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国内ユニクロ改革への悲観

あつまろです。

2014年4月11日(金)、ファーストリテイリングの株価が急落し年初来最安値をつけました。終値での株価下落はマイナス7.8%となり、日経平均株価指数の下押し要因となりました。 今回は株価下落の原因と、今後の展望を考えていきます。

「株価下落の要因」

株価下落の直接的な原因は、前日(10日)の第二四半期決算発表にあります。

まず一つは国内ユニクロ事業の上期業績が計画未達であったこと。
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(ファーストリテイリング 第2四半期決算プレゼンテーション資料より)

足下の業績がよくなくて通期でも業績下方修正しています。これがネガティブサプライズになりました。しかし、もっと大きなネガティブインパクトはこちらじゃないかと思います。
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(ファーストリテイリング 第2四半期決算プレゼンテーション資料より)

地域密着型の店舗経営をめざすため、“地域正社員”を登用するということです。これによってアルバイトやパート社員が地域正社員として採用されると人件費が高騰するとみられたと思います。 また、「個店経営」を意識するということは、これまで画一的な広告や商品ラインナップが変わる可能性が出てきます。そうなるとスケールメリットもなくなって、人件費以外にも販管費が伸びそうです。これらがコストアップとみられて先行き悲観として売られたという状況だと思います。

「柳井社長のねらいは?」

国内ユニクロ事業の再成長にむけて局面打開の必要があると考えたと思います。 そのため中央集権型のモデルから、分権による自律モデルに変えるということでしょう。 決算説明会の場で柳井社長は、ある店舗を引き合いに出していました。 それは店舗近所に住む社員が、地域にあわせた商品ラインナップなど店舗運営を実施した結果、売上が年商約2800万円が約6800万円程度まで伸びた、という事例を挙げていました。 そのためには現場から遠い本部の指示であったり店長に権力を集中させるのでなく、地域に密着している店舗スタッフが最大限の能力を発揮することで再成長を図ることができるはず、というのが柳井社長の考えです。

また、アルバイトやパート社員が時給だけだと長く勤める人が少なくなっているというのもあるはずです。正社員化することで囲い込みができ、何年もの経験のあるエキスパート集団にしたいということもあるでしょう。

「地域正社員施策はアタリか?」

まだ舵を切ったばかりで具体的な実行内容の確立まで至っていないのが不安です。ただ、この施策は短期的には人件費増で業績下押し要因となるのは間違いないでしょう。そういう意味で株価急落は当然でしょう。では長期的には成功するか?と言われれば、それも怪しいです。たいした効果が上がらない可能性も十分あります。

ただし、変化していくということ自体に価値があると思います。現状のままだと国内ユニクロ事業は伸び悩むのは目に見えているので、変化を起こしていく必要があります。仮に今回の施策が失敗したとしても超長期で見れば糧になる。こういうチャレンジを続けること自体を私は評価しています。ファーストリテイリングはいい企業です。 ただし、投資家として見ると、今の株価水準はまだ高いので手を出す水準にはありません。世間の失望をかって株価暴落するシーンがあれば、私の出番だと思います。

一勝九敗 (新潮文庫)

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