「山中教授×野田秀樹の細胞対談」

人の愛情も細胞がコントロールしている!?

山中伸弥教授と野田秀樹氏が“細胞”を語り尽くす(その6)

  • 崎谷 実穂

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2014年4月14日(月)

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 人間は、生まれた後の努力や経験、置かれた環境によっても、変わることができる。そのメカニズムの主役となるのが「細胞」だ。細胞は「体を構成する部品」と捉えられることが多いが、近年の研究ではそうでないことが明らかになってきた。1つの自律した生命体のように、自ら周りを探り、状況を判断し、自らを変化させているダイナミックな存在なのだ。細胞の中には、我々の経験を反映する仕組みが隠されている。

 NHKでは、最新の細胞研究を紹介する「人体 ミクロの大冒険」を3月29日から4回にわたって放送した。番組中では、iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授と劇作家・演出家・役者の野田秀樹氏が“細胞”について対談した。

 日経ビジネスオンラインでは、番組で紹介できなかった対談のすべてを掲載する。今回のテーマは前回に引き続き、思春期以降の細胞社会の大変化を紹介する。出産時にオキシトシン細胞から出るオキシトシンという物質は、子宮を収縮させるという役割のほかに、とても重要な役割を担っている。(今回のゲストは、作家の角田光代氏とタレントの松嶋尚美氏)

オキシトシンが出産時の陣痛を起こす

オキシトシン細胞が出すオキシトシンは、子宮を収縮させる働きがある
出産後もオキシトシンの濃度は上昇を続けている

 思春期は、内分泌細胞が男性・女性ホルモンを分泌することによって起こる。そして思春期の後、細胞が再びあなたにとって大切なホルモンを出す機会が出産だ。出産を迎えた妊婦の体では、ある細胞が活動を始める。それは内分泌細胞の一つ、オキシトシン細胞。この細胞は、大きな変身パワーを秘めている。

 オキシトシン細胞の出すオキシトシンはどんな働きを持っているのか。ネズミの子宮の一部にオキシトシンをかけてみると、ギューッと縮んでいく。オキシトシンには、子宮を収縮させる働きがあるのだ。オキシトシン細胞の働きで出産時の陣痛が起こり、赤ちゃんは徐々に子宮外へと押し出されていく。

 しかし、オキシトシン細胞がその本領を発揮するのは出産後。母親の血中のオキシトシン濃度は、出産を終えてから1時間後、陣痛時よりさらに高まっていた。なぜ、オキシトシン細胞は出産後もオキシトシンを出し続けるのだろうか。

松嶋尚美(以下、松嶋):それは、大きくなった子宮を元に戻さんと、おなかが出っぱなしになるからちゃう?

角田光代(以下、角田):私は出産経験がないからわからないんですけど、よくお母さんって、赤ちゃんが夜中にミルクを欲しがって泣くと、パッと起きられるっていうじゃないですか。お父さんは起きないのに。それってすごく神秘的な話に聞こえるんです。それにオキシトシンが関係しているのかなと思いました。

野田秀樹(以下、野田):男性も気合を入れれば起きられますよ(笑)。

松嶋:そうなんや(笑)。でも1回ではなく、夜中に何回も起きられるんですよ。しかも4カ月くらいその状態が続いても平気なんです。体力的にも精神的にも、あまり寝てないからつらいはずなのに。それもオキシトシンが関係しているのかな?


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