し、ウクライナの暫定政権が「自国民に対して戦争を仕掛けている」と非難。国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、ウクライナの武力行使への即時対処を要求した。(c)AFP/Yavgen SAVILOV and Dmitry ZAKS in Kiev