アプリがすたれていくという論点

http://tech.fortune.cnn.com/2014/04/10/evernote-ceo-apps-will-become-obsolete/

1 comment | 0 points | by WazanovaNews 約3時間前 edited


Jshiike 約4時間前 edited | ▲upvoteする | link

ここ最近、「モバイルではアプリが圧倒的にトラッフィクを占めてきていて、ウェブが劣勢。」という記事が日米いずれでも話題になってますが、Chris Dixonがブログで下記の問題提起をしたように、モバイルでウェブが復権してほしいと思っている開発者はそれなりにいるかと。

もっとも恐ろしいのが、理由を言わず、もしくは根拠なしにアプリがリジェクトされること。(例えば、AppleはBitcoin関連のアプリを全てリジェクトしている。)我々は、ウェブのオープンなアーキテクチャのおかげで素晴らしい実験の場を享受してきた。創業時点では物議をかもしたスタートアップはたくさんあったが、もしAOLなどの当時のゲートキーパー的な事業者がウェブをコントロールし、開発者がGoogle / YouTube / eBay / Paypal / Wikipedia / Twitter / Facebookなどをつくるときにゲートキーパーの承認が必要だったとしたら、今の世の中はどうなっていただろうか。悲しいかな、現在モバイルが進んでいる方向がこれである。

アプリが優勢になっている理由の一つに、日本は例外ですが、そもそもモバイルのネットワークがつながらいということもあると思います。日本が3G以上のネットワークに移行していった当時は、「どんどんつながるようになってきた。」というポジティブな体感がありましたが、米国では変化が遅すぎて、モバイルのネットワークがよくなるかどうかについては相当悲観的になります。SoftbankがSprint/T-Mobileのディールを成立させて状況が改善すればよいなとちょっと期待してます。

つながらないのが当たり前な状況の中で、EvernoteやPocketのようなオフライン利用ができるアプリのメリットは大きく、エンドユーザとしては、「当然アプリだよね。」という気持ちになります。

このような前提の中で、このCNNの記事はタイトルが "Evernote CEO: Apps will become obsolete" だったのですぐに釣られました。ただし、内容は釣りではなく、自分があまり深く考えていなかったポイントに気づかされました。

今後、TV / ウェアラブルからはじまり、世の中のあらゆる機器がネットに接続されるようになります。EvernoteのCEOのPhil Libinは、そうなるとセッション時間が短くなっていくので、アプリを使うようなシーンではなくなるとみています。

サイズが小さく、スピードが早く、利便性が高いコンピュータシステムに移行するたびに、セッション時間は短くなっていく。デスクトップからラップトップへ、そしてスマホやタブレットに、今やウェアラブルやあらゆるコネクテッドデバイスに移ってきている。デスクトップやラップトップは2, 3時間、スマホは一回に2, 3分だけど、1日50回使う。長いセッション時間のコンピュータは、ファイルやDBのあるパワフルなソフトがぴったり。モバイル電話だと2分程度のやりとりを前提としたアプリが向いている。

しかし、ウェアラブルとなると、セッション時間は2分から2秒になる。チャレンジなのは、一回で1秒、1日1000回というアクセスパターンで、どのように意味をなすものを提供できるのか。1秒しかやりとりが続かないと、アプリを使うということは考えないので、ウェアラブルの世界ではアプリは関係なくなる。

「ウェアラブルはそもそもキラーコンテンツがないよね。」という声も聞きます。腕時計や眼鏡が最終型でなくても、将来はあらゆる機器がネットにつながるようになるというのは揺るぎない流れだと思うので、短いセッション時間が意味をなすコンテンツを考えられるかどうか。そのようなデバイスは、ログ収集的な役割に留まり、ゲーム / ユーティリティソフト / ビジネスソフトはスマホより小さなものにはなかなか浸透しないのでしょうか。それとも小さなデバイスに合ったコンテンツをつくりだすことができるのでしょうか。アプリからまたウェブに回帰する揺り戻しは、コンテンツソリューションを見つけられるかどうかという事業者 / 開発者側の課題。(デバイスごとに役割の違うゲームなんかはつくれそうな気がします。)

もしくは、大逆転で、世界のモバイルネットワークが飛躍的に改善されて、スマホでのウェブ利用がストレスなくなるとなれば嬉しいですが。

いずれにしても、エンドユーザにとっては、問題を快適に解決してくれる最適なデバイスを選択するだけのことなので。


Jan-Mar/2014: ワザノバTop25アクセスランキング


#evernote

Back